ロックウールとグラスールの違いについて考える

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近年いろんな断熱材が発売、施工されていますが、今なお現在も王道の断熱材として採用されるのが「ロックウール」と「グラスウール」です。

このロックウールとグラスウールはよく近い商品として比較されますが、製品自体の特徴は全く違います。今更ですが、一番基本的なこの「ロックウール」と「グラスウール」の違いについて比較しながらご説明したいと思います。

断熱材「ロックウール」とは

画像引用元:wikiペディアhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%A6%E3%83%BC%E3%83%AB

ロックウールは玄武岩や安山岩といった天然の鉱石を高温で熱して溶かし、それを線維状に加工して綿の様に成形して作る断熱材です。

イメージとしては「石から作った綿あめ」の様な物です。ですから、岩石由来のイメージとはかけ離れて、軽量で取り扱いやすい特徴があります。

ロックウールの断熱のメカニズムは、繊維と繊維の間に抱き込んだ空気によって熱の移動を抑えることによります。

熱の移動の状況はロックウールの繊維の密度によって変わり、高密度の方が熱移動が小さくなるため断熱性が良く、密度が低くなると熱移動が大きくなってしまい、断熱性も落ちてしまいます。

 

これは、断熱材の中に閉じ込めてある空気の対流の状況によるもので、繊維密度が少なくなると断熱材の中の空気の対流がより活発に行われて、熱がより多く移動してしまうからです。

ロックウールの他の断熱材と比べた時のメリットは、撥水性に優れている点です。

ロックウールやグラスウールをはじめとする繊維系断熱材は、繊維間の空気層が熱移動の遮断に大きく関与します。

これらは湿気などで断熱材の中に水が入り込むと、素材によっては断熱材の全体が潰れてしまって繊維間の空気層が小さくなってしまいます。

そして、断熱性能が著しく低下してしまいます。しかし、ロックウールは水をはじくので潰れることは無く、空気層も保持されて断熱性能を保つことが可能です。

 

また、鉱物由来の素材のため火に強いですし、空気を閉じ込めているので、防音効果もあります。そして、無機素材のためにシロアリの害なども受けません。

ただ、デメリットとしてはコストの面で、グラスウールなどと比較すると少し高めになるのが残念な点です。

ロックウールの製品としては、ボード、マット、フェルトのタイプが販売されています。製品の厚みなどにバリエーションがあり、断熱性能も変わります。

住宅用の断熱材としては、ボードとマットが多く利用され、特に壁や天井にはマットの物が使われます。

そして、ロックウールを語る上で外せないのが、アスベストとの違いです。

アスベストも鉱物由来の断熱材ですが、発ガン性が認められている素材です。

鉱物由来ということから、ロックウールとアスベストは混同されがちですが、ロックウールのはアスベストの様な発ガン性はありません。

そのため、ロックウールは安心して使うことが出来るのです。これは、繊維の大きさの違いによる物です。

アスベストはロックウールに比べて非常に細かくなるため、肺に入り込みやすいです。しかし、ロックウールは繊維がそこまで細かくならないため、人体に溜まることはありません。
ちなみに、ロックウールのメーカーは、JFEロックファイバー、ニチアス、日本ロックウールが大手になっています。

シェアとしては、JFEロックロックファイバー、ニチアス、日本ロックウールの順番です。

断熱材「グラスウール」とは

画像引用元:wikiペディア https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%82%A6%E3%83%BC%E3%83%AB

グラスウールはガラスから作る素材です。ただ、ガラスと言ってもリサイクルガラスを多く使っているので、リサイクルの観点からすると環境に優しい素材と言うことが出来ます。

グラスウールの製法としては1,000℃を超える高温でガラスを溶かして線維化し、それを集めて綿の様に成形します。

ですから、無機質の繊維を綿状にして使っている点では、ロックウールと同じと言えます。
グラスウールの断熱のメカニズムとしては、ロックウールをはじめとする他の断熱材と同様に、繊維と繊維の間の空気によって効果を出します。
グラスウールのメリットとしては、材料費も施工費も抑えられる点が挙げられます。そのため、建築コストを抑えたい時には重宝する素材と言うことが可能です。

 

ただし、難点なのは水に弱い点で、グラスウールの繊維の間に水が入り込んでしまうと全体が潰れてしまい、断熱性能を下げてしまいます。

また、施工の状態が悪いと、グラスウールの中に水が入り込みやすくなり、断熱効果を失ってしまう場合もあります。

そのため、施工の際には水の対策に気を付けなければなりません。

また、仮に水の害を受けてしまうと、カビの発生のリスクが発生します。

グラスウールは壁などに入れますが、断熱材にカビが生えると壁の外からは様子が分かりません。そのため、カビによる健康被害のリスクも想定出来るでしょう。
尚、グラスウールもロックウール同様に、燃えない素材であり、防音効果があります。シロアリの被害もロックウールと同じ様に無機質のため、受けません。
また、製品としては、これもロックウールと同じ様に、ボードの製品やマットの物があります。

これもバリエーションがあり、厚みなどによっても断熱効果が違います。

ちなみに、グラスウールを扱っている会社ですが、旭ファイバーグラスやマグ・イゾベールなどが大手です。

ロックウールとグラスウールの違いは?

ロックウールもグラスウールの違いは原材料にあります。と言うのも、前述の通り、ロックウールは鉱物由来でグラスウールはガラス由来だからです。ただ、これらは両方とも繊維系断熱材であり、素材も無機系のため、性質的には似ている部分が多いです。
繊維系の断熱材という点から見てみれば、双方とも中の空気により断熱効果を持ちます。また、同じ様に無機系素材であるため、火などに対しても強いです。シロアリの害も受けません。
しかし、両者は同じ訳ではありません。違いはあるのです。
例えばコストがあります。コストにおいてはグラスウールが有利です。そのため、建築費用を抑えるのであればグラスウールを使うほうが有利です。しかし、グラスウールには吸水性があるため、防水工事が必要です。その一方でロックウールには撥水性がありますが、グラスウールまでのコストメリットはありません。つまり、双方とも長所と短所がある訳です。
そのため、断熱材の選び方としては、コストで選ぶか、環境的に水が入りやすいか、それぞれの性能と現場の条件をトータルで検討することが重要となります。

ロックウールとグラスウールの防音を比較してみる

次に防音性能について比較してみましょう。ただ、単に「防音」と言ってもいくつかのメカニズムがありますので、その部分を振り返りながら紹介したいと思います。

防音についてのおさらい

まずは防音についておさらいしてみましょう。防音とは「音の伝わりを防ぐ」という意味ですが、実は防音には2通りの遮蔽の手段があります。「遮音」と「吸音」です。
遮音は遮蔽物を音源との間に設置することにより防音を狙う物です。設置した遮蔽物が音を跳ね返すことにより、音の伝わりを少なくします。具体例としては、騒がしい部屋のドアを閉めると、部屋の中の音が小さくなります。これはドアが音の伝わりを反射させて小さくなるからです。
一方で吸音は音を吸収して音を小さくします。ロックウールやグラスウールの防音がこれに当てはまります。小さい隙間が音を取り込んで拡散させて音の伝わりを防ぐイメージとなります。ちなみに、音は空気の振動の伝搬と言えますが、このエネルギーは断熱材の中で熱のエネルギーに変わります。

ロックウールとグラスウールの違い

ロックウールとグラスウールでは基本的には同じ繊維系のため、吸音の効果は似ています。双方とも厚さが増すと吸音の効果がアップします。ただし、吸音の特性はロックウールとグラスウールでは変わって来ます。
ロックウールもグラスウールも、密度が大きくなれば500ヘルツから4000ヘルツの幅広い範囲の音域で優れた吸音特性を示します。しかし、密度が低くなると、ロックウールは周波数の少ない低音域の方が吸音性能が良くなり、グラスウールの方は3000ヘルツ近辺の高音域に効果が見られます。
つまり、ロックウールとグラスウールは、厚さなどの断熱材の仕様にもよりますが、効果のある音域が違って来るのです。そのため、設置する部屋の目的をあらかじめ考えておいて、その条件で選ぶことがポイントとなります。

仮に防音室を作るとしたら

ここで、これらの断熱材を使って防音室を作ることを考えてみましょう。
ロックウールとグラスウールでは、密度が低い時に防ぐことの出来る音域が違っていました。すなわちロックウールは低音域に、グラスウールは高音域に効果が見られる訳です。それではどの様に使い分けるのでしょうか。

1つの判断基準としては「予算」の都合が考えられます。前述の通り、コストから考えるならばグラスウールの方が有利になると考えられます。確かにコストをトータルで考えるならば、密度や厚さを削って、ロックウールでも予算に合わせることも出来るとも思われます。ただ、傾向として考えるならばコストパフォーマンスの高いグラスウールの方に軍配が上がるでしょう。

それではロックウールにはメリットを活かせる場所は無いのか、と言うと、決してそんなことはありません。空気の乾燥の度合いなどによっては結露の確率なども違って来るため、地域によってはロックウールの方が良い場合もあるのです。

また、ロックウールとグラスウールを組み合わせて使うのもアリです。と言うのも、壁にぶつかる音と床に響く音では伝わる音域なども違う場合があるからです。
他にも、厚みを変えて使うこともあります。と言うのは床下などの防音は、下に仮に居室などが無く、ある程度の防音が許されるならば、床面を薄くすることもあるでしょう。

その様に考えると、予算と場所などによって、ケース毎に考えて行くのがオススメです。

ロックウールとグラスウールの見た目の違いは?

ロックウールとグラスウール、両方とも繊維質なので見た目は非常に似ています。

また、ロックウールとグラスウール、双方ともボード状の物とマット状の物があるので、見間違えることもあるかも知れません。そのため、パッケージを確認しておくことが重要になります。
尚、断熱材はパッケージのまま壁などに設置する場合も多いです。梱包を確認することが最も確かな判別手段と言えるでしょう。

ロックウールとグラスウールの性能を比較してみる

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ここで断熱性能の違いについて考えてみましょう。

ロックウールとグラスウール共に商品グレードがあります。厚みや密度ですね。

どれを選ぶか?によっては変わってはきますが、どちらにも高性能の物もありますので、それと比較するならば、差異は無くなってしまいます。そのため、条件はあるでしょうが、「どちらもあまり変わらない」という話に落ち着きそうです。

 

ロックウールとグラスウールの耐火を比較してみる

次に、ロックウールとグラスウールの耐火について比較してみましょう。

火に対する強さは?

ロックウールは鉱物由来の繊維であり、グラスウールはガラスから作る繊維です。両方とも無機素材のため、燃えません。
ただし、火に対する強さは違って来ます。耐火性はロックウールの方が高性能です。
ロックウールは摂氏700℃のレベルでも厚さや機能が変わりません。しかし、グラスウールの場合は摂氏300℃くらいで厚みが減り、約600℃の時点で機能を失ってしまいます。
尚、実際の火災の場合は、燃える物の状態や酸素の流入状態などにより、火の温度が違って来ます。そのため、最終的には両方とも機能を失うかも知れません。

不燃材としての認定

以上の様な性能から、ロックウールは耐火性の面でも高性能であることから、不燃材としても認められています。
ちなみに、断熱材が耐火性を持つことは、火災の際の延焼のリスク低減に有効です。つまり、仮に近隣にて火災が発生した際にも自宅に燃え移るリスクが下がり、自宅から出火した際も、隣家に燃え移ることを防ぐ効果が期待出来ます。また、消防車が来るまでの時間稼ぎの点でも有効でしょう。そして、この性能は避難の観点などから考えると、火がまわるスピードを遅くする効果も期待出来るため、有利であると考えられます。耐火性能の良い物を選ぶことは、人命を守ることに役立つことを忘れるべきでは無いでしょう。

まとめ、ロックウールとグラスウールのどっちが良いのか?

これまでロックウールとグラスウールの違いについて見て来ましたが、双方とも無機系の繊維系断熱材ということもあり、性能として似ている部分があることが分かったと思います。

しかし、同じ無機系の素材としても、材料の由来が全く違っていることもあり、例えば、耐火などの様な大きく特性が違って来ることも理解出来たと思います。

また、コストの問題や水の問題など、それぞれに長所と短所があることも分かりました。

つまり、それぞれに違った特徴、あるいは持ち味などがあるため、ロックウールとグラスウールの比較は簡単では無いと言えるのです。
そのため、選ぶポイントはコストや設置される環境、耐火、防音の特性などを総合的に考えて選ぶと、より良い選択が出来る様になります。
ロックウールもグラスウールも良い断熱材です。条件を色々な角度から考えて選択してください。

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