工務店に「標準仕様」以外の仕様を頼むリスク
長持ちする家 研究家 瀬崎です。
今回は、長持ちする断熱材・結露に関する話です。
以前にも結露に関するブログを書いています。
透湿抵抗の高い構造用合板を使用した場合の、内部結露のリスクに関してお話しました。
今回の話は、その発展形。
内部結露してしまった場合のリスク回避の方法です。
内部結露が起こる理由は、たくさんあります。
単純に施工不良や、知識不足による材料の選定ミスもあれば、地震や、台風等の自然現象で、何かしら見えないところで不具合が発生する場合もあるでしょう。
何事にも100%は起こりえないと思っておいたほうがいいです。
そのため、万が一、内部結露を起こしてしまった場合に、備えての準備を設計段階でしておくことが、私たち設計者の責任ではないでしょうか?
結露することによって、濡れて性能の落ちる断熱材があります。
有名なものがグラスウールです。
濡れても乾けば、元の性能に戻るとは言いますが、壁の中でそんなに簡単に乾くわけはありませんので、結露の量によっては深刻な事態になります。
反対に、結露水を吸収する能力をもった断熱材もあります。
セルローズファイバーや、サーモウールがそうです。
断熱材自体に調湿性がありますので、内部結露に非常に有効な断熱材と言えます。
上が、セルローズファイバー
下がサーモウールです。
いずれも、クオホームで施工できます。
次に、クオホームで、現在、最も使用頻度の高い発泡ウレタンや、ポリスチレンフォームなどですが、こちらは、断熱材自体に吸水性がほとんどないため、濡れても影響がほとんどありません。
ただし、結露水を吸収する能力はありませんので、結露水が多いと、柱や、土台部分には、影響がでる可能性があります。
そこで、クオホームでは、外部に湿気を排出するために透湿性の高い構造用合板を使用するのは、もちろん、さらにその上のリスク回避として、土台や、1Fの柱、筋違いなどの構造部に、加圧注入材を使用しています。
「加圧注入材」については、いずれ詳しくブログで書こうと思っています。
防腐・防蟻材を、表面だけでなく、中まで浸透させているので、効果が半永久的だと思ってもらえれば結構です。 (表面に塗布するだけでは、5年ほどしか効果が持たないと言われています。)
柱の加圧注入と言えば、一条工務店さんが有名ですが、クオホームでも行っています。
土台は加圧注入材を使用する会社は多いと思いますが、柱までしている会社は、私の知る限り多くありません。
コストの問題もあるでしょう。
例えば、断熱材に、先ほどお伝えした、サーモウールや、セルローズファイバーを使用した場合、それだけで、内部結露のリスクは大幅になくなるわけですから、加圧注入材を使わなくても、リスクは少ないと言う考え方もできます。
反対に、グラスウールを使用した場合は、内部結露した場合のリスクが高いので、加圧注入材を使用した方がいいという判断もできます。
もっとも大切なのは、この判断力です。
セルローズファイバーや、サーモウールが良くて、グラスウールが悪いとか、
柱は、加圧注入しないと駄目だとかいう単純な話ではないのです。
材料には、長所もあれば短所もあります。
また、いろいろ組み合わせることによって、その特性も変化します。
もし、あなた様が、どこかの建築会社に、その会社の標準仕様以外の工法で、工事を頼むつもりでしたら、 そのあたりの正確な知識を持った建築会社で、建築されることを強く推奨します。