シロアリ対策は新築時が唯一のチャンス!後からできない5つの注意点。
長持する家 研究家 瀬崎です。
今回はシロアリの話。
日本は、シロアリの多い国です。
被害総額は今や、年間1000億を超えるとも言われており、
もはや、他人事ではありません。
もし、あなたが今から新築をお考えなら、シロアリ対策を意識して下さい。
真に有効なシロアリ対策は、新築を建てるタイミングでないと不可能だからです。
これまで家作りの仕事に携わってきて20年以上たちますが、リフォームを行う際に、
解体してみると、シロアリ被害が発生していたという現場に何十回と遭遇してきました。
物事には必ず原因があります。
シロアリが発生したことにも当然ながら原因があった訳ですが、
驚くべきは、シロアリ被害の原因の多くが、新築を建てた時点で、すでに発生していた事です。
『ここ、何も処理してない!』
『こんな材料使ったらあかんわー』
『この穴塞いでない・・・』
出るわ出るわ、問題点の数々・・・
起こるべくして起ったシロアリ被害だったわけです。
結局、建て主の方は、数十万から、場合によっては数百万もの改修費を支払う事になってしまったのですが、新築時にこれらの問題点をしっかり解消できていれば、そのようなお金は必要ないわけで、本当にもったいない話です。
シロアリ被害の改修工事と、お子様の私立高校受験の時期とが重なり、お金の工面で大変苦労された方もいらっしゃいました。
改修費用を頂く事が大変辛かった、苦い思い出です・・・
その時の経験をもとに、ここさえ気をつけていれば、シロアリリスクを大幅に抑える事ができるという、新築時におけるシロアリ対策の注意点を5つピックアップしました。
無駄なお金を使いたくないと言う人は、ぜひ、参考にしてみて下さい。
新築シロアリ対策1:点検しやすい作りにせよ!
点検しやすいというのは、シロアリ対策の王道です。
シロアリを早期に発見できれば、被害は浅くて済みます。
シロアリがくると蟻道という道が発生します。
蟻道とは、シロアリが土や排泄物・餌の食べかすで作った道です。
彼らは、光や乾燥が苦手なので、地面の中から、餌の木材までを安全に行き来するためのトンネルとして、蟻道を利用します。
「蟻道」ができているかどうか点検できる家の作りにする事が有効です。
床下の点検ができる作りにする。
床下に潜るための点検口の設置が必須です。
人が入って動き回るために、床下の高さも必要です。
できれば33㎝以上は確保しておきたいところ。
また、基礎の立ち上がり部分に、人通口という、文字通り、人が通る事ができる開口部を設置して、床下全体をくまなく点検できるようにする事も必要です。
基礎の外側も点検できる作りにする
家の外から見て時にも、蟻道を見逃さないように、基礎の近くに障害物を置かないようにする事も重要です。
障害物というと、ピンと来ないかもしれませんが、物置や、ウッドデッキなどがそうです。
設置する事で、基礎の立ち上がり部分が隠れてしまう箇所が出てきます。
特に大きな物置などは、一度設置してしまうと動かせませんし、隙間からのぞき込んでも、蟻道の有無を確認する事は物理的に不可能です。
収納スペースが増えるというメリットはありますが、シロアリ被害のリスクを考えると、避けた方がいいでしょう。
基礎断熱工法をやめる
基礎の立ち上がりに断熱材を貼り付ける基礎断熱工法は、シロアリ業者が全否定しているシロアリ被害に遭う確率が高い断熱工法です。
シロアリが貼り付けた断熱材と基礎の立ち上がりの間を通って侵入するため、外から蟻道が見えない事と、基礎断熱に使用する断熱材をシロアリが抵抗なく食べてしまう事が、その理由です。
以上が、点検しやすい作りとして、気をつけておくべき事です。
また、蟻道を発見しやすい作りにするだけでなく、自分でも定期的に蟻道が出来ていないかを確認する習慣をつけることも必要ですので、お忘れなく。
新築シロアリ対策2:樹種の選定に頼りすぎるな!
ひとつの家を建てるために、様々な種類の木が使われます。
加工しやすい木、変形しにくい木、腐りにくい木、そして、シロアリに食べられにくい木。
それぞれ、適材適所に使用されることで、性能が最大限に発揮できます。
地面に近い、土台や1階の柱などは、シロアリに強い樹種を選定することが重要です。
これを間違えると、家が建った瞬間から、シロアリリスクが高い家になってしまいます。
以下、簡単にまとめます。
シロアリ対策に有効な樹種
チーク
ヒノキ
ヒバ
シロアリ被害に遭いやすいとされる樹種
ホワイトウッド
スプルース
エゾマツ
さらに、樹種だけでなく、同じ樹種の中でも、心材、辺材という部位によっても、
シロアリ被害に強いか、弱いかがあります。
丸太を小口からみて、中心部の赤身がかった部分が心材と呼ばれ、水分が非常に少なく、
シロアリ対策に有効です。一方、辺材は、向いていません。
これだけの情報だと、ヒノキやヒバを使っていれば安心で、ホワイトウッドやエゾマツを使用すると、すぐにでもシロアリ被害に遭いそうに思えますが、実際は、そんなに単純な話ではありません。
ヒノキの心材を土台に使用すれば、それで、シロアリ対策は万全と安易に考えてしまう思い込みこそが、最も危険です。
実際、シロアリ被害にあった現場を見ると、ヒノキの芯材でもボロボロになるまで、食べつくされている事例は、いくつもあります。
樹種や、部位におけるシロアリに対する強さは、知識として持っておくことは大事ですが、それを過信しないように心がけてください。
新築シロアリ対策3:薬剤の選定も重要!
新築時のシロアリ対策として使用される薬剤で、最も一般的なものはネオニコチノイド系の薬剤です。刺激伝達を遮り、伝達異常を発生させる事で、退治します。
人体には安全とされていますが、実際は、使用を禁止している国もあり、安全性を疑う声も少なくありません。
また、薬剤の効果が5年と短いのも気になります。
安全性を保つためには、5年毎に再施工が必要になるわけですが、現実問題として、家が完成し、すでに壁に囲われてしまった柱や土台に薬剤を再施工する事は不可能です。
再施工したとしても、確実に新築時より、安全性は劣ってしまいます。
シロアリの発生確率が上がるのは、新築後10年経った頃です。
どう考えても、ネオニコチノイド系は、おすすめできる薬剤ではありません。
ACQという薬剤を柱や土台に圧力をかけて注入するシロアリ対策があります。
加圧注入といわれる、このシロアリ対策は、効果が半永久的に続きます。
ACQの主成分である塩化ベンザルコニウムは、歯磨き粉や、赤ちゃんのおしりふきなどにも使用されている安全性の高い薬剤です。
また、ホウ酸系の薬剤もあります。
アメリカでは、木部処理には、ホウ酸系薬剤を使用するのが一般的です。
安全性が非常に高く、防蟻効果が半永久的に続くというメリットがあり、
新築のシロアリ対策としては、ACQ加圧注入と並んで、おすすめです。
ホウ酸系は、水に濡れると流れ落ちるという欠点がありますので、外部には使用できません。
あくまで、室内用ですので、注意して下さい。
新築シロアリ対策4:シロアリの侵入経路は決まっている!
過去のシロアリ発生例を分析していくと、シロアリの侵入経路は、それほどパターンがあるわけではなく、ほとんど決まっています。
・基礎の立ち上がり
・基礎の打ち継ぎ部
・玄関ポーチ
・配管貫通部
上記4カ所です。
話しは単純で、そこを重点的にケアすればいいんです。
基礎の立ち上がり
基礎の立ち上がりからの侵入は、蟻道のチェックで防げます。
すでに解説したとおり、蟻道が発見しやすい作りで、新築すればケアできます。
基礎の打ち継ぎ部
通常、コンクリートは、基礎のベースとなる下部と、立上がりの2回に分けて打設します。
その打ち継ぎ目のわずかな隙間を狙って、シロアリは侵入してくるのです。
これをケアするには、2回に分けず、1回でコンクリートを打設する方法が有効です。
ただ、技術的に難しい事もあり、すべての建築会社ができるわけではありません。
その場合は、基礎止水プレート等で、継ぎ目を塞ぐ処置をすることで対処できます。
玄関ポーチ
玄関ポーチからシロアリが侵入する例は多く、その原因ははっきりしています。
玄関の中と外が、地中を通して繋がってしまっているんです。
その間に、コンクリートはなく、あるのは通りやすい「土」だけ。
シロアリたちは、楽々と室内へ入ってきます。
ひどいケースだと、土台や玄関ドアを支える柱が、
土に直接触れている場合もあります。
土の水分を吸い、腐り始めた木部は、シロアリの大好物です。
どんどんシロアリがやってきて、あっという間に柱や土台を食い尽くす。
玄関周りのタイルの隙間から飛び出るシロアリを発見した時はもう手遅れ。
土台は形がなく、柱は宙に浮いている。
そういう事例が、実際にあります。
これを防ぐには、シロアリが、土の中を通って、玄関内部に入れないように、
バリアができているかを入念に確認することが重要です。
玄関ドアの下にもコンクリートを打設し、できるだけ隙間を作らないようにします。
それでもできてしまった隙間には、防蟻剤が入った、シーリングやウレタンを注入することで、シロアリの侵入をケアできます。
配管貫通部
基礎を貫通する配管のまわりにできた隙間。
これもシロアリの侵入経路となります。
ここもしっかりと、防蟻剤入りの、シーリングやウレタンで隙間を塞ぐことが重要です。
防蟻剤入りのシーリングやウレタンは、通常のものに比べて、非常に高価な事もあり、
標準採用している建築業者は、多くはありません。
しかし、近年、基礎貫通部からのシロアリ侵入事例は増加していますので、高価ではありますが、防蟻剤入りのシーリング、ウレタンを使用し、確実にケアしておくことを強く推奨いたします。
ここまでのケアをしっかり行えば、新築時のシロアリ対策としては万全です。
新築シロアリ対策5:シロアリ業者のサイトを信じるな!
シロアリ対策について勉強しようとネット検索すると、シロアリ駆除業者のサイトが多数表示されると思います。
彼らは、シロアリ駆除のプロです。
書いてある内容もシロアリ対策に有効なことばかりです。
彼らの言うとおりにすれば、シロアリ被害に遭う確率が低い家が建つでしょう。
しかし、私には疑問があります。
不満と言ってもいいです。
「シロアリ被害にあうリスクが一番低い家が、あなたの望む家なのでしょうか?」
シロアリ業者の言うとおりに家を建てると、
・基礎断熱ダメ (蟻道発見しにくい)
・高気密住宅ダメ (将来、薬剤駆除しにくい)
・ウッドデッキ、ダメ (蟻道発見しにくい)
・吹き抜け・高天井ダメ (点検しにくい)
・ダウンライト、ダメ (屋根裏の光漏れが羽蟻を誘う)
他多数・・・
これでは、とても、快適でおしゃれな家が建つとは思えません。
あえて言います。
シロアリ業者のサイトをそのまま鵜呑みにするのはやめて下さい。
彼らの頭は、自分たちのシロアリ駆除の仕事だけです。
それが証拠に、半永久的に防蟻効果が持続するACQ加圧注入や、ホウ酸系薬剤を推奨しているシロアリ業者は、ほとんどいません。
5年で再施工が必要なネオニコチノイド系を薦める業者ばかりです。
また、シロアリ対策としては良くないと言われている事でも、やりたいオーナー様がいらっしゃれば、少しでもリスクを抑えて、その望みを叶えてあげる努力をすべきだと私は思います。
例えば、
基礎断熱にすると、蟻道が発見しにくくなるので、基礎断熱はやめたほうがいいと、一般的には言われています。
それでも、基礎断熱を採用する建築会社はたくさんあります。
彼らは、新築時のシロアリ対策に対して無知なのかと言えば、そうではありません。
基礎断熱のメリットを考え、リスクを承知で採用している場合もあるからです。
基礎断熱工法だと、床下の温度が居室の温度とほぼ変わらなくなります。
そのため、寒い冬でも床が冷たくなりません。また、寒い地域で起こる、配管が床下で凍って破裂する心配もまったくなくなります。
床下空間に熱源を置く事で、家全体に床暖房のようにポカポカした暖房効果も期待できます。
このような基礎断熱のメリットを知って、シロアリ被害に遭うリスクが少し上がっても、基礎断熱工法を採用してみたいと考える人がいらっしゃいます。
そのニーズに答えるために、基礎断熱工法でも、シロアリ被害に遭わない方法がいろいろ研究されてきました。
防蟻剤入りの断熱材、
断熱材と一緒にコンクリートを流し込み隙間を無くす
断熱材の隙間に防蟻剤入りシーリング
など、
最近のニュースでは、業界大手の城東テクノ株式会社が、基礎断熱工法で、10年のシロアリ保証をつけるという発表がありました。
もはや、
基礎断熱工法=シロアリに弱い
ではありません。
建築会社が、新築時のシロアリ対策として、シロアリ業者の指摘するシロアリ被害のリスクに対して、しっかりとしたケアを行っているか否かが重要なのです。
まとめ
・床下空間の配慮や、基礎の周りに障害物の設置を避けて、蟻道を発見しやすくする。
・シロアリに強いという樹種に過度な信頼を置く、その考えが危険。
・薬剤は、効果の長いACQ加圧注入か、ホウ酸のどちらかを選ぶ
・主要なシロアリの侵入経路4つを確実に潰す
・シロアリのリスクを知った上で、それに対するケアしていれば問題ない。
以上の事を注意すれば、新築後にシロアリ被害に悩まされる事もなくなります。
特に、薬剤に関しては、ACQ加圧注入や、ホウ酸を使用する事で、ネオニコチノイド系薬剤のように5年毎の再施工費が不要ですので、その分、貯金もできます。
お子様の学費や、家族旅行の旅費など、好きな事に使いたいですね。
また、今回、お伝えしたシロアリの薬剤のように、他にも、新築を建てる際に、使用する材料を変えるだけで、後になってかかるお金を、数十万~数百万円も安くできる方法が、複数あります。
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