階間エアコンって一体何なのか解説します。 追記2020.02.02

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長持ちする家 研究家 瀬崎です。

今回は知る人ぞ知る
「階間エアコン」について書きます。

おそらく聞きなれない言葉だと思いますので、詳しく解説していきますね。
階間(かいかん)エアコンとは、2階床と1階天井の間にエアコンの風を流し込む空調方式

 

考案者は新住協の理事も務める鎌田紀彦先生。
高気密高断熱住宅を日本に普及させた功労者です。

 

著書「本音のエコハウス」は、プロの間でも必読の書となっています。

 

プロに負けない知識を手に入れたければ、一読を!
*階間エアコンの話も出てきます。

 

では、階間エアコンの解説に戻ります。
階の間にエアコンの風を流し込むので、階間(かいかん)エアコンと呼ばれています。

 

床下エアコンを知っているなら、アレをそのまま2階の床下に設置すると思って頂ければOK。
*床下エアコンがわからないという人は、まずはこの記事から
→床下エアコンの評判ってどう?設置後に聞いた費用やデメリット

 

ちょっと文章だけではイメージが掴みにくいかと思いますので、図解してみましょう。

階間エアコン

 

階間エアコン

なんとなく、イメージできましたか??

 

暖かい空気は軽いので、自然と上にあがっていく。
逆に冷たい空気は重いので、自然と下におりていく。

 

なので、暖かい空気を下に下ろす&冷たい空気を上に上げるという、
自然現象とは逆の動きを期待する場合には送風機を使います。

それが、図中にあるブースターファンです。
実際に体感すると、かなりの風圧があります。

この風をどう感じるかですね・・・・

まだまだ新しい空調方式ですので、
採用している会社はごくわずか。

 

なので、情報もほとんどありません。
これだけの情報だと、

 

「本当に大丈夫なの???」
「今までの空調方式でいいんじゃないの?」
「どんなメリットがあるの?」

 

そんな不安や疑問を感じているかもしれませんね。
ですので、現時点で私が感じているメリットとデメリットを先にお伝えしておきます

 

階間エアコンのメリット・デメリット

◆メリット

・コストが安い
・冷房が効きやすい
・リビングがすっきりする
・メンテナンス費が安い

それぞれ詳しく解説します。

 

・コストが安い

後で詳しく解説しますが、安いです。
通常全館空調システムだと、普通に100万超えたりしますが、その半分以下の価格でできます。
また、熱源がエアコンですので、ランニングコストも安いです。
これが最大のメリットですね。

 

・1階の冷房が効きやすい

1階の天井部分がすべて冷房空間になっているので、当然。
普段リビングにいることが多い家族にとっては最高です。

 

・リビングがすっきりする

最近のエアコンってどんどん奥行きが深くなってると思いませんか?
せっかくお洒落で開放的なリビングを設計しても、エアコンで台無し・・・
そんな家が増えてます。
その点、階間エアコンは2階に設置しますので、リビングはスッキリ。
気持ちよく生活できます。

 

・メンテナンス費が安い

全館空調システムって壊れたら大変です。
大手ハウスメーカーのシステムなんて、メーカー以外直せませんから、修理代は相見積もりもできず、業者の言いなり価格になってしまいます。
あまりの修理代に直さずに我慢している方も知ってますので、本当にメンテナンス費って重要なんです。
その点、階間エアコンは普通の壁掛けエアコンを使用します。
工務店と、エディオンと、ジョーシンで相見積もりなんて事もできますので、とにかく安くつきます。
これも、かなり大きいメリットです。

 

◆デメリット

・暖房が天井から吹き下ろしてするので、人によっては不快に感じる。
・ブースターファンの適切な設置がわからない
・実績が少ないため、なんらかの不具合が出る可能性がある

 

こちらもそれぞれ解説します。

 

・暖房が天井から吹き下ろしてくるので、人によっては不快に感じる。

これが最大の難点。
冷房が体に当たって気持ちいいという人はいますが、暖房はいないでしょう。
これをうまく工夫できなければ、満足度は今ひとつでしょうね・・・

 

・ブースターファンの適切な設置がわからない

位置を間違うと、風が体に直接当たって不快。
すごく効く部屋とそうでない部屋に別れてしまうなどの問題が起きます。
今後、適切な設置位置は共有されていくでしょうが、現状は手探り状態が実情。

 

・実績が少ないため、なんらかの不具合が出る可能性がある

まだまだ採用例が少なく、不具合が出る可能性は否定できません。
あと何年かすれば、各社で情報共有されてより良いものになっていくのは間違いありませんが、今はまだその段階ではありません。
どれだけリスクを予見できるか、工務店の技術力に頼る部分が大きいので業者選びが非常に重要になってきます。

 

階間エアコンを設置する際の注意点

まず、家全体の断熱性能と気密性能が一定レベル以上は欲しいです。
でないと、あまり効かない可能性が・・・

 

目安としては、
断熱性能が、G2レベル。
気密性能が、C値0.5以下

*何の話かわからない方は、こちらの記事を参照
G2レベル?→全館空調の評判が知りたい?それならHEAT20を知っておこう!
C値?→気密測定のタイミングと要注意ポイントについて

 

次に、熱橋対策。
金物が結露する可能性が高いので、しっかり対策しておきます。
*熱橋がわからない方はこちら
熱橋?→外断熱・内断熱・熱橋(ヒートブリッジ)

鎌田先生は、金物だけでなく、梁自体も熱橋になるので、断熱材で覆うよう指導されています。
外部に面している構造材にも断熱材を貼りましょうねって事!

 

最後にショートサーキット対策
ここで言う「ショートサーキット」というのは、エアコンの冷風(温風)が、全体に行き渡る前に排出してしまうこと。
そうなると各部屋毎で温度のムラが大きくなってしまいます。
どの部屋も万遍なく快適な温度にするためには、ブースターファンをどの部屋に設置するかが重要。
経験値が大きく影響するので、過去データを持っている業者を選ぶことが大切です。

 

階間エアコンの設置費用

当然、施工される建築会社によって幅はあります。
元々の断熱スペックが低い会社だと、まず断熱仕様のグレードアップが必要ですからね。

ここでいう設置費用は、断熱性能は階間エアコン設置の基準をクリアしている状態だと思って下さい。

 

まず、エアコン自体は普通の壁掛けエアコンを使用します。
なので、10万円程度でしょうか
そこに梁を覆う断熱材工事+ブースターファン
こちらが、だいたい20万くらいですかね

 

これだけです・・・。
シンプル~。

 

そう思うと、全館空調システムがたったの30万程度で完成することになります。
激安ですね・・・

 

階間エアコンはこんな人におすすめ

 

  • 低予算で全間空調の暮らしを実現したい人
  • 新しいもの好きな人
  • リスクを取れる人
  • 暖房が体に直接当たることを許せる人
  • 技術力のある工務店に工事を頼める人

 

階間エアコンを採用している工務店

私が知っているのはこの2社。

 

・オーガニックスタジオ新潟様
・丸協様

 

どちらの会社も階間エアコンについて詳しい情報を発信されているので、より理解が深まると思います。
「瀬崎さんのこのブログだけじゃ全然内容が伝わってこないですよ!」という素敵な辛口読者の方は、迷わずチェックした方がいいですね。(涙目)

 

オーガニックスタジオ新潟さんブログ⇒日本初! 上下階間の床下暖房
丸協さんブログ⇒床下エアコンならぬ階間エアコン やってみた。

 

全館空調システム【階間エアコン】の家が竣工しましたので動画で解説しました 追記2020.02.02

階間エアコンのメリット・デメリット。設置の際の注意点などを解説しています。

 

 

まとめ

 

  • 階間エアコンは1階と2階の間にエアコンの風を送り込む空調方式
  • 設置費が安い
  • メンテナンス費が安い
  • 高気密高断熱住宅でないと効果薄
  • 温風が当たるのが不快かもしれない
  • 実績がないのでリスクがある
  • 施工上の注意点が多い
  • 情報は少ない

全館空調システムってそもそもどうなの?って方はこちらのブログを参照してください。

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