造作キッチンを姫路の工務店が勧める理由3選
新築やリフォームでキッチンを考え始めたとき、「本当にこの選び方でいいのだろうか」と立ち止まったことはありませんか。ショールームでカタログを眺めても、どれも似たように見えてしまう。便利そうな機能はたくさんあるけれど、自分たちの暮らしに本当に合っているのか分からない。そんなモヤモヤを抱えている方は、決して少なくありません。
キッチンは家の中でも特に長い時間を過ごす場所であり、家族の暮らしの中心になる空間です。それなのに、多くの場合「メーカーが用意した完成品の中から選ぶ」ことが当たり前になっていて、自分たちの暮らし方に合わせて考えるという発想そのものが抜け落ちてしまいがちです。本当にそれでいいのでしょうか。十年後、二十年後も同じキッチンを好きでいられるのか。一度きちんと考えてみる価値があるテーマだと感じています。
姫路で長年にわたり、自然素材と本物の住まいづくりにこだわってきた工務店クオホームでは、これまで数多くのご家族と一緒に「造作キッチン」を作り上げてきました。家全体の設計と一体で考え、職人の手で一から組み上げていく造作キッチン。私たちはこのキッチンが、住まいの満足度を大きく左右する重要な要素だと確信しています。
この記事では、造作キッチンとシステムキッチンの本質的な違いから始まり、クオホームが造作キッチンを勧める三つの理由、そして長く愛用するために知っておきたいポイントまでを、できる限り正直に丁寧にお伝えしていきます。費用や手間といった気になる部分にも踏み込み、向いている人・向いていない人の両方の視点でお話しします。
この記事を読むことで、造作キッチンが「単なるオーダーメイドの高級品」ではなく、暮らしそのものを豊かにしてくれる選択肢であることが見えてくるはずです。素材選びの考え方、職人との関わり方、将来の変化への備え方まで、家づくりに役立つ視点をまとめて手に入れていただけます。
キッチン選びに正解はありません。けれども、自分たちにとっての納得できる答えを見つけるためのヒントは、きっとこの記事の中にあります。長く住むほどに好きになっていける家を目指す方にこそ、ぜひ最後まで読んでいただきたい内容です。
この記事の結論はこちら
- 造作キッチンは「高級なオーダー品」ではなく、その家族の暮らしに合わせて寸法・素材・動線を一から設計できる住まいの中心装置である
- システムキッチンは「平均点が高い完成品」、造作キッチンは「家と一体でつくる空間の一部」という根本的な違いがある
- クオホームが造作キッチンを勧める理由は、①暮らしに合うサイズと動線、②家全体と揃う素材感、③時間と共に愛着が増す経年変化、の三つに集約される
- 造作キッチンは万人向けではなく、経年変化を「味」として楽しめる方や家を育てていく感覚を持てる方にこそ向いている
- 長く愛用するためには、素材選び・日々のメンテナンス・信頼できる工務店との出会い・将来の変化への対応力の四つを意識することが何より大切である
1. 造作キッチンとは何か|システムキッチンとの違いを整理する

1-1. 造作キッチンの定義と基本的な考え方
キッチンには大きく分けて二つの選択肢があります。一つはメーカーが規格化した製品をそのまま設置する「システムキッチン」、もう一つが大工や職人が現場で一から作り上げる「造作キッチン」です。造作キッチンという言葉を初めて聞く方もいるかもしれませんが、簡単に言えば「オーダーメイドのキッチン」と考えてもらえれば分かりやすいと思います。
造作キッチンの最大の特徴は、サイズも素材も配置も、すべてその家・その家族のために設計されるという点です。市販のシステムキッチンは基本的に規格寸法で作られていますが、造作キッチンにはその制約がありません。天板の高さを1センチ単位で調整したり、収納の深さを使い勝手に合わせて変えたり、家の雰囲気に合わせて素材を選んだりと、自由度が大きく異なります。
ただし、自由度が高いということは、それだけ「決めること」も多くなります。水栓の種類、天板の素材、扉の仕上げ、収納の構成。一つひとつを丁寧に決めていく作業が必要になります。これを「大変」と感じる方もいれば、「楽しい」と感じる方もいる。そのあたりも含めて、造作キッチンが自分たちに向いているかどうかが、だんだんと見えてくるはずです。
1-2. システムキッチンが普及した背景と理由
今、日本の住宅で使われているキッチンのほとんどはシステムキッチンです。新築でもリフォームでも、ほぼ自動的にシステムキッチンが選ばれていると言っても言い過ぎではありません。これにはきちんとした理由があります。システムキッチンは戦後の住宅供給を効率化していく中で生まれたもので、規格化された部材を組み合わせることで、誰でも安定した品質のキッチンを短時間で設置できるように作られています。
システムキッチンの強みは、機能面の充実度にあります。引き出しの開閉、シンクの形状、コンロの性能、食洗機との連動。各メーカーが長年にわたって改良を重ねてきた結果、使い勝手は非常に高いレベルにあります。掃除のしやすさや収納量、見た目の整いやすさも含めて、平均点が高いキッチンと言えます。価格帯も幅広く、選択肢が豊富である点も普及した大きな理由です。
一方で、システムキッチンが「正解」かというと、必ずしもそうではありません。あくまで「多くの家庭に当てはまる平均値」で設計されているため、その家の暮らし方や好みに完全に合うとは限らないのです。家を建てる側からすれば手間が少なく、施主からすれば選びやすい。お互いにとって都合が良いから普及した、という側面もあります。便利さの裏に、見えにくくなっている選択肢があることは、知っておいてほしいと思います。
1-3. 造作キッチンとシステムキッチンの本質的な違い
造作キッチンとシステムキッチンの違いは、価格や見た目だけではありません。本質的に違うのは「家とキッチンの関係性」だと私は考えています。システムキッチンは完成された製品を家に「設置する」もの。これに対して造作キッチンは、家の一部としてキッチンを「つくる」もの。同じキッチンでも、出発点が大きく異なります。
この違いが特に表れるのが、空間とのつながりです。システムキッチンは独立した「箱」として存在するため、どうしても周囲との境界がはっきりと出ます。一方、造作キッチンは床材や壁材、ダイニングテーブルや収納と素材を揃えることができるため、空間全体としての一体感が生まれます。キッチンだけが浮かない、家全体としてまとまった印象になる。これは住んでみると、想像以上に大きな違いとして感じる部分です。
もう一つの大きな違いは「経年変化」への向き合い方です。システムキッチンの多くは新品の状態を長く保つことを前提に設計されています。そのため、傷や汚れが目立ち始めると、どうしても「古くなった」という印象が強くなります。これに対して造作キッチンは、無垢材や天然石、ステンレスなど、時間の経過を味として受け止められる素材を選ぶことができます。新品の美しさよりも、長く使った時の美しさを重視するという考え方です。
1-4. 造作キッチンが向いている人・向いていない人
正直にお伝えすると、造作キッチンはすべての方にお勧めできるものではありません。向いている人もいれば、システムキッチンの方が満足度が高い人もいます。ここを最初に整理しておかないと、後々の後悔につながりかねないので、丁寧に説明させてください。
造作キッチンが向いているのは、家全体の雰囲気や素材感を大切にしたい方、自分たちの暮らし方に合わせてサイズや収納を細かく決めたい方、そして時間と共に変化する素材を楽しめる方です。新品の状態を保つことよりも、使い込むことで生まれる風合いに価値を感じる方には、間違いなく満足度の高い選択になります。家を「育てていく」という感覚を持てる方には、造作キッチンは非常に相性が良いと思います。
一方で、造作キッチンが向かないケースもあります。たとえば、最新の機能や設備を常に取り入れたい方、傷や汚れを一切気にせず使いたい方、打ち合わせの時間をできるだけ短くしたい方。こうした希望をお持ちの方は、システムキッチンの方が満足度が高くなる傾向があります。どちらが優れているという話ではなく、暮らし方との相性の問題です。自分たちがどんな暮らしをしたいのかを先に整理してから選ぶことが、何より大切だと感じています。
1-5. 費用と手間についての正直な話
造作キッチンを検討する上で、避けて通れないのが費用と手間の話です。ここは曖昧にせず、正直にお伝えしたいと思います。一般的に造作キッチンは、同じグレード感のシステムキッチンと比べて費用が高くなる傾向があります。素材を一つひとつ選び、職人が現場で組み上げていくため、当然そのぶんのコストが発生するからです。
ただし、ここで気をつけてほしいのは「金額の比較」だけでは判断できないという点です。システムキッチンも上位グレードを選べば、造作キッチンと変わらない、もしくはそれ以上の価格になることもあります。逆に、造作キッチンでも素材の選び方や仕様の整理で、コストを抑える工夫はいくらでもできます。単純に「造作は高い」と決めつけず、自分たちの希望と予算をすり合わせながら考えていく姿勢が大切です。
手間についても触れておきます。造作キッチンは、打ち合わせの回数も決めることの量もシステムキッチンより多くなります。サイズ、素材、収納、水栓、コンロ、レンジフード。一つひとつをご家族と一緒に決めていく作業が必要です。これを「面倒」と感じるか「楽しい」と感じるかで、造作キッチンとの相性が決まると言ってもいいかもしれません。家づくりの一部として、この時間そのものを楽しめる方であれば、造作キッチンは本当に良い選択になると思います。
2. クオホームが造作キッチンを勧める理由3選

2-1. 理由① 暮らしに合わせたサイズと動線が実現できる
私たちクオホームが造作キッチンを勧める一番の理由は、暮らしに合わせてサイズと動線を自由に決められるという点です。キッチンは毎日使う場所です。それも、一日に何度も立つ場所。だからこそ、わずか数センチの寸法の違いが、長い目で見ると大きな差として表れてきます。身長に合った天板の高さ、家族の人数に合った作業スペース、よく使う食器の収納位置。こうした要素を一つひとつ調整できるのは、造作キッチンならではの強みです。
システムキッチンはあくまで規格寸法の中で選ぶことになります。天板の高さは数センチ刻みで選べるものの、シンクの位置や引き出しの構成までは細かく変えられません。「平均的な使い方」に合わせて設計されているため、身長が高い方や低い方、利き手の違い、家事の動き方の癖まではカバーしきれない部分があります。これに対して造作キッチンは、その家族のための寸法を一から決めていけるため、使い始めた瞬間から「自分のキッチン」という感覚が持てます。
動線についても同じことが言えます。キッチンからダイニング、パントリーへの動き、洗面所への抜け方。造作キッチンであれば、これらの動線を間取りと一体で考えて設計できます。冷蔵庫の位置、ゴミ箱のスペース、調味料の置き場所まで、生活の細部に合わせて作り込める。日々の家事のストレスは、こうした小さな積み重ねで決まります。ストレスのないキッチンは、暮らしそのものをラクにしてくれる。これが、私たちが造作キッチンを勧める根本にある考え方です。
2-2. 理由② 素材と仕上げが家全体の雰囲気と揃えられる
二つ目の理由は、素材と仕上げを家全体と揃えられるという点です。これは住んでみると、本当に大きな違いとして感じる部分です。たとえば床に無垢のオーク材を使い、家具や建具にも同じ系統の木を選んだ家。そこにシステムキッチンの光沢のある面材が入ると、どうしてもキッチンだけが浮いて見えてしまうことがあります。素材の質感や色のトーンが揃っていないと、空間としてのまとまりが崩れてしまうのです。
造作キッチンであれば、扉の素材を床と同じ木で作ることもできますし、天板を家全体の雰囲気に合わせて選ぶこともできます。タイル、モルタル、ステンレス、天然石、無垢材。選択肢は非常に広く、組み合わせ方も自由です。家のテーマに合わせてキッチンの表情を決められるので、空間全体としての一体感が自然と生まれます。リビングからキッチンを見たとき、ダイニングからキッチンを見たとき。その視線の先にある「景色」が整っている家は、住む人の気持ちも穏やかにしてくれます。
私たちが家づくりで大切にしているのは、長く暮らしても飽きない空間をつくることです。流行の色や派手な設備は、最初こそ目を引きますが、数年経つと違和感が出てきます。素材で揃えた空間は、時間が経つほど落ち着いた表情を見せてくれる。造作キッチンはその家の素材選びの延長線上にあり、家全体の世界観を完成させる重要な要素だと考えています。だからこそ、家の設計段階から造作キッチンを含めて考えることに意味があるのです。
2-3. 理由③ 時間が経つほど愛着が増す「育つキッチン」になる
三つ目の理由は、時間が経つほどに愛着が増していく「育つキッチン」になるという点です。これは私たちが造作キッチンを語るうえで、もっとも大切にしている考え方です。一般的に住宅設備は、新品の状態がピークで、あとは劣化していくものとして捉えられがちです。けれども造作キッチンは違います。使い込むほどに表情が深まり、その家族の暮らしの痕跡がそのまま味になっていく。新品では出せない美しさが、年月とともに育っていきます。
たとえば無垢の木で作った天板や扉は、使うほどに色が深まり、触れる場所ほどなめらかになっていきます。ステンレスの天板は細かな傷が重なって、独特の鈍い光沢を生みます。タイルの目地には、その家の料理の歴史が静かに刻まれていく。これらはすべて、新品の時には存在しなかった「その家だけの表情」です。住む人と一緒に年を重ねていけるキッチンは、住宅の中でも数少ない、本当の意味で愛着が育つ場所だと思います。
もちろん、これは「傷や汚れが気にならない人」にとっての話です。新品の状態を保ち続けたい方には、こうした経年変化はマイナスにしか映りません。ここは価値観の問題なので、無理に勧めるものではないと考えています。ただ、家を長く愛するという視点で見れば、時間と共に深まっていく素材を使うことには、確かな意味があります。十年、二十年と経った時、新品の頃よりも今の方が好きだと言えるキッチン。それを実現できるのが、造作キッチンの一番の魅力だと私は感じています。
2-4. システムキッチンでは補えない「余白」がある

ここまで三つの理由をお伝えしてきましたが、もう少し掘り下げてお話ししたい点があります。それは「余白」という考え方です。システムキッチンは完成された製品なので、最初から機能や収納が緻密に設計されています。便利でムダがない反面、使う人が手を加える余地があまり残されていません。一方、造作キッチンには「住みながら整えていける余白」があります。これは住宅において、意外と大切な要素だと私は感じています。
たとえば、オープン棚を一段だけ作っておく。フックを取り付けられる壁を残しておく。あえて引き出しを作り込まず、可動の収納で対応できるようにしておく。こうした「決めすぎない」設計は、暮らしの変化に柔軟に対応してくれます。子どもが小さい時、成長した時、独立した時。家族の形は時間とともに変わっていきますが、余白のあるキッチンはその変化にそっと寄り添ってくれるのです。
余白は、見た目の面でも効いてきます。すべてが完璧に作り込まれた空間は、確かに美しいですが、どこか緊張感が漂います。少し抜けがあり、使う人の気配が滲む空間の方が、結果的に居心地が良いことが多いです。日本の家にはもともと、こうした「余白を楽しむ感覚」がありました。造作キッチンは、その感覚を現代の暮らしに取り戻すきっかけにもなる。便利さだけを追わない選択肢として、ぜひ知っておいてほしい考え方です。
2-5. 造作キッチンだからこそ生まれる家族の時間
造作キッチンの魅力は、機能や見た目だけではありません。私たちがもっとも価値を感じているのは、そこから生まれる「家族の時間」です。キッチンを家の中心に据え、家族が自然と集まれる空間として設計する。料理をしながら会話ができる、子どもが宿題をしている横で夕食の準備ができる、誰かが何かをしている気配を感じながら過ごせる。そうした暮らしの時間が、造作キッチンには宿りやすいと感じています。
システムキッチンでもこうした空間は作れますが、造作キッチンの方が「家族の暮らし方に合わせて細かく調整できる」ぶん、自然な動線と居心地を作りやすいのは確かです。たとえば、ダイニングテーブルとキッチンの天板の高さを揃えて一体感を出す。立ち作業の人と座る人が同じ目線で話せる高さに調整する。こうした細かな配慮が、家族の会話の量を変えることがあります。設計の細部が、暮らしの質に直結する瞬間です。
家づくりにおいて、設備や仕様の話はどうしても中心になりがちです。けれども本当に大切なのは、その家でどんな時間を過ごしたいかということ。造作キッチンは、その「過ごしたい時間」を逆算して形にできる数少ない要素だと思っています。家事を効率化するだけのキッチンではなく、家族が集まる場所としてのキッチン。私たちはそういうキッチンを、これからも丁寧につくっていきたいと考えています。
3. 造作キッチンを長く使うために知っておきたいこと
3-1. 素材選びで失敗しないためのポイント
造作キッチンを長く愛用するために、もっとも重要なのが素材選びです。ここでの判断が、十年後、二十年後のキッチンの姿を大きく左右します。素材の良し悪しは、見た目の印象だけで決まるものではありません。耐久性、メンテナンスのしやすさ、経年変化の出方、家全体との相性。これらをバランスよく見ながら選んでいくことが大切です。第一印象だけで決めてしまうと、後から「思っていたのと違った」となりやすいので注意が必要です。
天板の素材を例にとっても、選択肢はさまざまです。ステンレスは耐久性が高く衛生面でも優秀ですが、傷は残ります。人工大理石は見た目が美しく扱いやすい反面、熱や経年での変色には注意が必要です。タイルは表情が豊かで耐熱性も高いものの、目地の汚れと向き合う必要があります。無垢材は手触りや風合いが格別ですが、水回りでは適切な仕上げとメンテナンスが欠かせません。それぞれに長所と短所があり、「これが正解」という素材は存在しません。
素材選びで失敗しないためのコツは、必ず実物を見て、できれば実際に使われている家を見せてもらうことです。サンプルとして手のひらサイズで見るのと、キッチン一面に使われた状態で見るのとでは、印象が大きく変わります。さらに、新築直後の状態だけでなく、数年経った家のキッチンを見ることもおすすめします。素材は経年で必ず表情が変わります。その変化を「味」と感じられるかどうかを、自分の目で確かめてから決めることが、後悔のない素材選びにつながります。
3-2. 日々のメンテナンスと付き合い方
造作キッチンを長く使い続けるためには、日々のメンテナンスとの付き合い方を理解しておく必要があります。システムキッチンと比べると、造作キッチンは素材ごとのケアが求められる場面が増えます。これを「手間」と感じるか「日々の習慣」と捉えるかで、満足度は大きく変わってきます。きちんと付き合っていけば、年月を重ねるほど美しさが増していくのが造作キッチンの特徴です。
たとえば無垢材の天板や扉は、定期的にオイルを塗ることで風合いを保つことができます。ステンレスは使ううちに細かい傷が入りますが、これは使い込んだ証として受け入れる素材です。タイルの目地は汚れが目立ち始めたら部分的な補修が可能ですし、人工大理石は専用のクリーナーで美しさを保てます。それぞれの素材に合わせたお手入れの方法を知っておけば、過剰に神経質になる必要はありません。むしろ、適度に手を入れていくことで、キッチンに愛着が育っていきます。
ここで大切なのは、「完璧を求めすぎない」という姿勢です。造作キッチンは新品の状態を永遠に保つことを目的とした設備ではありません。使った痕跡が表情になり、その家らしさが育っていくもの。少しの傷や色の変化を許容できる気持ちがあれば、メンテナンスは決して負担にはなりません。日々の暮らしの中で自然に手を入れていく。その繰り返しが、十年後、二十年後の美しいキッチンを作っていくのだと感じています。
3-3. 職人の技術と工務店選びの重要性
造作キッチンの仕上がりを決めるのは、素材だけではありません。それを形にする職人の技術と、全体を設計する工務店の力量が、最終的な出来栄えを大きく左右します。同じ素材を使っても、施工する職人によって仕上がりに差が出るのが造作キッチンの世界です。だからこそ、造作キッチンを依頼する工務店選びは、慎重に進めてほしいと思います。
工務店を選ぶ際にチェックしてほしいのは、造作キッチンの施工実績がどれくらいあるか、そして実際に作られたキッチンを見せてもらえるかという点です。写真ではなく、実物を見ることが何より大切です。扉の建て付け、天板と壁の取り合い、収納の使い勝手、細部の納まり。こうした部分に職人の技術が表れます。経験の少ない工務店では、見た目は整っていても、長く使ううちに不具合が出てくるケースもあるので注意が必要です。
また、造作キッチンは設計と施工の連携が非常に重要です。設計者が素材や納まりをよく理解していないと、職人がいくら腕を持っていても本来の良さは引き出せません。逆に、優れた設計があっても、それを形にできる職人がいなければ意味がありません。設計と施工が一体となって動ける工務店であることが、良い造作キッチンを作るうえでの必須条件だと考えています。価格だけで選ばず、その工務店が造作キッチンに対してどんな姿勢を持っているかを、しっかり見極めてほしいと思います。
3-4. リフォームや将来の変更への対応力
家は建てて終わりではなく、住みながら少しずつ変わっていくものです。造作キッチンを検討する際には、将来のリフォームや変更にどう対応できるかも、視野に入れておきたいポイントです。システムキッチンはユニットごと交換するのが基本ですが、造作キッチンは部分的な補修や入れ替えが可能なケースが多くあります。これが長期的に見た時の大きなメリットになります。
たとえば、天板だけを張り替える、扉だけを新調する、収納の中身を組み替える。こうした部分的な変更が比較的やりやすいのが造作キッチンの強みです。家族構成やライフスタイルが変われば、キッチンに求めるものも変わってきます。子どもが小さいうちはオープンな収納が便利でも、成長すれば違うニーズが出てくる。そうした変化に少しずつ対応していけるのは、造作キッチンならではの柔軟性です。
ただし、将来の変更に対応するためには、最初の設計段階で「変えられる前提」を組み込んでおく必要があります。配管や配線の位置、構造の作り方、収納の取り付け方。これらを将来のことまで見越して設計しておくことで、後々の変更がぐっとやりやすくなります。逆に、最初に作り込みすぎてしまうと、変更がしづらくなることもあります。長く住む家だからこそ、最初から完璧を目指すのではなく、変えていける余地を残しておく設計が大切だと感じています。
3-5. 造作キッチンを検討する前に確認しておくこと
最後に、造作キッチンを検討する前にぜひ確認しておいてほしいことをお伝えします。まず大切なのは、自分たちがどんな暮らしをしたいのかを、家族で言葉にしてみることです。誰がどんな風に料理をするのか、食事の時間をどう過ごしたいのか、キッチンに立つ時間をどう感じていたいのか。こうした「暮らしの希望」を整理してから検討に入ると、判断がぶれにくくなります。
次に、予算の枠を最初に明確にしておくことです。造作キッチンは素材や仕様によって金額の幅が大きく変わります。「いくらまでなら出せるのか」を最初に決めておけば、その範囲内で最適な選択を考えやすくなります。逆に、予算が曖昧なまま打ち合わせを進めてしまうと、希望ばかりが膨らんで現実とのギャップが生まれます。お金の話は最初にきちんと共有しておく方が、結果的に良い家づくりにつながります。
そして最も大切なのは、信頼できる工務店と出会うことです。造作キッチンは「もの」を買うのではなく、「人」とつくっていくものです。設計者の考え方、職人の技術、会社としての姿勢。これらに納得できる相手を見つけることが、満足のいく造作キッチンへの第一歩になります。複数の工務店を比較し、実際の施工例を見て、話を聞いてみる。時間をかけてでも、自分たちに合う相手を選ぶことが大切です。良いキッチンは、良い関係性から生まれる。私たちはそう考えています。
まとめ

ここまで、造作キッチンの基本的な考え方から、私たちクオホームが造作キッチンを勧める三つの理由、そして長く使うために知っておきたいことまでをお伝えしてきました。改めてお伝えしたいのは、造作キッチンは単なる「高級なキッチン」ではないということです。サイズや素材、収納のひとつひとつを、その家・その家族のために考えていく。そのプロセスそのものが、家への愛着を育てる時間にもなる。これが造作キッチンの本質だと考えています。
私たちが造作キッチンを勧める理由は三つありました。一つ目は、暮らしに合わせたサイズと動線が実現できること。二つ目は、素材と仕上げを家全体と揃えられること。三つ目は、時間が経つほど愛着が増す「育つキッチン」になること。どれも、新品の時の便利さや見た目だけでは測れない価値です。十年、二十年と住み続けた時に、本当の意味で「良いキッチンを選んだ」と思える。そんな選択を、私たちは大切にしています。
ただし、造作キッチンがすべての方に合うわけではありません。新品の状態を保ち続けたい方、最新の設備を常に取り入れたい方、打ち合わせの時間を最小限にしたい方には、システムキッチンの方が満足度が高くなることもあります。どちらが優れているという話ではなく、暮らし方との相性の問題です。自分たちがどんな暮らしをしたいのか。そこを起点にして選ぶことが、何より大切だと感じています。
造作キッチンを長く愛用していくためには、素材選び、日々のメンテナンス、信頼できる工務店との出会い、そして将来の変化への対応力。この四つを意識しておくと、後悔のない選択につながります。特に工務店選びは、造作キッチンの仕上がりを左右する大きな要素です。実際に作られたキッチンを見て、職人の技術や設計の考え方に納得できる相手を選んでほしいと思います。
キッチンは家の中で、もっとも時間を過ごす場所のひとつです。料理をするだけの場所ではなく、家族が集まり、会話が生まれ、暮らしの時間が積み重なっていく場所。だからこそ、その家に合ったキッチンをきちんと考えることに意味があります。便利さだけを追わず、家族の時間を豊かにしてくれるキッチン。長く住むほどに好きになっていけるキッチン。そんな住まいを目指す方にとって、造作キッチンは間違いなく検討する価値のある選択肢です。ご参考になれば幸いです。
本田 準一
1977年10月生まれ 岡山県出身 2011年入社(建築業界歴26年) デベロッパーでマンション販売を経験後、姫路の工務店へ転職。8年間で150組の家づくりを支援。家づくりの本質を追求するためクオホーム事業部を設立。趣味は家具研究、建築探訪、カメラなど。