パッシブハウスとは?メリット・デメリットと基準や予算を解説!
気密性・断熱性が高い家を建てることで年中快適な生活が送れます。
高気密・高断熱住宅を建てようとリサーチしていると「パッシブハウス」という言葉を耳にすることもあるでしょう。
パッシブハウスは気密性・断熱性が非常に優れた暮らしやすい家です。
これから家づくりをしようと考えている方は、パッシブハウスのメリット・デメリットを確認して建築を検討してみてください。
この記事では、パッシブハウスについてメリット・デメリットを詳しく解説します。
パッシブハウスの基準や予算など、建築を検討するための判断材料もあわせて解説しますので、最後まで読んで家づくりの参考にしてください。
また、家づくりのプロがパッシブハウスに必要な「温熱環境を整える設計のポイント」について解説した動画があります。家づくりを検討している方は、時間がある時に動画も一緒にチェックしてみてください。
You Tube:【パッシブハウス設計】温熱環境を整える設計の4つのポイント
パッシブハウスとは?
ドイツで生まれた世界基準の省エネ住宅「パッシブハウス」は、日本でも注目を集めています。
2010年には一般社団法人パッシブハウス・ジャパンが設立され、日本国内でパッシブハウスを建てる方が増えました。
省エネ住宅や高気密・高断熱住宅の建設を検討していると耳にする機会があるパッシブハウスですが、どのような住宅なのか知っていますか?
パッシブハウスは、他の住宅にはない次の特徴を備えています。
- 世界最高峰の気密・断熱性を確保した構造
- 冷暖房設備に依存しない自然エネルギー推奨
- 開放的なデザインでエネルギー効率と家族間のコミュニケーションを活性化
それぞれの特徴を確認して、パッシブハウスに対する理解を深めておきましょう。
世界最高峰の気密・断熱性を確保した構造
パッシブハウスは、世界最高峰の気密・断熱性を確保した住宅です。
年中快適に過ごせるよう世界トップクラスの気密性・断熱性を確保しており、断熱性能は1999年に設けられた次世代省エネルギー基準の3倍と言われています。
日本の冬は寒くヒートショックのリスクも高いため断熱性が求められますが、パッシブハウスは魔法瓶のように熱を逃さない構造で気密・断熱性を確保しています。
窓から逃げる熱を室内に留めて、空気だけを循環させる熱交換システムにより、空気が澄んでいるのに寒さを感じません。
パッシブハウスとは、世界で認められる最高基準の気密・断熱性を確保した超省エネ住宅です。
冷暖房設備に依存しない自然エネルギー推奨
パッシブハウスは高気密・高断熱住宅と混合されやすいですが、大きく異なる点が冷暖房に対する考え方です。
パッシブハウスは、冷暖房設備に依存しない自然エネルギーを推奨しており、窓からの日射や風で空調管理をおこないます。
具体的には大きな窓を設置することで日中の太陽光を室内に取り込み、寒い冬でも家の中を保温できる仕組みです。
夏には庇などで太陽光を防ぎ、大きな窓から風を循環させて冷風を室内に取り入れます。
パッシブハウスは「受動的な家」を意味しており、自らアクションを起こさなくても自然エネルギーによって室温を調整できる省エネ性が特徴的です。
ZEH住宅や省エネ住宅に興味がある方は、自然エネルギーを推奨するパッシブハウスも検討してみてください。
開放的なデザインでエネルギー効率と家族間のコミュニケーションを活性化
パッシブハウスには、間取りやデザインに対する制限はありません。
しかし、パッシブハウスはエアコン1台で家中を快適な室温にコントロールすることが目的であるため、構造上問題がない範囲で余分な仕切りを無くしていきます。
吹き抜けやリビング階段を設置して、1階の空気を2階へ循環させる工夫を施しているため、必然的に開放的な空間になります。
開放的なデザインでエネルギー効率を良くするため、開けた間取りになるのです。
そのため、仕切りが少なく家族間のコミュニケーションを活性化できます。
家族間のコミュニケーションを大切にしたい方は、パッシブハウスを建てると日々の生活を充実できるかもしれません。
パッシブハウスの必要性とは?
省エネ住宅を探している方にパッシブハウスを推奨するのは次のような理由が挙げられます。
- 日本は窓の断熱性能基準を設けていない
- 冬のヒートショックが危険
- リフォームや冷暖房設備などランニングコストがかかる
住宅を購入する際には快適に過ごせる「暮らしやすさ」と初期費用やランニングコストなどの「予算」を重視しなければなりません。
住宅購入を検討している方は、パッシブハウスの必要性を理解して新築購入の参考にしてみましょう。
日本は窓の断熱性能基準を設けていない
家を建てる際に、日本は窓の断熱性能基準を設けていません。しかし、世界の国々では窓の断熱性能基準を法律で定めており、一定水準の気密性・断熱性を担保しています。
「各国の窓における断熱性能基準」
- ドイツ 1.3W/m2k
- イギリス 1.8W/m2k
- フランス 2.6W/m2k
- 中国 2.0W/m2k
- 日本 義務基準なし
ドイツやイギリス、フランスに中国も窓の断熱性能基準を設けているにもかかわらず、日本は断熱性に対する意識が低いのです。
日本は断熱性に関する理解が世界から遅れており、寒い冬でも「耐え忍ぶ」精神が根付いています。
我慢せずに寒い冬を快適に過ごすためにも、パッシブハウスを推奨しています。
冬のヒートショックが危険
パッシブハウスを推奨する理由は、ただ快適に過ごすためではありません。
日本はヒートショックによる事故が多く、年間で17,000人以上の方が冬場のお風呂やトイレで亡くなっています。
交通事故で亡くなる方が年間4,600人程度であることをふまえると、約3〜4倍近くの人々がヒートショックで亡くなっているのです。
パッシブハウスのように家中を同じ室温に循環できれば、冬場のヒートショックを防げます。
パッシブハウスはただ快適に過ごすだけでなく、ヒートショックを防いで安全に暮らすために必要な住宅なのです。
リフォームや冷暖房設備などランニングコストがかかる
住宅を購入する際にはデザインや仕様・構造の他にも、コストが気になるものです。
パッシブハウスは冷暖房設備に依存せず自然エネルギーで室温を調整するため、光熱費を削減できます。
気密性・断熱性が優れているため、エアコン1台で家中を快適な室温にできるため、燃費がいい住宅と言えるでしょう。
現在は世界情勢の影響を受けて、エネルギー価格が高騰しており省エネ性が重視されています。
また、世界基準でも脱炭素化が推奨されており、エネルギー資源に依存しない生活を見直さなければいけません。
パッシブハウスは冷暖房設備に依存せず、光熱費を節約して暮らせる画期的な住宅です。
更に、夏は涼しく冬は暖かいため壁や屋根裏に結露が起きにくく、カビや腐食による老朽化を防げます。
結露が発生してカビや腐食が進めば、修繕リフォームをしなければなりません。
光熱費だけでなくリフォーム費用などのランニングコストを削減するためにも、パッシブハウスが推奨されています。
パッシブの基準は?
パッシブハウスは、環境先進国ドイツで物理学者ファイスト博士が定めた家の省エネ基準です。
「家の燃費効率はこれくらいにしないといけない」「年中快適に過ごせる家のエネルギー効率はこれくらい必要」と厳しく定めています。
パッシブハウスとして認められる住宅は、以下の基準を満たさなければなりません。
「パッシブハウスの基準」
- 冷暖房負荷:各15kwh/m2以下
- 一次エネルギー消費量:120kwh/m2以下
- 気密性能:50Paの加圧時に漏気回数0.6回以下
上記の厳しい基準を満たすパッシブハウスだからこそ、世界で認められる優良住宅として推奨されています。
パッシブハウスに興味がある方は、基準を満たしてパッシブハウスを建てられる工務店を探してください。
パッシブハウスの予算は?
パッシブハウスは魅力的な住宅ですが、厳しい基準を満たすために建築コストがかかります。
断熱材や高性能窓サッシを導入する必要があり、通常の住宅より建築コストが高いです。
通常の住宅に比べてパッシブハウスの基準を満たすためには、最低でも次のコストがかかります。
- 断熱材 プラス50万円〜
- 高性能窓サッシ プラス100万円〜
- 熱交換器 プラス70万円〜
パッシブハウスにするだけで約200万円ほど追加コストがかかります。
施工会社によって価格相場は異なりますが、パッシブハウスを建てる際には坪単価120万円ほどの建築コストがかかると考えておきましょう。
こだわり条件や設備・素材のグレードによっては、坪単価150万円ほどかかるケースもあるので、予算内にパッシブハウスを建てられるよう施工会社と相談してみてください。
パッシブハウスのメリット
パッシブハウスを建てると、さまざまなメリットを得られます。パッシブハウスに住むメリットは、次の通りです。
- 年中快適な環境で過ごせる
- 家が長持ちする
- 光熱費を節約できる
それぞれのメリットを解説して、パッシブハウスを建てるべきか検討してみましょう。
年中快適な環境で過ごせる
パッシブハウスに住むメリットは、年中快適な環境で過ごせることです。
夏に冷房が効いているリビングから2階に行くと、ムシっとして暑苦しく感じるでしょう。
冬場も脱衣所に移動した際に寒さを感じて、ヒートショックのリスクにも注意しなければなりません。
しかし、パッシブハウスは家中を快適な室温に保ち、年中快適な環境で過ごせます。
家の中で温度差を感じにくく、どこで過ごしていても快適に過ごせればストレスが少ないですよね。
夏も冬も快適な室温で過ごしたい方は、パッシブハウスを建てましょう。
家が長持ちする
パッシブハウスは、結露による腐食が起きにくいため家が長持ちします。
気密性能が高いため外気の影響を受けにくく、家の老朽化を防げるのです。
新築を購入する際には、できるだけ長持ちする家を選ぶ方が経済的にも助かりますね。
また、カビが発生しにくいので建物だけでなく人の健康にも優しい住宅となります。
家を長持ちさせたい方は、パッシブハウスを検討してみてください。
光熱費を節約できる
パッシブハウスは、省エネ性が高く光熱費を節約できます。
先程も説明した通り、現在は光熱費が高騰しており出費に苦しむ方が多いです。
パッシブハウスに住めば、最小限のエネルギー消費で快適な室温を実現できるため、光熱費を大幅に削減できます。
毎月の光熱費を節約して出費を抑えたい方は、パッシブハウスを建てましょう。
パッシブハウスのデメリット
パッシブハウスを建てると、メリットだけでなくデメリットも存在します。デメリットを理解してからパッシブハウスを建てないと、後悔するかもしれません。
パッシブハウスに興味がある方は、次のデメリットを理解しておいてください。
- 建築コストが高い
- 立地に左右される
- 建築できる施工業者が少ない
メリットとデメリットを比較検討して、パッシブハウスを建てるべきか考えてみましょう。
建築コストが高い
パッシブハウスのデメリットは、建築コストの高さです。
坪単価80万〜100万円ほどかかるパッシブハウスは、初期費用が高額になります。
予算が限られている方にとっては、初期費用が高いパッシブハウスはデメリットに感じてしまうでしょう。
しかし、パッシブハウスは建築コストが高いですが、光熱費やリフォーム費用などランニングコストを考えれば得をするかもしれません。
パッシブハウスを建てるべきか悩んでいる方は、初期費用だけに惑わされずに、長期的なランニングコストをふまえたトータルコストを考えておきましょう。
立地に左右される
パッシブハウスは、どこにでも建てられる住宅ではありません。
自然エネルギーを活用して室温をコントロールするため、日射条件や近隣環境の影響を受けます。
日が入りにくい立地であれば、大きな窓を設置しても太陽光が室内に入らず、部屋を温められません。
反対に西向きや東向きの立地では、夏場の日差しが強いため庇やブラインドを設置する必要があります。
パッシブハウスを建てるには、立地に左右されやすいことを理解して慎重に土地を選びましょう。
建築できる施工業者が少ない
パッシブハウスはどこの工務店でも設計できる住宅ではありません。
世界最高峰の基準を満たしたパッシブハウスは、高気密・高断熱性性能を担保できる高い建築技術が求められます。
パッシブハウスを建てたい方は、基準を満たして家を建てられる施工会社を探してください。
パッシブハウス・ジャパンのホームページには、基準を満たしてパッシブハウスを建てられる賛助会員の工務店や設計事務所を一覧で載せています。
なお、弊社クオホームは姫路でパッシブハウスを建てることが可能です。
高気密・高断熱住宅を建てる技術を十分に備えていますので、姫路でパッシブハウスを建てたい方はぜひご相談ください。
姫路でパッシブハウスを建てたいなら
パッシブハウスは世界最高峰の気密・断熱性能を兼ね備えた省エネ住宅です。
冷暖房設備に依存せず自然エネルギーによって室温をコントロールするため、光熱費を削減できます。
また、家中をエアコン1台で快適な室温に保てるため、冬場のヒートショックを防止できる安心な構造です。
更に開放的なデザインで設計するため、家族間のコミュニケーションを活性化できます。
姫路でパッシブハウス並みの性能を持ったお家を建てたい方は、クオホームにご相談ください。
弊社クオホームは姫路で「長持ちする家」をコンセプトに高気密・高断熱住宅を提供しています。