注文住宅の家づくりにかかるお金は?付属して発生する諸費用もチェックしておこう。

「家を建てる費用って、結局いくらかかるの?」

そう思いながら住宅会社のチラシを見ると、「本体価格1800万円〜」という数字が目に入る。

でも、その数字を信じて動き出すと、 後から取り返しのつかない後悔をすることになります。

実は、家づくりにかかるお金は本体工事費だけではありません。

別途工事費・諸費用・土地取得費・そして住んでからかかるランニングコスト。

これらをすべて把握しないまま家づくりを進めると、 当初の予算を大幅に超えてしまうケースが後を絶ちません。

私は注文住宅の設計と現場管理に20年以上携わってきました。その中で何百組ものご家族の家づくりに関わってきましたが、

「こんなはずじゃなかった」と後悔する方に共通しているのは、最初のお金の知識不足です。

この記事では、家づくりにかかるお金の全体像から住宅会社に騙されないための見積書の読み方、
そして建てた後にかかるお金の考え方まで、家づくりのプロが20年以上の経験をもとに 余すことなく解説しています。
 

この記事を読むことで、住宅会社の広告に惑わされない目が養われます。見積書のどこを確認すべきかがわかります。
総額でいくらかかるのかを正しく把握できます。 そして、住んでからも安心できる予算の組み方が身につきます。 

家づくりで失敗しない人は、特別な知識を持っているわけではありません。
最初に正しい情報を知っているかどうか、ただそれだけの差です。

ぜひ最後まで読んで、 後悔しない家づくりの第一歩を踏み出してください。

 

この記事の結論ここ

家づくりにかかるお金は本体工事費だけでなく、別途工事費・諸費用・土地取得費を含めた総額で把握することが大前提。

・住宅会社の広告に書かれた「本体価格」は入口の数字に過ぎず、見積書は別途工事費と諸費用が含まれているかどうかを必ず確認する。 

・複数社を比較するときは本体価格ではなく、同じ条件で揃えた総額で比較することが住宅会社選びの鉄則。 

・断熱性能への投資は30年スパンで見れば確実に元が取れる。建てるときだけ安い家ではなく、住んでからも安い家を選ぶことがトータルコストを抑える最善策。 

自己資金は使い切らず、諸費用の確保と生活費3〜6ヶ月分の緊急予備費を手元に残した上で、住み続けられるかどうかを基準に予算を組む。

1. 家づくりにかかるお金は「建築費」だけじゃない

1-1. 本体工事費とは何か?全体の70〜75%を占める核心

家づくりを始めると、まず目に入るのが住宅会社のチラシやホームページに書かれた「本体価格〇〇〇万円」という数字です。でもこの「本体価格」が何を指しているのか、正確に理解している方は意外と少ない。家づくりにかかるお金の全体像を知らないまま動き出すと、後から「こんなはずじゃなかった」となります。まずここをしっかり押さえてください。

 

本体工事費とは、建物本体を建てるために直接かかる工事費用のことです。基礎工事・木工事・屋根工事・外壁工事・内装工事・設備工事など、家の骨格と仕上げに関わるすべての工事が含まれます。家づくり全体にかかる費用のうち、本体工事費が占める割合はおよそ70〜75%。つまり総額の大部分はここに集中しています。住宅会社が提示する「本体価格」とはこの金額を指しているケースがほとんどです。

 

注意してほしいのは、本体工事費の中に何が含まれているかは、住宅会社によって異なるという点です。ある会社では照明器具や空調設備が本体に含まれていて、別の会社では別途扱いになっている。こういった違いが、見積もりを複数社で比較するときに混乱を生む原因になります。「本体価格が安い=総額が安い」とは限りません。まず本体工事費に何が入っているのかを確認することが、家づくりの費用を正しく把握するための第一歩です。

1-2. 別途工事費とは?見落としやすい15〜20%の費用

家づくりの費用で最も見落とされやすいのが、この別途工事費です。住宅会社のチラシに書かれた「本体価格」には含まれていない工事費用のことで、これを知らずに予算を組んでしまうと、後から大幅に金額が膨らんで慌てることになります。家づくりを検討し始めた段階で、必ず頭に入れておいてほしい費用です。

 

別途工事費に含まれる主な項目は、地盤補強工事・外構工事・解体工事・水道の引き込み工事などです。例えば地盤が軟弱だった場合の補強工事は、地盤調査をしてみないと費用が確定しません。外構工事も、駐車場・フェンス・植栽などをどこまでやるかで金額が大きく変わります。これらは本体工事とは切り離されて計上されることが多く、建築費全体の15〜20%程度がこの別途工事費にかかると覚えておいてください。

 

別途工事費で特に気をつけてほしいのは、住宅会社によって「何が別途扱いになるか」がバラバラだという点です。ある会社では概算金額を最初から見積書に入れてくれているところもあれば、まったく触れずに後から請求してくる会社もある。見積書をもらった段階で「別途工事費はどんな項目がありますか?概算でいくらくらいですか?」と必ず確認してください。ここを曖昧にしたまま進めると、最終的な総額が当初の予算を大きく超えることになります。

 

1-3. 諸費用とは?税金・手数料など全体の10%が消える

本体工事費と別途工事費を把握したら、次に頭に入れておくべきが諸費用です。諸費用とは、家を建てる際に発生する税金・手数料・保険料など、工事そのものには直接関係しないけれど必ずかかってくるお金のことです。これが建築費全体のおよそ10%程度になります。総額3000万円の家を建てるなら、諸費用だけで300万円前後が必要になる計算です。決して小さな金額ではありません。

 

諸費用に含まれる主な項目としては、印紙税・登録免許税・不動産取得税といった税金類、司法書士への登記費用、住宅ローンの事務手数料や保証料、火災保険料などがあります。これらはほとんどが現金での支払いになるケースが多く、住宅ローンに組み込めない場合もあります。つまり諸費用は自己資金から出さなければならない可能性が高い費用です。ここを把握せずに自己資金をすべて頭金に回してしまうと、諸費用が払えなくなるという事態になりかねません。

 

私がこれまで20年以上、家づくりに関わってきた中で感じるのは、諸費用を軽く見ている方が本当に多いということです。住宅会社のショールームや展示場では、本体価格の話が中心になりがちで、諸費用まで丁寧に説明してくれる会社は多くありません。家づくりの総予算を考えるときは、本体工事費に諸費用の10%をプラスした金額を最初から想定しておく。これだけで後から慌てるリスクをぐっと減らすことができます。

 

1-4. 土地を買う場合はさらに「土地取得費」がかかる

土地をお持ちでない方が注文住宅を建てる場合、本体工事費・別途工事費・諸費用に加えて、さらに「土地取得費」が必要になります。土地取得費とは土地の購入代金そのものと、それに付随してかかる諸費用を合わせた金額のことです。土地代は地域や立地によって大きく異なりますが、土地取得にかかる諸費用はおよそ土地代の5〜6%程度が目安になります。仲介手数料・登記費用・不動産取得税などがここに含まれます。

 

土地探しをしているとき、多くの方が「この土地なら予算内に収まる」と判断します。でもその判断が土地代だけを見ているとしたら危険です。土地を購入してから建物を建てるまでの間にかかる費用、例えば土地の測量費・地盤調査費・古家がある場合の解体費なども発生することがあります。土地を見つけた段階で「この土地を買ったら総額でいくらになるのか」を必ず試算してください。土地代だけで予算ギリギリになってしまうと、建物にかけられるお金が足りなくなります。

 

私が土地探しからお手伝いするときに必ずお伝えしているのは、土地と建物を切り離して考えないということです。土地が安くても、形が悪ければ建物のコストが上がる。道路との高低差が大きければ外構費用が膨らむ。地盤が弱ければ補強工事が必要になる。土地の価格だけで判断すると、最終的な総額が大きく変わることがあります。土地を選ぶ段階から、必ず建物も含めたトータルコストで判断してください。これが土地選びで後悔しないための鉄則です。

 

1-5. 「予算」の正しい伝え方を知らないと損をする

住宅会社に最初に相談に行くとき、必ず聞かれるのが「ご予算はどのくらいですか?」という質問です。このときに「建築費で3000万円くらいで考えています」と答えてしまうと、話がどんどん建物本体の金額だけで進んでいきます。別途工事費も諸費用も土地取得費も含まれていない前提で話が進むので、最終的な総額が当初のイメージを大きく超えることになります。予算の伝え方ひとつで、家づくりの方向性が大きく変わるのです。

 

正しい予算の伝え方は「家づくりの総予算は〇〇万円です」とはっきり伝えることです。総予算とは、自己資金と住宅ローンの借入額を合計した金額、つまり家づくりに使えるお金の上限です。この総予算の中に、本体工事費・別途工事費・諸費用・土地取得費のすべてが収まらなければなりません。住宅会社に総予算を伝えることで、建物にかけられる金額の上限が明確になり、現実的なプランの提案を受けることができます。

 

もうひとつ大事なことをお伝えします。総予算のすべてを家づくりに使い切ろうとしないでください。万が一の病気や急な出費に備えて、手元に安心できる金額を残しておくことが大切です。家が完成した後も、引越し費用・家具・家電・カーテンなど、入居前後にもお金はかかります。総予算から逆算して「建物にかけられる上限はここまで」と線引きをする。この考え方が、家づくりで予算オーバーを防ぐ最も確実な方法です。

2. 住宅会社に騙されないための費用の見方

2-1. 「本体価格〇〇〇万円」の広告に潜む落とし穴

住宅会社のチラシやホームページを見ていると、「本体価格1800万円〜」「坪単価45万円〜」といった数字が目に飛び込んできます。思わず「意外と手が届くかも」と感じてしまう金額です。でもこの数字、そのまま信じてはいけません。この「〜」の一文字に、とんでもない落とし穴が隠れています。広告に書かれた価格と実際の総額が大きくかけ離れるケースは、この業界では珍しくありません。

 

広告の本体価格が安く見える理由のひとつは、最もシンプルなプランの価格を掲載しているからです。間取りを広くすれば当然金額は上がります。設備のグレードを上げれば追加費用が発生します。希望の仕様に近づけていくうちに、最初に見た価格からどんどん離れていく。これが「見積もりを出してもらったら思ったより高かった」という声が絶えない理由です。広告の価格はあくまで入口の数字に過ぎないと理解してください。

 

私の見解として、広告の価格だけで住宅会社を比較するのは非常に危険だと断言します。大切なのは広告の数字ではなく、自分たちの希望を反映した見積もりを複数社から取り寄せて比較することです。そのときに比べるべきは本体価格だけでなく、別途工事費・諸費用を含めた総額です。「安い」と感じさせる広告の数字に引き寄せられて住宅会社を選ぶと、後から後悔することになります。最初の一歩から、総額で考える癖をつけてください。

 

2-2. 見積書で真っ先に確認すべき3つのポイント

住宅会社から見積書をもらったとき、金額の大きさに圧倒されて細かいところまで確認できない方がほとんどです。でも見積書はしっかり読み込む必要があります。特に最初に確認すべきポイントが3つあります。ひとつ目は「別途工事費が含まれているかどうか」。ふたつ目は「諸費用の概算が記載されているかどうか」。みっつ目は「金額が変動する可能性のある項目に注記があるかどうか」です。この3点を押さえるだけで、見積書の読み方が大きく変わります。

 

特に注意してほしいのが、金額が変動する可能性のある項目です。例えば地盤補強工事は、地盤調査をしてみないと正確な費用が出ません。概算として計上されていても、実際の調査結果によっては大幅に増額になることがあります。また水道の引き込み工事も、現場の条件によって費用が変わります。見積書にこういった変動リスクのある項目がどう記載されているかを確認することで、後から予算が膨らむリスクを事前に把握することができます。

 

見積書を読むときにもうひとつ意識してほしいのは、記載されていない項目に目を向けることです。見積書に書かれていない=費用がかからないわけではありません。照明器具・空調・カーテン・外構など、記載がなくても実際には必要になる費用はたくさんあります。「この見積書に含まれていないものは何ですか?」と住宅会社に直接聞くことが大切です。優良な会社ほど、この質問に対して丁寧に答えてくれます。逆に曖昧な返答しかしない会社には注意が必要です。

 

2-3. 別途工事費が「含まれているか・いないか」の確認法

別途工事費が見積書に含まれているかどうかは、住宅会社によって対応がまったく異なります。丁寧な会社であれば、外構工事や地盤補強工事の概算を最初から見積書に盛り込んでくれています。一方で本体価格だけを提示して、別途工事費については後回しにする会社もあります。どちらの会社が誠実かは明らかですが、消費者側がこの違いに気づかないまま話が進んでしまうことが多いのが現実です。

 

別途工事費の確認で特に聞いてほしい項目が4つあります。まず「地盤補強工事の概算はいくらか」。次に「外構工事はどこまで含まれているか」。そして「水道・ガスの引き込み工事は別途か」。最後に「解体が必要な場合の費用はどうなるか」。これらをひとつひとつ確認することで、見積書に書かれていない費用の全体像が見えてきます。面倒に感じるかもしれませんが、この確認作業が後悔しない家づくりに直結します。

 

私が家づくりの相談を受けるときに必ずお伝えしているのは、別途工事費の確認は早ければ早いほどいいということです。土地が決まった段階・プランの打ち合わせが始まった段階など、節目ごとに別途工事費の最新概算を確認してください。プランが進むにつれて金額が変動することもあります。最終的な契約前に必ず別途工事費も含めた総額を確認する。これを習慣にするだけで、予算オーバーのリスクを大幅に下げることができます。

2-4. 諸費用を見積書に入れている会社・入れていない会社

諸費用を最初から見積書に入れてくれる住宅会社と、まったく触れない会社があります。この違いは単なる会社のスタイルの違いではなく、誠実さの違いだと私は考えています。諸費用は建築費全体の10%程度と、決して小さな金額ではありません。これを最初から提示してくれる会社は、お客様に総額をきちんと把握してもらった上で家づくりを進めようという姿勢の表れです。逆に諸費用に触れない会社は、本体価格を安く見せることを優先している可能性があります。

諸費用の内訳は複雑で、住宅ローンの種類や契約内容によっても金額が変わります。登記費用は司法書士によって多少異なりますし、住宅ローンの事務手数料も金融機関によって大きく差があります。火災保険料も補償内容や保険期間によって変わります。ですから諸費用の金額はあくまで概算にはなりますが、それでも最初から概算を示してくれる会社と、まったく示さない会社では、家づくりのパートナーとしての信頼度が大きく異なります。

住宅会社を選ぶときのひとつの判断基準として、最初の見積もりに諸費用が含まれているかどうかを確認することをおすすめします。含まれていない場合は「諸費用の概算を教えてもらえますか?」と聞いてください。この質問に対して丁寧に答えてくれる会社は信頼できます。曖昧な返答や「後で確認します」と言ったまま回答がない会社には注意が必要です。家づくりは長い付き合いになります。最初の対応の丁寧さが、その会社の姿勢を表しています。

2-5. 複数社を比較するときに本当に見るべき数字とは

家づくりを検討するとき、複数の住宅会社から見積もりを取って比較することは非常に大切です。ただしこの比較、本体価格だけで判断してしまうと大きな間違いを犯すことになります。A社の本体価格が2500万円、B社が2800万円だったとして、A社の方が安いと判断するのは早計です。別途工事費や諸費用を含めた総額で比較しなければ、本当の意味での比較にはなりません。数字の見た目に惑わされないことが大切です。

 

複数社を比較するときに見るべき数字は、同じ条件で揃えた総額です。同じ延床面積・同じ仕様・同じ土地条件という前提で、本体工事費・別途工事費・諸費用をすべて含めた金額を各社に出してもらってください。この作業は少し手間がかかりますが、これをやらずに安易に安い会社を選ぶと後悔します。また金額だけでなく、その金額に何が含まれているのかを必ず確認してください。同じ総額でも、含まれている仕様や性能が違う場合があります。

 

最終的に住宅会社を選ぶ基準は、金額だけではありません。断熱性能・耐震性能・使用する素材・アフターメンテナンスの体制など、金額以外の部分も含めてトータルで判断することが大切です。安さだけで選んだ結果、住んでから光熱費が高い・修繕が頻繁に必要になるといった事態になれば、長い目で見たときに決して安い買い物にはなりません。家づくりは総額で考える。そして総額の中身で判断する。この視点を持つことが、後悔しない住宅会社選びの鍵になります。

3. 建てた後にかかるお金も最初から考える

3-1. ライフサイクルコストとは何か?建てて終わりではない

家づくりのお金の話をするとき、多くの方が建てるときにかかる費用だけに目を向けがちです。でも家にかかるお金は、建てた瞬間に終わるわけではありません。住み始めてからも、ずっとお金はかかり続けます。このように建物の完成から将来的に解体するまでにかかる費用の総額を「ライフサイクルコスト」と呼びます。家づくりを考えるときは、このライフサイクルコストまで視野に入れて判断することが本当に大切です。

 

ライフサイクルコストに含まれるのは、建築費などの初期費用だけではありません。住んでいる間にかかる光熱費・メンテナンス費・修繕費、そして将来的にかかるリフォーム費用や解体費用まで含みます。例えば断熱性能が低い家は、毎月の光熱費が高くなります。外壁や屋根のメンテナンスを怠れば、後から大きな修繕費用が必要になります。こういったランニングコストが積み重なると、30年・40年というスパンで見たときに総額が大きく変わってきます。

 

私がよくお伝えするのは「建てるときだけ安い家」と「住んでからも安い家」は全然違うということです。初期費用を抑えることだけを優先して断熱性能や耐久性を妥協した家は、住んでからの光熱費や修繕費が膨らみます。逆に最初にしっかりとした性能の家を建てれば、ランニングコストを長期間にわたって抑えることができます。ライフサイクルコストで考えると、初期投資をきちんとかけた家の方が、トータルでは安くなるケースが多いのです。

 

3-2. メンテナンス費・修繕費はいつ・いくらかかるのか

家は建てた後も定期的なメンテナンスが必要です。でもいつ・どのくらいの費用がかかるのかを事前に把握している方は非常に少ないです。外壁や屋根は10〜15年を目安に点検・補修が必要になります。外壁塗装や屋根の葺き替えは、状態によっては100万円以上の費用になることもあります。給湯器やエアコンなどの設備機器も、10〜15年程度で交換時期が来ます。これらを把握した上で、計画的に積み立てをしておくことが大切です。

 

メンテナンス費用は、使う外壁材や屋根材の種類によって大きく変わります。例えばサイディング外壁は定期的な塗装や目地のコーキング打ち替えが必要です。一方で塗り壁や自然素材を使った外壁は、初期費用は高くなる場合もありますが、長期的なメンテナンス費用を抑えられるケースがあります。屋根も同様で、素材によってメンテナンスの頻度とコストが変わります。家を建てるときに外壁や屋根の素材を選ぶ際は、初期費用だけでなくメンテナンスコストまで含めて判断してください。

 

私が家づくりのご相談を受けるときに必ずお伝えしているのは、毎月少しずつ修繕積立をしておくということです。住宅ローンの返済が始まると、毎月の支出が増えてメンテナンス費用を確保する余裕がなくなりがちです。でも修繕を先延ばしにすると、小さな不具合が大きな問題に発展して、最終的にかかる費用がさらに膨らみます。毎月1万円でも積み立てておくだけで、10年後には120万円になります。家を長持ちさせるためにも、修繕積立は家づくりの計画段階から組み込んでおいてください。

 

3-3. 光熱費の差が30年でどれだけ変わるか

家の性能の違いが最も如実に現れるのが毎月の光熱費です。断熱性能・気密性能が高い家は冷暖房効率が上がるため、光熱費を大幅に抑えることができます。逆に断熱性能が低い家は、夏は冷房が効きにくく冬は暖房をいくらつけても寒い。エアコンをフル稼働させても快適にならないから、さらに電気代がかかる。この差が毎月積み重なると、30年間でどれだけの金額になるか、真剣に考えてみてください。

 

具体的な数字で考えてみます。断熱性能が高い家と低い家で、毎月の光熱費が1万円違うとします。1年で12万円、10年で120万円、30年で360万円の差になります。これだけの金額があれば、最初に断熱性能を上げるための費用に十分充てることができます。つまり断熱性能への投資は、長い目で見れば確実に元が取れる投資です。初期費用を抑えるために断熱性能を妥協するのは、長期的に見ると逆に損をする選択になります。

 

光熱費の話をするとき、もうひとつ忘れてはいけないのがエネルギー価格の上昇リスクです。電気代やガス代は今後も上昇する可能性があります。断熱性能が低い家に住んでいると、エネルギー価格が上がるたびに家計へのダメージが大きくなります。一方で断熱性能が高い家は、エネルギー価格が上がっても使用量自体が少ないため、影響を最小限に抑えることができます。家の性能は、将来のリスクに対するひとつの備えでもあるのです。

 

3-4. 「今払えるか」より「住み続けられるか」で予算を考える

住宅ローンの借入額を決めるとき、多くの方が「今の収入で毎月返済できるかどうか」を基準にします。もちろんそれも大切ですが、それだけでは不十分です。家づくりの予算を考えるときに本当に大事なのは「この家に住み続けられるかどうか」という視点です。今は共働きで収入が安定していても、子どもが生まれて一方が育休に入ったら?病気や怪我で収入が減ったら?将来のリスクまで含めて考えることが、本当に安心できる家づくりにつながります。

 

住宅ローンの返済額は、一般的に手取り収入の25%以内に収めることが安心の目安と言われています。ただしこれはあくまで目安であり、家族構成や生活スタイルによって適正な返済額は変わります。大切なのは住宅ローンの返済だけでなく、固定資産税・火災保険・修繕積立・光熱費・教育費・老後の備えなど、住んでからかかるすべての費用を考慮した上で、無理なく返済できる金額を設定することです。返済額だけで判断せず、生活全体のお金の流れで考えてください。

 

私がいつもお伝えしているのは、家づくりの予算は「上限を決めること」と「下限も意識すること」の両方が大切だということです。予算の上限を決めるのは当然ですが、あまりにも予算を絞りすぎると性能や耐久性が犠牲になります。住んでからの光熱費や修繕費が増えて、結果的に長期間にわたって家計を圧迫することになります。適切な予算の範囲内で、性能・デザイン・使いやすさのバランスが取れた家を建てること。これが20年以上この仕事をしてきた私の、正直な結論です。

 

3-5. 自己資金はいくら残しておくべきか?緊急費用の考え方

家づくりを進める中で「自己資金をどれだけ頭金に入れるべきか」という質問をよく受けます。頭金を多く入れれば住宅ローンの借入額が減り、毎月の返済額や総返済額を抑えることができます。でもだからといって手元の貯金をすべて頭金に充てるのは危険です。家が完成した後も、生活していく上で急な出費は必ず発生します。手元に何も残っていない状態で予期せぬ出費が重なると、家計が一気に苦しくなります。

 

では手元にいくら残しておけばいいのか。一般的な目安として、生活費の3〜6ヶ月分を緊急予備費として手元に残しておくことが推奨されています。例えば毎月の生活費が30万円であれば、90万円〜180万円を残しておく計算です。さらに入居後すぐにかかる費用として、引越し費用・家具・家電・カーテンなども別途必要になります。これらをすべて考慮した上で、残りを自己資金として家づくりに充てるという順番で考えてください。

 

自己資金の使い方で私がおすすめしているのは、頭金よりも諸費用に優先的に充てるという考え方です。住宅ローンは建物や土地に対して借りることができますが、諸費用は現金で支払わなければならないケースが多いです。諸費用を住宅ローンに組み込める場合もありますが、その分借入額が増えて返済総額が増えます。自己資金で諸費用をカバーした上で、残りを頭金に充てる。そして緊急予備費は必ず手元に残しておく。この順番で自己資金の使い方を考えることが、家づくり後の家計を安定させる基本です。

まとめ

家づくりにかかるお金は、本体工事費だけではありません。別途工事費・諸費用・土地取得費を含めた総額で考えることが、家づくりの第一歩です。住宅会社の広告に書かれた「本体価格〇〇〇万円」という数字に惑わされず、総額でいくらになるのかを最初から把握してください。この視点を持つだけで、後から「こんなはずじゃなかった」となるリスクを大きく減らすことができます。

 

見積書をもらったときは、別途工事費と諸費用が含まれているかどうかを真っ先に確認してください。含まれていない場合は必ず概算を確認する。複数社を比較するときは本体価格だけでなく、同じ条件で揃えた総額で比較する。この習慣を持つことが、住宅会社選びで失敗しないための基本です。金額の安さだけで判断せず、その金額に何が含まれているのかまで確認することが大切です。

 

家づくりのお金は、建てるときだけでは終わりません。住み始めてからも光熱費・メンテナンス費・修繕費がかかり続けます。断熱性能への投資は、長期間にわたって光熱費を抑える効果があります。30年というスパンで考えれば、最初にしっかりした性能の家を建てることが、トータルコストを抑える最善の方法です。建てるときだけ安い家ではなく、住んでからも安い家を選んでください。

 

予算を考えるときは「今払えるか」だけでなく、「住み続けられるか」を基準にしてください。住宅ローンの返済額・固定資産税・修繕積立・光熱費・教育費など、住んでからかかるすべての費用を見据えた上で、無理のない返済計画を立てることが大切です。そして自己資金は使い切らず、緊急予備費として生活費の3〜6ヶ月分を必ず手元に残しておく。家づくりは建てて終わりではなく、住み続けることが本番です。