耐力壁にはモイス?ダイライト?ハイベストウッド?どれが適しているのか?

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耐力壁とは、地震や台風に遭った時に、水平荷重に対して抗力をもっている壁のことです。ただ、一口に耐力壁といっても、さまざまな種類があります。今回は、耐力壁として代表的なモイスダイライトハイベストウッドを取り上げ、それぞれの特徴やメリット・デメリットをご紹介していきます。

モイスとは?

 

 

(出典:三菱商事建材HP https://moiss.jp/lineup/)

 

 

MoissTMという名称で三菱商事が販売しており、一般的にはモイスと呼ばれている無機質系耐力壁です。主に木造住宅の外壁下地として使われています。壁倍率は工法により2.0~4.0となっており、高い耐震性能をもっているといえます。内装材にもモイスという商品がありますが、こちらは耐力壁ではないため外壁下地には使用できません。

モイスの価格

モイスの価格は910㎜×2,730㎜で5,000円/枚程度です。価格は寸法や施工する工務店によって違いますので参考価格と考えてください。

モイスのメリット

モイスのメリットは、

  • 耐火性能に優れている
  • 調湿性に優れている
  • シロアリ被害を抑えられる
  • シックハウスの原因となる有害物質を含んでいない

といったことが挙げられます。

  • 耐火性能に優れている
モイスは国土交通大臣認定の不燃材料であるため、耐火性能は国のお墨付きです。モイスを外壁下地として使うことで、木造住宅でも十分な耐火性能をもった家を作ることができます。

  • 透湿性に優れている

モイスは透湿抵抗が5.29(Hg/g㎡h・mm)で、一般的な木質系耐力壁(構造用パネル)の10.3(Hg/g㎡h・mm)と比較して2倍近く透湿性能が高いです。湿性に優れているため結露が抑えられ、カビが発生しづらい耐力壁となっています。

  • シロアリ被害を抑えられる

モイスは無機質系の材料でできているため、シロアリのエサとなりません。木造住宅はシロアリ対策に悩む方が多いため、これはとても大きなメリットと言えるでしょう。

  • シックハウスの原因となる有害物質を含んでいない

無機質系の材料でできているモイスは天然素材で作られているため、シックハウスの原因となる有害物質を含んでいません。

モイスのデメリット

たくさんのメリットがあるモイスですが、デメリットもあります。

  • 価格が高い

たくさんのメリットがある素材のため、ほかの耐力壁と比べて高価です。

  • 重い

モイス1枚で30㎏程度の重量があります。重さが重いためモイスを留める釘の量が増え、施工に手間と時間がかかります。そのため、工務店によっては施工費がほかの耐力壁よりも高い可能性があります。

ダイライトとは?

 


(出典:ダイケンHP https://www.daiken.jp/product/contents/dailite/product/)

 

ダイライトとは、ダイライトMSという名称でダイケンが販売する無機質系耐力壁です。モイスと同様、主に木造住宅の耐力壁として使われています。壁倍率は厚みにより2.5~3.0となっており、モイスと同様に高い耐震性能をもっています。

ダイライトMUは内装材のため外壁下地としては使用できないため注意が必要です。

ダイライトの価格は?

ダイライトの価格は910㎜×2,730㎜で4,800円程度と、モイスより少しだけ安い価格となっています。価格は寸法や施工する工務店によって違いますので、参考価格と考えてください。

ダイライトのメリットは?

ダイライトのメリットは、

  • 軽い
  • 調湿性能がかなり高い
  • シロアリ被害を抑えられる
  • シックハウスの原因となる有害物質を含んでいない

といったことが挙げられます。

  • 軽い

ダイライトは1枚あたり17kg程度で、モイスの約半分の重さです。釘の量や施工費の追加で高くなる可能性は低いでしょう。

  • 透湿性能がかなり高い

ダイライトの透湿抵抗は2.3(Hg/g㎡h・mm)で、モイスの2倍以上調湿性能に優れているといえます。木造住宅は湿気が天敵となりますので、これはかなり大きなメリットと言えるでしょう。

  • シロアリ被害を抑えられる

モイスと同様に無機質系の素材で作られているため、シロアリのエサとなる成分が含まれていません。

  • シックハウスの原因となる有害物質を含んでいない

ダイライトは鉱物を主な原料としているため、シックハウスの原因となる有害物質が含まれていません。

ダイライトのデメリットは?

ダイライトのデメリットとしては、

  • モイスより耐火性能が低い
  • 価格が高い

といったことが挙げられます。

  • モイスより耐火性能が低い

ダイライトは国土交通大臣に認定された準不燃材料で、敷地によっては外壁下地がダイライトだけでは法令上不十分な可能性があります。この場合は追加で耐火性能をもった下地が必要になります。施工する工務店にしっかりと確認したほうが良いでしょう。

  • 価格が高い

モイスよりは若干低い価格ですが、やはりメリットが多い素材ですので一般的な耐力壁よりは高いです。また、追加で耐火性能をもった外壁下地が必要な地域に建てる際はその分費用がかかる可能性があります。

ハイベストウッドとは?

 

 

(出典:ノダHP http://www.noda-co.jp/products/09/highbestwood/index.html)

 

 

ハイベストウッドとはノダが販売する木質系耐力壁です。モイスやダイライトと同様、主に木造住宅の外壁下地として使われています。壁倍率は工法により2.5~4.0倍となっており、こちらも高い耐震性能をもっているといえます。

ハイベストウッドの価格は?

ハイベストウッドの価格は908㎜×2,730㎜で4,500円/枚程度と、モイスやダイライトと比較すると低い価格です。価格は寸法や施工する工務店によって違いますので、参考価格と考えてください。

ハイベイストウッドのメリットは?

ハイベストウッドのメリットは、

  • 安い
  • 軽い
  • 透湿性能が3つの中で1番高い
  • シックハウスの原因となる有害物質が少ない

といったことが挙げられます。

  • 安い

他の2つと比べて価格が低いのは大きなメリットと言えるでしょう。1枚あたりの価格差は数百円程度ですが、家全体では大きな差となります。

  • 軽い

ハイベストウッドは1枚あたり17kg程度と、モイスの約半分の重さです。ダイライト とほぼ同じ重さのため、こちらも釘の量や施工費で追加費用がかかる可能性は低いといえるでしょう。

  • 透湿性能が3つの中で1番高い

ハイベストウッドの透湿抵抗は2.0(Hg/g㎡h・mm)で、3つの中で1番高い透湿性能があります。とにかく外壁の中を結露させたくないという方、寒い地域でマイホームを建てられる方にとって大きなメリットと言えるでしょう。

  • シックハウスの原因となる有害物質が少ない

ハイベストウッドはF☆☆☆☆という性能の低ホルムアルデヒド発散素材です。F☆☆☆☆はJISの最高基準で、建築基準法では使用量が制限されずに使えます。シックハウス対策としては十分な性能をもった耐力壁であると言えるでしょう。

ハイベストウッドのデメリットは?

ハイベストウッドのデメリットとしては、

  • シロアリの被害が0ではない
  • 耐火性能が3つの中で1番低い

といったことが挙げられます。

  • シロアリの被害が0ではない

モイスやダイライトと違い、主な材料が木でできているハイベストウッドはシロアリの被害が0ではありません。もちろん防蟻対策はされていますが、シロアリの被害が全くないとは言えません。

  • 耐火性能が3つの中で1番低い

ハイベストウッドは不燃材料や準不燃材料ではないため、モイスやダイライトと比べて外壁下地として使用できない地域が多いです。制限のかかった地域で使用する際は火災対策が法令上必要となり、追加で費用がかかってしまう可能性が高いです。

構造用合板のまとめ

 

最後にモイス・ダイライト・ハイベストウッドの特徴を復習しましょう。

  • 耐震性能

どれも高い耐震性能をもっています。建物の耐震性能は耐力壁の配置バランスや量に左右されるため、耐力壁単体の性能で判断しないほうが良いでしょう。

  • シックハウス対策

シックハウス対策としてはすべて高い性能をもっています。少しでも気になる場合は無機質系材料を選ぶとよいです。

  • 価格

ハイベストウッドの価格が1番低く、次にダイライト、1番高いのはモイスとなっています。必要な性能を比較して、最も適した耐力壁を選ぶとよいでしょう。

  • 耐火性能

耐火性能はモイスが1番高く、次にダイライト、1番低いのはハイベストウッドとなっています。敷地によっては使用できない耐力壁があるので、用途地域を確認したうえで建築士に相談するとよいでしょう。

  • 透湿性能

ハイベストウッドの透湿性能が1番高く、次にダイライト、1番低いのはモイスとなっています。住宅を建てる地域の平均気温によって検討するとよいでしょう。

  • シロアリ対策

シロアリ対策としてはモイスとダイライトが高い性能をもっています。ハイベストウッドも決して低い性能ではありませんが、気になる場合は無機質系材料を選ぶとよいです。

どの耐力壁もメリットとデメリットがあります。法令を建築士と確認したうえで、費用必要な性能をしっかりと打合せすることで最適な耐力壁を選ぶことができると思います。

 

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