注文住宅の別途工事費、別途工事費とは?本体工事費に含まれない工事の内訳と相場
「やっと気に入った住宅会社を見つけて見積もりをもらったのに、思っていたより金額が高くて驚いた・・・」
そんな経験をした方は少なくないはずです。
実はその「思っていたより高い」の正体のほとんどが、別途工事費の存在を知らなかったことが原因です。
住宅会社の広告やホームページに書かれた「本体価格〇〇〇万円」という数字。
この金額だけを見て予算を組んでいると、後から地盤補強工事・外構工事・上下水道引き込み工事など、次々と追加費用が発生して慌てることになります。
・別途工事費は建築費全体の15〜20%程度。
・本体工事費が2500万円なら、それだけで375万円〜500万円が
・別途かかる計算になります。
私は注文住宅の設計と現場管理に20年以上携わってきました。その中で何百組ものご家族の家づくりに関わってきましたが、「こんなはずじゃなかった」と後悔する方の多くが、この別途工事費を最初に把握していなかった方たちです。
この記事では、別途工事費とは何かという基本から、含まれる工事項目の内訳と費用の目安、そして見積書で失敗しないための確認ポイントまで、20年以上の現場経験をもとに、家づくり初心者にもわかりやすく解説しています。
この記事を読むことで、別途工事費に含まれる工事項目の全体像が把握できます。各項目の費用相場がわかり、予算を正しく組めるようになります。見積書のどこを確認すべきかがわかります。
そして複数社を正しく比較するための方法が身につきます。家づくりで予算オーバーになる原因の多くは、別途工事費を知らなかったことにあります。この記事を最後まで読んで、正しい知識を持った上で家づくりをスタートしてください。
この記事の結論はここ
・別途工事費とは本体工事費に含まれない工事費用のことで、地盤補強・外構・上下水道引き込み・解体・照明・空調・カーテンなど生活に必要な工事の多くがここに含まれる。
・別途工事費の相場は建築費全体の15〜20%程度。予算を組む段階では20%で見ておくことが、後から慌てないための基本的な考え方。
・何が別途扱いになるかは住宅会社によってまったく異なるため、見積書をもらったら「この見積書に含まれていないものは何ですか?」と必ず確認することが大切。
・複数社を比較するときは本体価格だけでなく、別途工事費の概算を加算した総額で比較することが正しい住宅会社選びの鉄則。
・家づくりの予算は本体工事費・別途工事費・諸費用・土地取得費をすべて含めた総額で組み、住宅会社には「家づくりの総予算は〇〇万円です」と最初から伝えることが予算オーバーを防ぐ唯一の方法。
1. 別途工事費とは何か?本体工事費との違いを理解する

1-1. 本体工事費と別途工事費、2つに分かれる理由
住宅会社に見積もりを依頼すると、多くの場合「本体工事費」と「別途工事費」の2つに分かれた形で提示されます。初めて見積書を受け取った方は、この2つの違いが何なのか、なぜ分かれているのかがわからないまま話が進んでしまうことが多いです。
この違いを理解しないまま家づくりを進めると、後から予算が大幅に膨らんで慌てることになります。まずここをしっかり押さえてください。
本体工事費とは、建物本体を建てるために直接かかる工事費用のことです。基礎・木工事・屋根・外壁・内装・設備など、家の骨格と仕上げに関わる工事がここに含まれます。
一方で別途工事費とは、本体工事には含まれない工事費用のことです。地盤補強・外構・上下水道の引き込みなど、本体工事とは切り離して計上される工事がここに分類されます。
この2つを合わせて初めて「建築にかかる費用の全体像」が見えてきます。
なぜ2つに分かれるのかというと、別途工事費に分類される項目は、地盤調査をしてみないと金額が確定しないものや、役所がかかわる項目、住宅会社ではなく専門の施工会社に直接支払いが発生するものが多いからです。
つまり本体工事費のように最初から金額を確定しにくい工事を切り離しているわけです。
だからこそ別途工事費は後から「こんなにかかるとは思わなかった」となりやすい。家づくりの初期段階から、別途工事費の存在を必ず頭に入れておいてください。
1-2. 別途工事費に含まれる主な工事項目一覧
別途工事費に含まれる項目は、住宅会社によって多少異なりますが、代表的なものをまとめると大きく10項目あります。給排水衛生設備工事・電気設備工事・ガス工事・上下水道引き込み工事・外構工事・照明器具工事・空調設備工事・カーテン工事・解体工事・地盤補強工事です。さらに防犯設備工事が加わるケースもあります。
これだけの項目が本体工事費とは別に存在しているということを、まず知っておいてください。
中でも特に金額が大きくなりやすいのが外構工事と地盤補強工事です。外構工事とは、駐車場・フェンス・門扉・玄関アプローチ・植栽など、建物の外まわりにかかる工事のことです。どこまでやるかによって金額が大きく変わり、こだわれば数百万円になることもあります。
地盤補強工事は、地盤調査の結果によって必要かどうかが決まるため、最初から金額を確定できない項目です。この2つは特に早い段階から概算を把握しておく必要があります。
意外と見落とされやすいのが照明器具・空調・カーテンの3つです。照明器具の購入費と取り付け工事費は別途工事扱いになることが多く、エアコンも本体工事でコンセントは設置しますが、エアコン本体と取り付け費用は別途になるケースがほとんどです。カーテンやブラインドも同様です。
これらは生活するために絶対に必要なものばかりですが、見積書に含まれていないことが多い。家づくりの予算を組むときは、これらの費用も必ず計算に入れてください。
1-3. 別途工事費の相場は建築費の15〜20%が目安
別途工事費の相場は、建築費全体の15〜20%程度が目安です。例えば本体工事費が2500万円だとすると、別途工事費はおよそ375万円〜500万円になる計算です。
決して小さな金額ではありません。この金額を最初から予算に組み込んでいるかどうかで、家づくりが終わったときの家計の余裕が大きく変わってきます。本体工事費だけで予算を考えていると、この15〜20%が後から突然降ってくることになります。
ただしこの15〜20%はあくまで目安であり、土地の条件や希望する仕様によって大きく変わります。地盤が軟弱で補強工事が必要になれば、それだけで100万円以上かかることもあります。
上下水道の引き込み工事も、道路から敷地までの距離や道路の舗装状況によって20万円程度で済む場合もあれば、100万円前後になる場合もあります。外構工事も、シンプルにまとめれば100万円程度ですが、こだわれば300万円以上になることも珍しくありません。
私が家づくりの相談を受けるときに必ずお伝えしているのは、最初の段階では別途工事費を建築費の20%で見ておくということです。実際にかかる金額が20%を下回れば、その分が余裕になります。
逆に最初から15%で見ていて実際には20%かかったとなると、予算が一気に苦しくなります。家づくりの予算は余裕を持って組む。これが後から慌てないための基本的な考え方です。
1-4. 住宅会社によって「別途」の範囲が異なる理由
別途工事費で特に注意してほしいのは、何が別途扱いになるかが住宅会社によってまったく異なるという点です。ある会社では照明器具が本体工事費に含まれているのに、別の会社では別途扱いになっている。外構工事の概算を最初から見積書に入れてくれる会社もあれば、まったく触れない会社もある。
この違いを知らずに複数社の見積書を比較しようとすると、正しい比較ができません。
なぜ住宅会社によって別途の範囲が異なるのかというと、業界全体で統一されたルールがないからです。地盤補強工事は地盤調査をしないと金額が確定しないため別途扱いにする会社が多いですが、概算を本体に含めて提示する会社もあります。
上下水道の引き込み工事も同様で、土地の条件によって費用が大きく変わるため、別途扱いにするケースがほとんどです。こういった項目が会社によって本体に入っていたり入っていなかったりするため、見積書の金額だけを見ても正確な比較ができないのです。
住宅会社を比較するときに私がおすすめしているのは、各社に「この見積書に含まれていないものは何ですか?」と必ず聞くことです。この質問に対して丁寧に答えてくれる会社は信頼できます。
逆に曖昧な返答をする会社や、後から追加費用を次々と請求してくる会社には要注意です。別途工事費の範囲を明確にしてくれるかどうかが、その住宅会社の誠実さを測るひとつのバロメーターになります。
1-5. 見積書で別途工事費を見落とすと起こること
別途工事費を見落としたまま家づくりを進めると、どんなことが起きるのか。最もよくあるパターンが、契約後に次々と追加費用が発生して、最終的な総額が当初の予算を大幅に超えてしまうことです。
「地盤補強が必要になりました」「上下水道の引き込みに思ったよりかかりました」「外構工事の見積もりが出たら想定より高かった」。こういった話は、この業界では日常的に起きています。
特に問題になるのが、契約後に発覚するケースです。契約前であれば「予算が合わないので他の会社を検討する」という選択肢がありますが、契約後に追加費用が発生した場合は、基本的に支払うしかありません。
住宅会社の中には、本体価格を安く見せるために別途工事費を意図的に見積書から外しているところもあります。契約を取ることを優先して、別途工事費の説明を後回しにするわけです。こういった会社に引っかからないためにも、契約前に別途工事費を必ず確認することが大切です。
20年以上この仕事をしてきた私が断言します。別途工事費の確認を怠って後悔した方を、これまで何人も見てきました。家づくりは人生で最も大きな買い物です。
契約前に別途工事費の概算をすべて出してもらい、本体工事費と合算した総額で判断する。この手順を踏むだけで、後から慌てるリスクを大幅に下げることができます。面倒に感じるかもしれませんが、この確認作業が後悔しない家づくりに直結します。
2. 別途工事費の項目別・内訳と費用の目安
2-1. 地盤補強工事|費用が読めない最大のリスク項目
別途工事費の中で最もリスクが高い項目が地盤補強工事です。地盤補強工事とは、建物を建てる土地の地盤が軟弱な場合に、地盤を強化するために行う工事のことです。
この工事が必要かどうか・どのくらいの費用がかかるかは、地盤調査をしてみないとわかりません。つまり土地を購入した段階では、地盤補強工事の費用がいくらになるか確定できないのです。これが地盤補強工事を最大のリスク項目と言う理由です。
地場調査方法や地盤改良方法については以下のコラムをご参照ください。
地盤補強工事の費用は、支持層までの深さと補強方法によって大きく変わります。表層改良工法であれば50万円前後で済む場合もありますが、柱状改良工法になると100万円前後、鋼管杭工法になると150万円以上かかることもあります。
同じ地域でも、隣の土地と地盤の状態が全然違うということも珍しくありません。過去に田んぼや河川だった土地、埋め立て地、造成地などは特に地盤が弱いケースが多く、注意が必要です。
地盤補強工事への備えとして、私が必ずお伝えしているのは予算に100万円程度を最初から確保しておくということです。地盤調査の結果、補強が不要だったときはその分が余裕になります。逆に補強が必要になったときも、予算を確保しておけば慌てずに済みます。
土地を選ぶときに地盤の状況をある程度調べておくことも大切です。自治体のハザードマップや地盤情報サイトを活用して、事前にリスクを把握しておいてください。
2-2. 外構工事|駐車場・フェンス・植栽にかかる費用
外構工事とは、建物の外まわりにかかる工事全般のことです。駐車場・アプローチ・フェンス・門扉・玄関ポーチ・植栽・ウッドデッキなどが含まれます。家の完成イメージを大きく左右する部分でもあり、こだわりだすと費用がどんどん膨らみやすい項目でもあります。
外構工事は基本的に別途工事扱いになることがほとんどで、同じ建築会社が施工する場合でも別契約になるケースが多いです。
外構工事の費用の目安は、シンプルな仕様であれば80万円〜150万円程度。ウッドデッキや本格的な門扉・フェンス・植栽にこだわると300万円以上になることもあります。
また土地の形状や高低差によっても費用が変わります。道路と敷地に高低差がある場合は、擁壁や階段の工事が必要になり、それだけで数十万円から数百万円の追加費用が発生することがあります。外構工事は後から追加しやすい部分でもあるため、最初は最低限の予算で計画しておくのもひとつの方法です。
外構工事で私がよくお伝えするのは、建物の引き渡し時点で外構工事が完成していなくても生活できるように計画しておくということです。駐車場だけ先に仕上げて、フェンスや植栽は後から追加するという進め方もあります。
外構工事は入居後に時間をかけてこだわっていける部分でもあるので、最初から無理に予算を詰め込む必要はありません。ただし最低限必要な部分の予算だけは、必ず最初から確保しておいてください。
2-3. 水道・ガスの引き込み工事|土地条件で大きく変わる
上下水道の引き込み工事とは、公道から敷地内まで給排水管を引き込むための工事のことです。新しく開発された分譲地であれば、すでに敷地内まで引き込まれているケースも多いですが、古い土地や農地を転用した土地では、引き込み工事が必要になることがほとんどです。
また既存の引き込み管が古くて交換が必要になるケースもあります。この工事は自治体が指定した水道設備会社が施工するため、住宅会社が自由に業者を選べないという特徴があります。
上下水道引き込み工事の費用は、道路の水道本管の位置や深さ、道路の舗装状況によって大きく変わります。費用の幅は20万円程度から100万円前後と非常に広く、土地によっては100万円を超えることもあります。
ガス工事についてはガス会社が無償で引き込みを行う場合もありますが、距離が遠い場合は費用が発生するケースもあります。また都市ガスが通っていないエリアではプロパンガスを選択するか、オール電化にするかという判断も必要になります。
土地を購入する前に上下水道の引き込み状況を必ず確認することが大切です。不動産会社や住宅会社に「この土地に上下水道は引き込まれていますか?引き込み工事が必要な場合、概算でいくらくらいかかりますか?」と聞いてください。
土地の価格だけを見て安いと判断しても、引き込み工事に多額の費用がかかることがわかれば、実質的な総額が大きく変わります。土地を選ぶときは必ずインフラの整備状況まで確認する。これが土地選びで失敗しないための基本です。
2-4. 解体工事|古家ありの土地を選ぶときの注意点
古家付きの土地を購入して新しく家を建てる場合、まず既存の建物を解体する必要があります。この解体工事も別途工事費に含まれる項目のひとつです。古家付きの土地は更地と比べて販売価格が安く設定されていることが多いため、「お得な土地を見つけた」と感じやすいです。
しかし解体費用を加味した実質的な総額で比較しないと、本当にお得かどうかはわかりません。解体費用込みで考えたら更地の方が安かったというケースも少なくありません。
解体工事の費用は、建物の構造・規模・立地条件によって大きく変わります。木造住宅であれば坪あたり3万円〜5万円程度が目安で、30坪の建物なら90万円〜150万円程度になります。鉄骨造や鉄筋コンクリート造はさらに費用がかかります。
また道路が狭くて重機が入れない場合は手作業になり、費用が割高になります。アスベストが含まれている建材が使われている場合は、専門の処理が必要で追加費用が発生します。築年数が古い建物ほどアスベストのリスクも高くなります。
古家付きの土地を検討するときは、必ず解体費用の概算を先に確認してください。解体費用の概算は、解体専門業者に現地を見てもらうことで把握できます。土地の購入を決める前に概算を取っておくことで、土地代+解体費用の実質的なコストがわかります。
また解体工事は住宅会社を通じて依頼することもできますが、解体専門業者に直接依頼した方が費用を抑えられるケースもあります。複数の業者から見積もりを取って比較することをおすすめします。
2-5. その他の別途工事費|照明・空調・カーテンまで
地盤補強・外構・水道引き込み・解体以外にも、別途工事費に含まれる項目はいくつかあります。その中で特に見落とされやすいのが照明器具・空調・カーテンの3つです。これらは生活するために絶対に必要なものですが、住宅会社の見積書に含まれていないことが多いです。
「家が完成したのに照明がない・エアコンがない・カーテンがない」という状態で引き渡しを受けて、入居直前に慌てて手配するケースが実際によくあります。
費用の目安としては、照明器具は全室分まとめると30万円〜80万円程度。エアコンは台数や機種によって異なりますが、リビング用の大型機種と各部屋用を合わせると50万円〜100万円程度になるケースもあります。
カーテンやブラインドも、既製品で揃えれば比較的安く抑えられますが、オーダーカーテンにすると一気に費用が上がります。全室オーダーカーテンにすると50万円以上かかることも珍しくありません。これらを合計すると、軽く100万円を超えることもあります。
また防犯設備工事も別途扱いになることが多い項目のひとつです。センサーや操作盤などの機械警備設備は警備会社が施工するため、住宅会社の工事とは別契約になります。
こういった細かい別途工事費が積み重なると、総額は思いのほか大きくなります。照明・空調・カーテン・防犯設備などは入居後に少しずつ揃えていくことも可能ですが、最低限必要なものの費用は最初から予算に組み込んでおく。この習慣が家づくりの予算管理を安定させる基本です。
3. 別途工事費で失敗しないための確認ポイント

3-1. 見積書をもらったら最初に確認すべきこと
住宅会社から見積書をもらったとき、まず金額の大きさに圧倒されてしまう方がほとんどです。でも金額の合計だけを見て終わりにしてはいけません。見積書をもらったら最初にやるべきことは、別途工事費がどこまで含まれているかを確認することです。
本体工事費だけが記載されていて別途工事費がまったく触れられていない見積書は、実質的に総額がわからない見積書と同じです。この確認を怠ると、後から予算が大幅に膨らむリスクがあります。
見積書を受け取ったら、必ず担当者に以下の点を確認してください。地盤補強工事の概算は含まれているか。外構工事はどこまで含まれているか。上下水道の引き込み工事は含まれているか。照明器具・空調・カーテンは含まれているか。
これらの項目が含まれていない場合は、概算金額を別途教えてもらうようにしてください。この確認をするだけで、見積書に書かれた金額と実際の総額の差がどのくらいあるのかが見えてきます。
私がこれまでの経験の中で感じるのは、この確認をきちんとしてくれる住宅会社ほど信頼できるということです。最初から別途工事費の概算を丁寧に説明してくれる会社は、お客様に総額をしっかり把握してもらった上で家づくりを進めようという誠実な姿勢の表れです。
逆に別途工事費について聞いても曖昧な返答しかしない会社は、本体価格を安く見せることを優先している可能性があります。見積書の確認は、住宅会社の誠実さを見極める場でもあります。
3-2. 支払い方法は2パターン|直接払いと精算払いの違い
別途工事費の支払い方法には大きく2つのパターンがあります。ひとつ目は、施主が工事のたびに直接施工会社に支払う「直接払い」。ふたつ目は、住宅会社が概算金額を預かっておき、引き渡し時に精算する「精算払い」です。
どちらのパターンになるかは住宅会社によって異なります。また同じ会社でも項目によってパターンが違うこともあります。この支払い方法の違いを事前に把握しておかないと、資金繰りで慌てることになります。
直接払いのパターンでは、地盤補強工事・上下水道引き込み工事・外構工事など、それぞれの施工会社から個別に請求が来て、そのたびに支払いが発生します。支払いのタイミングが分散するため、一度に大きな金額を用意する必要がない反面、支払い管理が複雑になります。
精算払いのパターンでは、住宅会社が概算金額を預かって各施工会社への支払いを代行してくれるため、施主の管理負担は少なくなります。ただし概算と実際の費用に差が生じた場合は、引き渡し時に精算が発生します。
支払い方法についても、見積書をもらった段階で必ず確認してください。特に住宅ローンを利用する場合は、別途工事費をローンに組み込めるかどうかも重要なポイントです。
住宅ローンは基本的に建物と土地に対して借りることができますが、別途工事費をローンに含めるかどうかは金融機関や住宅会社によって対応が異なります。支払い方法と住宅ローンとの兼ね合いを早い段階で確認しておくことで、資金計画をスムーズに進めることができます。
3-3. 複数社を比較するときに別途工事費を揃える方法
複数の住宅会社から見積もりを取って比較するとき、本体工事費だけを比べても意味がありません。別途工事費の範囲が会社によって異なるため、本体価格が安い会社の方が実は総額が高いというケースが頻繁に起きます。
正しい比較をするためには、各社の見積書に含まれていない別途工事費をすべて洗い出した上で、同じ条件で揃えた総額を比較する必要があります。この作業を省略して本体価格だけで判断すると、後から大きな後悔につながります。
複数社を正しく比較するための手順はシンプルです。まず各社の見積書に何が含まれていて何が含まれていないかをリストアップします。次に含まれていない項目について各社から概算を出してもらいます。そして本体工事費に別途工事費の概算をすべて加算した総額を各社で比較します。
この手順を踏むことで、初めて正確な比較ができます。手間はかかりますが、人生最大の買い物をするわけですから、この手間を惜しむべきではありません。
また比較するときは金額だけでなく、別途工事費の概算をどのくらい丁寧に説明してくれるかという点も評価基準にしてください。別途工事費について細かく説明してくれる会社は、それだけお客様の立場に立って家づくりを進めようとしている会社です。
逆に別途工事費の説明が曖昧な会社は、契約後に次々と追加費用を請求してくる可能性があります。金額の比較と同時に、会社の誠実さも必ず見極めてください。
3-4. プランが進むにつれて変動する費用への対処法
家づくりのプランが進むにつれて、別途工事費の金額が変動することがあります。最初に提示された概算と、プランが確定した後の実際の金額が大きく異なるケースも珍しくありません。
特に地盤補強工事は地盤調査の結果が出るまで正確な金額が確定せず、外構工事もプランの詳細が決まるにつれて金額が変わります。こういった変動リスクのある費用に対して、どう備えておくかが家づくりの予算管理において非常に重要です。
変動リスクへの備えとして最も有効なのは、予算に余裕を持たせておくことです。別途工事費の概算が出た段階で、そこからさらに10〜15%程度の余裕を持たせた金額で予算を組んでおくと安心です。
例えば別途工事費の概算が300万円だとしたら、330万円〜345万円を予算として確保しておく。この余裕が後から発生する追加費用の受け皿になります。余裕を持たせた予算で収まれば、その分が手元に残るだけです。
プランが進む節目ごとに、別途工事費の最新概算を必ず確認する習慣をつけることも大切です。土地が決まった段階・基本プランが確定した段階・実施設計が完了した段階など、それぞれのタイミングで別途工事費の金額を更新してもらってください。
こまめに確認することで、金額の変動を早い段階でキャッチできます。問題が小さいうちに対処できれば、プランの見直しや予算の調整もしやすくなります。変動リスクを恐れるのではなく、こまめな確認で管理することが大切です。
3-5. 別途工事費も含めた総額で予算を組む考え方
家づくりの予算を組むとき、本体工事費だけを基準に考えるのは危険です。別途工事費・諸費用・土地取得費をすべて含めた総額で予算を組むことが、家づくりで予算オーバーを防ぐ唯一の方法です。
住宅ローンの借入額と自己資金の合計が、この総額を上回らないように計画する。この考え方が家づくりの予算管理の基本中の基本です。本体工事費だけで予算を組んでしまうと、別途工事費が発生するたびに予算が圧迫されて、最終的に大幅な予算オーバーになります。
具体的な予算の組み方として、まず家づくりに使える総予算を決めます。次にその総予算から諸費用(総額の10%程度)と土地取得費(土地代+土地の諸費用)を引きます。残った金額が建築にかけられる予算です。この建築予算の中から別途工事費(建築費の15〜20%程度)を引いた金額が、本体工事費にかけられる上限です。
この順番で逆算することで、現実的な本体工事費の上限が見えてきます。この数字を住宅会社に伝えることで、予算内に収まるプランの提案を受けることができます。
最後に私から強くお伝えしたいことがあります。家づくりは総額で考えることが絶対条件です。本体価格の安さだけに目を向けて住宅会社を選ぶと、別途工事費や諸費用で後から大きなしわ寄せが来ます。
20年以上この仕事をしてきた中で、総額を把握せずに家づくりを進めて後悔した方を何人も見てきました。住宅会社に最初に相談するときから「家づくりの総予算は〇〇万円です」と伝える。別途工事費も含めた総額で比較する。この2つを徹底するだけで、家づくりの後悔リスクを大幅に下げることができます。
まとめ
家づくりにかかるお金は、本体工事費だけではありません。別途工事費・諸費用・土地取得費を含めた総額で考えることが、家づくりの第一歩です。住宅会社の広告に書かれた「本体価格〇〇〇万円」という数字に惑わされず、総額でいくらになるのかを最初から把握してください。この視点を持つだけで、後から「こんなはずじゃなかった」となるリスクを大きく減らすことができます。
見積書をもらったときは、別途工事費と諸費用が含まれているかどうかを真っ先に確認してください。含まれていない場合は必ず概算を確認する。複数社を比較するときは本体価格だけでなく、同じ条件で揃えた総額で比較する。この習慣を持つことが、住宅会社選びで失敗しないための基本です。金額の安さだけで判断せず、その金額に何が含まれているのかまで確認することが大切です。
家づくりのお金は、建てるときだけでは終わりません。
住み始めてからも光熱費・メンテナンス費・修繕費がかかり続けます。
断熱性能への投資は、長期間にわたって光熱費を抑える効果があります。30年というスパンで考えれば、最初にしっかりした性能の家を建てることが、トータルコストを抑える最善の方法です。建てるときだけ安い家ではなく、住んでからも安い家を選んでください。
予算を考えるときは「今払えるか」だけでなく、「住み続けられるか」を基準にしてください。住宅ローンの返済額・固定資産税・修繕積立・光熱費・教育費など、住んでからかかるすべての費用を見据えた上で、無理のない返済計画を立てることが大切です。そして自己資金は使い切らず、緊急予備費として生活費の3〜6ヶ月分を必ず手元に残しておく。家づくりは建てて終わりではなく、住み続けることが本番です。
本田 準一
1977年10月生まれ 岡山県出身 2011年入社(建築業界歴26年) デベロッパーでマンション販売を経験後、姫路の工務店へ転職。8年間で150組の家づくりを支援。家づくりの本質を追求するためクオホーム事業部を設立。趣味は家具研究、建築探訪、カメラなど。