廊下の幅員を決める際のポイント|法律による制限や注意点を徹底解説

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家を建てる際は、間取りやデザインだけでなく廊下の幅員を重視することが大切です。

幅員とは幅のことです。

廊下の幅員は、法律によって最低限の制限が設けられており、日常生活で困らない程度の広さを確保する必要があります。

また家具や家財の搬入、車椅子の往来などを想定すると、廊下幅を広く確保しなければなりません。

これから家を建てようと考えている方は、廊下幅の基準と広く設定するメリット・デメリットを確認しておきましょう。

本記事では、廊下幅の基準と広く設定するメリット・デメリットを解説します。

廊下の幅を決める際の注意点をあわせて解説するので、ぜひ最後までご覧ください。

適切な廊下の幅員とは

廊下は、玄関や部屋から人々が行き来するための通路です。

日常生活で使用する機会が多く、快適に過ごせるよう一定の幅員を確保する必要があります。

廊下は、ただの通路ではなく部屋から漏れる臭いや音、視線を遮る役割があります。

廊下幅によって生活の快適さが変わるため、ただ人が通れる幅員を設定するのではなく、日常生活を想定しておくことが大切です。

廊下幅を決める際の参考として、次のポイントを確認しておきましょう。

  • 建築基準法による廊下幅の制限
  • 廊下幅の基準
  • 一般住宅は原則自由に廊下幅を設定できる
  • 車椅子が通れる廊下幅の目安

それぞれのポイントを確認して、快適に過ごせる廊下幅を設定しましょう。

建築基準法による廊下幅の制限

廊下幅は、建築基準法によって制限が設けられています。

万が一に、火災や地震などの災害が起きた際に廊下は避難経路となるため、一定の幅員を確保するよう建築基準法で定められているのです。

建築基準法の第117条で定められた、次の2つの条件に当てはまる場合は、廊下の幅員が制限されます。

  • 3階建て以上、または採光の基準を満たす窓がない部屋がある階
  • 居室の総延床面積が200平方メートルを超える階

参照元:建築基準法 第百十七条|e-Gov 法令検索

ただし、上記の条件は一般住宅であれば、該当しないケースがほとんどです。

あくまで学校や病院、ホテルなどを対象にした制限なのです。

廊下の用途/廊下の配置 両側に居室がある廊下 その他の廊下
小学校、中学校、義務教育学校、高等学校または中等教育学校における児童用・生徒用の廊下 2.3m 1.8m
病院における患者用のもの、共同住宅の住室の床面積の合計が100平方メートルを超える階

または3室以下の専用のものを除き、居室の床面積の合計が200平方メートルを超える階の廊下

1.6m 1.2m

参照元:建築基準法 第百十九条|e-Gov 法令検索

3階以下の専有廊下は、建築基準法による制限が適用されません。

そのため、3階建ての一般住宅は、廊下幅の制限を受けないため自由に設計できます。

廊下幅の基準

従来の木造軸組工法で建てられた木造住宅は、柱の芯と芯の間が「尺モジュール(910mm)で設計されているケースが多いです。

そこから柱や壁の厚みを除くと、一般的な廊下幅は約780mmになります。

廊下で人がすれ違う際に最小限確保するべき幅員が780mmです。

一般住宅は原則自由に廊下幅を設定できる

一般住宅は、ほとんどの場合が建築基準法による廊下幅の制限に該当しないため、原則は自由に廊下幅を設定できます。

原則は780mm以上で廊下幅を設定し、広さが欲しい場合はより幅広い廊下をつくりましょう。

ただし、先ほど解説した建築基準法の制限が適用される場合は、一般住宅でも制限を遵守する必要があります。

家の廊下幅を決める際は、建築基準法の制限に当てはまるか条件をチェックしておきましょう。

車椅子が通れる廊下幅の目安

車椅子の幅は、JIS規格によって手動式で630mm以下、電動式が700mm以下と基準が定められています。

そのため、750〜800mmほど廊下幅があれば、基本的に車椅子は走行できます。

しかし車椅子の幅が700mm程度の場合は、廊下幅が780mmだと余裕が少なく壁に接触するリスクがあり危険ですよね。

そこでバリアフリー法が定める廊下幅の基準は、次のとおりです。

バリアフリー法の基準 廊下幅
建築物移動等円滑化基準(義務基準) 1200mm以上
建築物移動等円滑化誘導基準(誘導基準) 1800mm以上

参照元:建築物のバリアフリー化に係る制度の概要|国土交通省

建築物移動等円滑化基準とは、バリアフリー法の適合義務に当てはまる場合の基準。

建築物移動等円滑化誘導基準とは、容積率などの緩和を受けるための基準です。

1m以上の廊下幅を確保しておけば、車椅子でも快適に生活できます。

廊下の幅員を測る際のポイント

廊下の幅員を測る際は、ただメジャーで廊下の幅を測定するだけでは正確な数値を算出できません。

なぜなら、廊下の幅員を測る際には、次のルールで数値を算出するからです。

  • 原則は壁から壁までの幅を測る
  • 手すりを設置する場合は手すりの幅を除く

廊下の幅員を測る際のポイントを押さえて、希望どおりの幅員で廊下を設計しましょう。

原則は壁から壁までの幅を測る

原則は、壁から壁までの幅を測ることで、廊下幅を測定できます。

廊下幅は、廊下の幅を表しているため、壁から壁までの距離を測れば測定できるのです。

しかし、あくまで原則なので、廊下の壁に手すりや窓の格子が突き出ている場合は、距離の測り方が変わります。

手すりを設置する場合は手すりの幅を除く

廊下に手すりを設置する場合は、手すりの幅を除いて廊下幅を計測します。

手すりや窓の格子など壁に突起物がある場合は、その先端から廊下幅を計測しましょう。

例えば、90cmの幅に壁から5cm幅の手すりを設置した場合、廊下幅は85cmです。

廊下幅を決める際には、将来的に手すりを設置する可能性を考えた設定が求められます。

廊下の幅を広く設定するメリット・デメリット

廊下幅を広く設定すると、メリットだけでなくデメリットも存在します。

メリットとデメリットの双方を確認して、どの程度の幅員で廊下を設計するべきか検討しましょう。

メリット

廊下の幅員を広く設定するメリットは、余裕のある広々とした空間を実現できることです。

住民が廊下ですれ違う際にも、スムーズに移動できるためストレスを感じません。

また車椅子での移動や大型家具や家財を搬入する際にも、幅員が広いとスムーズに動けます

将来的に手すりを設置したいと考えたときに、廊下幅が広いと幅員が極端に狭くなる心配がありません。

老後の将来に手すりを設置して、車椅子を使用する生活になった場合でも、廊下幅が広いと安心です。

デメリット

廊下幅を広く設定するデメリットは、リビングや他の居室に使うスペースが減ることです。

敷地面積や建物面積に余裕がある場合は、廊下を広く設定しても問題ありません。

しかし、都市部の住宅街や建物面積が限られている家の場合、使用できるスペースに限りがあります。

廊下の幅を広く設定した分、他の居室スペースが減ってしまうため、窮屈な間取りになる可能性があります。

家を建てる際には、廊下幅だけでなくリビングや他の居室スペースの広さを重視して、住みやすい間取りにしましょう。

廊下の幅員を決める際の注意点

廊下の幅員を決める際の注意点は、次のとおりです。

  • 手すりの高さまでこだわる
  • 家族構成やライフスタイルに合わせる
  • 家具や家電を運べる幅にする

それぞれの注意点を確認して、後悔しない廊下幅を設定しましょう。

手すりの高さまでこだわる

廊下に手すりを設ける際は、幅員だけでなく高さまでこだわる必要があります。

手すりの平均的な高さは、廊下の床から75〜80cm程度です。

しかし、人によっては平均的な手すりの高さでは、使いづらさを感じるかもしれません。

身長が高い人からすると、平均的な手すりは腰を屈める必要があり、使いづらいものです。

反対に身長が低い、もしくは腰が曲がっている人からすると、平均的な高さより低い位置にある手すりを使いやすいと感じます。

廊下に手すりを設置する際は、実際に住む人の身長に合わせて廊下幅と手すりの高さを決めましょう。

家族構成やライフスタイルに合わせる

廊下幅を決める際は、家族構成やライフスタイルに合わせることが大切です。

例えば、小さな子どもや腰が曲がった高齢者がいる家庭の場合は、平均より低めの位置に手すりを設置し、車椅子が通れる廊下幅に設定しましょう。

家を建てる際の家族構成だけでなく、将来的に家族が増えたり老後まで生活したりする可能性を考えて、廊下幅を決める必要があります。

老後まで生活する家の場合は、初めから手すりを設置しておくか、将来的に手すりを設ける余裕を確保した廊下幅が望ましいです。

家具や家電を運べる幅にする

廊下幅を狭く設定すると、家具や家電を運び込めません。

引っ越した当初に家具や家電が通れる幅でも、将来的に家具や家電を買いなおす際に、廊下幅が狭いと選べる商品のサイズが限られてしまいます。

家具や家電は、長年使用していくと消耗し買い直す必要があるため、サイズアップの可能性を見越して廊下幅を設定することが大切です。

広めに廊下幅を設定しておくと、家具や家電をサイズアップしたいときに、家の中へスムーズに運び込めます。

廊下収納をつける際の幅員の決め方

廊下収納とは、廊下に棚を設置したり壁に棚板を取り付けたりと、廊下に設置した収納スペースのことです。

廊下収納がある家は、リビングや寝室に物を置かず廊下に収納できるため、部屋を綺麗に保ちやすいです。

廊下収納を設置する場合は、中の物を取り出し運ぶために余裕を持って廊下幅を決める必要があります。

また、廊下収納を設置する際は、中に何を収納するべきか明確にしておくことで、収納スペースの広さを決めやすいです。

廊下収納を設けるべきか悩んでいる方は、次のポイントを確認しておきましょう。

  • 廊下収納を設けるメリット
  • 廊下収納を設けるデメリット
  • 廊下収納におすすめの場所
  • 廊下収納の種類

それぞれのポイントを確認して、廊下収納の設置を検討してください。

廊下収納を設けるメリット

廊下収納を設けるメリットは、各部屋の収納スペースに余裕を持たせられることです。

特にリビングは家族が団らんするスペースなので、あまり物を散乱させず綺麗に整頓しておきたいものです。

調味料や日用品などのストック品を廊下収納に置いておくことで、リビングや他の居室を広く使えます。

また廊下は各部屋からアクセスできる空間なので、ストック品をスムーズに出し入れできます。

廊下収納を設けるデメリット

廊下収納を設けるデメリットは、他の居室が狭くなることです。

建物面積が限られている場合、廊下収納を設けると他のスペースを圧迫してしまいます。

さらに廊下収納を広く設定するあまり、廊下幅が狭くなると日常生活で不便を感じやすいです。

廊下収納の設置を検討している方は、十分な廊下幅を確保したうえで、収納スペースを設けても問題がないか検討しましょう。

廊下収納におすすめの場所

廊下収納におすすめの場所は、次のとおりです。

  • 廊下の壁面
  • 廊下の突き当たり
  • 階段下
  • 廊下の天井
  • 階段ホール

廊下の壁面は、廊下の長さを活かして壁面に収納スペースを作れるためおすすめです。

廊下の突き当りは、奥行きのある収納スペースが作れるため、掃除機などの大きな物を収納できます。

階段下や廊下の天井は、デッドスペースを有効活用して収納スペースを作れるため、廊下全体の収納力を向上することが可能です。

階段ホールに収納スペースを設けると、廊下幅を削らずに収納スペースを確保できます。

廊下収納の種類

廊下収納の種類は、次のとおりです。

廊下収納の種類 特徴
オープン棚型 扉を設置せず棚だけを設置した収納スペース
クローゼット型 扉がついた収納スペース
カウンター型 床から好きな高さのカウンターを設けた収納スペース
吊り戸棚型 壁の上部や天井に直接取り付けられた収納スペース

オープン型は、扉を設置しないため圧迫感が少ないですが、収納力に限りがあります。

クローゼット型は、廊下に扉がついた収納スペースを設置でき、収納力は高いですが扉を開閉する廊下幅を確保しなければなりません。

カウンター型や吊り戸棚型は、床から天井まですべてを収納スペースにするのではなく、カウンターや吊り戸棚を活用することで圧迫感の少ない廊下収納を実現できます。

それぞれの特徴を確認して、自宅に合った廊下収納を設置しましょう。

廊下の幅員を決める際は中長期的な人生設計を見据えよう

廊下の幅員を決める際は、中長期的な人生設計を見据えることが大切です。

現在は手すりや車いすが不要でも、将来的に必要となる可能性を考えて、広めに廊下幅を設定しましょう。

また手すりを付ける際には、廊下幅だけでなく高さまでこだわり、日常生活で不便を感じにくい設計にしましょう。

廊下幅を狭く設定すると、家電や家具の搬入出が難しく、家具を買いなおす際にもサイズが制限されてしまいます。

しかし廊下幅を広く設定すると、他の居室スペースが圧迫されてしまうため、全体のバランスを重視しなければなりません。

家族構成やライフスタイル、家の全体のバランスを重視して、適切な廊下幅を設定しましょう。

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