耐震等級はどこに書いてある?調べ方や重要性、震度との関係について
こんにちは、クオホームの本田です。
日本に家を建てる以上、地震への対策は欠かせませんよね。
近年、比較的大きな地震も増えてきて「南海トラフ巨大地震は大丈夫だろうか…」「大地震でうちの家は倒壊しないだろうか?」などと不安になる人も増えてきたのではないでしょうか。
2016年に起きた最大震度7の熊本地震では、耐震等級1の住宅はもちろん、耐震性に優れているとされている耐震等級2で建てられた住宅でも一部、半壊しました。(詳しくは後ほど説明します)
果たして、今のあなたの家がどれだけの地震に耐えられるのでしょうか。
本記事で、耐震等級の調べ方や、耐震性の重要性、耐震等級以外の耐震ポイントなどを解説します。
これから新築や建て替えを検討されている方や、耐震について悩んでいることがある方はぜひお読みください。
耐震等級はどこに書いてある?調べ方・確認方法
そもそも耐震等級とは何かわからない人もいるでしょう。
耐震等級は2000年、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づいて制定された、建物の強度を示す指標で、住宅性能表示の一つです。
住宅がどれくらいの地震に耐えられるか3段階に分けられたもの、だと思っていただければイメージしやすいかもしれません。今住んでいる住居の耐震等級の調べ方
今お住まいの住居の耐震等級の調べ方は「住宅性能評価書」という、住宅の性能を評価した書類に記載されています。
しかし、住宅性能評価書は作成に別途費用が発生することが多いため、どの家にも必ずある書類ではなく、希望者のみ作成しているといったケースもあります。
どうしても耐震等級を調べたい、保険の割引申請等で必要、といった場合は、住宅を建てた工務店やハウスメーカーに相談してみてください。
単に耐震等級が調べられれば良いという場合は、建ててもらったハウスメーカーや工務店、設計事務所などに確認することで知れる場合もあります。
なお、今の自宅の耐震等級がどうやっても調べられないという場合は建築時期で判断してください。
1981年6月1日以降に建築確認を受けている場合は、新耐震基準により耐震等級1以上は最低限保証されています。これから建築、または建売を買う人の耐震等級の調べ方
これから建築する場合や建売の購入を検討している場合は、工務店に相談するか、ハウスメーカーのチラシやホームページを見ると、耐震等級について記載があるかもしれません。
記載がない場合は、問い合わせてみると答えてくれると思います。
3段階の耐震等級それぞれの耐震性・震度との関係
耐震等級は1〜3の3段階に区分されています。
それぞれの耐震性がどの程度のものか、震度との関係を交えて見ていきましょう。
耐震等級1
耐震等級1は建築基準法による新耐震基準と同等の強さの耐震性があることを示しています。
1981年6月以降に建てられた建築物であれば、最低でも耐震等級1が保証されます。
震度を基準とした耐震性は以下の通りです。
- 震度5強程度の地震・・・大きな損壊はないとされている。
- 震度6強〜7の地震・・・即倒壊はしない強度だが、修繕が必要になるケースが多い。地盤や環境によっては全壊もありえる。
耐震等級1だと、今後大きな地震がきた際に、全く被害を受けないというわけにはいかなさそうです。
耐震等級2
耐震等級2は、地震への耐久性が耐震等級1の1.25倍ある建物を示します。
学校や病院など避難所に指定されるような建物は耐震等級2以上が必要です。また、長期優良住宅として認定されるのも、耐震等級2からです。
地震への耐久性は強く、震度6強〜7の地震でも全壊することは多くなく、多少修繕する程度で済むケースもあります。
しかし、2016年の熊本地震では2度の震度7によって半壊してしまった住宅もあります。
耐震等級3
耐震等級3は、地震への耐久性が耐震等級1の1.5倍ある建物を示します。
地震への耐久性が最も高く、震度6強〜7の地震があっても倒壊しません。目立つような大きな損壊もなく、軽い修繕で済むことが多いです。
消防署や警察署など、防災拠点になりうる建物や施設は耐震等級3です。
2016年の熊本地震では震度7が2度、立て続けに発生しました。
8,369棟以上が全壊、半壊が32,478棟、146,382棟が一部破損という、大規模な住宅被害となりましたが、なかでも耐震等級3の住宅については大きな損傷はなく、ほとんどが無被害でした。
参考資料:「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」報告書のポイント/国土交通省 住宅局
地震に関する法律や基準は、大きな地震が起こるたびに再検討、改正されてきています。
今後も耐震等級の基準がどんどん厳しくなっていく可能性も十分あるでしょう。
耐震等級はどういった基準で決まるのか?5つのポイント
耐震等級の調べ方や、それぞれの等級がどれくらいの地震に耐えられるのかはわかったと思います。
「じゃあ耐震等級はどういう基準で決まるの?」という疑問が出てくる人もいるでしょう。
耐震等級が決まる基準には以下の5つのポイントがあります。
- 建物の軽さ
- 耐力壁の多さ
- 耐震補強金物と耐力壁の配置バランス
- 床の強度・耐震性能
- 基礎の強度
ポイント1.建物の軽さ
家は重たいほうがしっかりしていて、地震に強いのでは?と思う人もいるかもしれません。
実は逆で、軽い家のほうが耐震性に優れているんです。
建物が重たい=建物全体にかかる重量が大きくなるため、地震の揺れによる振れ幅が大きくなり、倒壊につながりやすくなるということです。
また、鉄筋コンクリート造や鉄骨造の住宅よりも、木造住宅のほうが断然軽く、耐震構造をしっかり検討してから建てることができるため、木造住宅は地震に強いとされています。
ポイント2.耐力壁(耐震壁)が多い
耐力壁は垂直方向、水平方向の力を吸収・抵抗し、建物を支える役割をもちます。
主に、筋交いを使用した耐力壁と、ツーバイフォー(2×4)工法による耐力壁があり、近年では後者が用いられることが増えています。
耐力壁が多いほど、耐震性が強くなります。
ポイント3.耐震補強金物と耐力壁の配置バランス
耐力壁を増やすほどいいというわけでもなく、耐力壁をどこに配置するか、耐震補強金物の取り付けや全体のバランスも考えなければいけません。
また、直下率も、耐震性能に非常に重要になってきます。
直下率とは、一階と二階でつながっている柱や壁の割合を表したものです。
熊本地震では、耐震等級2の住宅だったのにも関わらず、この直下率が低かった(50%以上が適正だが達していなかった)ために倒壊したという例があります。
直下率については以下の記事で解説しているので参考にしてください。
■関連記事:「直下率ってなに??家の間取りを考える時には直下率も考えよう」
ポイント4.床の強度・耐震性能
床は建物全体の重さがのしかかってきます。
それだけでなく、地震や風などによる横揺れで、水平方向の力にも耐える必要があります。
床の強度が弱いと、強い衝撃を受けた際に建物全体が歪んでしまう可能性があり、危険です。
床の強度を強くすることで、横からのダメージを軽減させることができます。
ポイント5.基礎の強度
建物を建てる際には構造はもちろんですが、基礎がしっかりしていないと地震に強い家は建てられません。
耐震等級3の家を建てるとなると、より強度な基礎が必要となってきます。
日本では主にベタ基礎と布基礎と言われる基礎が採用されていますが、より耐震に優れているのはベタ基礎です。
さらに具体的な基礎の話については、また別記事でお話しできればと思います。
耐震等級以外の地震対策
長持ちする家で安全に暮らすための地震対策には、耐震等級に直結する対策以外にも、いくつかあります。
地盤の強さ
地震による建物の倒壊は、耐震等級だけ良ければいいわけではありません。
どんなに強固な住宅を建てたとしても、地盤が悪ければ、倒壊する恐れがあります。
「耐震等級の他に、地盤のことまで考えなければいけないのか」…と思うかもしれませんが、安心してください。
これから家を建てようとする場合には、必ず基礎工事の前に地盤調査が入ります。
そして地盤が悪い(弱い)と判断された場合は、地盤改良が必要です。
地盤調査と、改良が必要とされた場合の地盤改良は、2000年の建築基準法改定により事実上、義務付けられています。建築基準法施行令 第三十八条
建築物の基礎は、建築物に作用する荷重及び外力を安全に地盤に伝え、 かつ、地盤の沈下又は変形に対して構造耐力上安全なものとしなければならない。
引用:e-GOV 法令検索
建築基準法施行令 第九十三条
地盤の許容応力度及び基礎ぐいの許容支持力は、国土交通大臣が定める方法によつて、地盤調査を行い、その結果に基づいて定めなければならない。
引用:e-GOV 法令検索
第九十三条のほうは、一部例外について記載されているので、必ずしもすべての土地が対象ではありませんが、安全な家を建てるといった上では事実上、地盤調査が義務化されています。
今後建てられる新築で、地盤の悪い場所に建てられた…といったことにはならないでしょう。
そのほか地震対策
地震対策には耐震以外に「免震」「制震(制振)」があり、それぞれ耐震性の高い工法があります。
耐震フレームや制震ダンパー、ロッキング工法、梁勝ちラーメン構造など、さまざまです。
メリット・デメリットはありますが、上記のような耐震性の高い工法を選ぶと、より耐震性に優れた住宅になるでしょう。
【動画】制震ダンバーの効果は?必要なのか?
今の家の耐震等級を上げるなら耐震リフォームや建て替えが必要
今の家が耐震等級1だから2や3にあげたい…と思う人もいるでしょう。
その場合は、耐震リフォームや建て替えが必要です。
兵庫県による南海トラフ巨大地震想定によると、兵庫県は震度6弱〜7で、当社クオホームの施工範囲である姫路市は震度6強と予測されています。
姫路で安全に生活するために、最悪のケースを想定して今から耐震等級3に建て替え…という選択肢も有効かもしれませんね。
ただし、耐震リフォームや建て替えの場合には、一度住居を移さなければならないことが多いです。
耐震補強程度であれば1ヶ月以内に終わるケースもありますが、フルリフォーム、建て替えなどの場合は半年〜1年ほどかかります。
当社でもリフォームや建て替えのご相談はよく受けておりますので、お気軽にお問い合わせください。設定の確認お願いします。
耐震等級によって地震保険の割引が適用されるメリットも
耐震等級があがるほど、耐震等級割引という、地震保険の割引が適用されます。
地震保険は火災保険とセットになっていて、地震保険のみでは加入できません。
火災保険の中の、地震保険の分が割引適用となります。
割引適用率はそれぞれ
- 耐震等級1・・・10%
- 耐震等級2・・・30%
- 耐震等級3・・・50%
と、保険料が割引されます!
(参考:地震保険制度の概要/財務省)
耐震等級3だと半分になるのは、大きいですよね。
例えば保険金額が2,000万円で、支払いが14,800円/年のケースだと
14,800円の50%割引で、7,400円になります。
これを35年ローンで計算すると、7,400円×35年=259,000円の支払いで済みます。
保険金額が大きければ大きいほど、割引の恩恵を受けられますね。
しかし、割引適用には耐震等級を証明する「住宅性能評価書」が必要です。
これから作成する場合は、書類作成費用(10万円〜20万円またはそれ以上)もかかるので、割引額と照らし合わせて、本当に必要か検討してください。
耐震等級の調べ方を知り、耐震性に優れた住宅設計を!
耐震等級の調べ方は「住宅性能評価書」に記載されていて、所持していない人は有料で申請できることもわかりました。
また、耐震等級以外の耐震性を強化する方法や重要性についても、ご理解いただけたのではないでしょうか。
「数百年、数十年に一度の大地震に耐えられる耐震性」といった基準で設けられている耐震等級ですが、近年地震は増えています。
事実、数百年に一度の大地震とされている震度7の地震は、1995年の阪神淡路大震災以降、2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震と、約20年の間で4回も起こっています(熊本地震は2回)
地震調査委員会は2022年、今後40年以内に南海トラフ大地震が発生する確率を「90%程度」と引き上げ、発表しました。
そして、南海トラフ大地震が起きた際、姫路市で起こる震度は6強以上と予測もされています。
安心・安全な生活を送るためにも、今一度耐震等級の確認と、耐震性について再検討してみるのも、いいかもしれません。
当社クオホームでは”長持ちする家”をコンセプトとしています。
優れた耐震性能だけでなく、メンテナンス費様や光熱費を抑え、飽きの来ないデザイン性をご提案いたします。
これから新築計画を立てようとしている方だけでなく、少しでも興味を持たれた方はぜひ当社にお問合せください。