珪藻土クロス(サンゲツ)が人気??珪藻土クロスと珪藻土の欠点(デメリット)も知っておこう

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長持する家 研究家 瀬崎です。

 

現在住宅の内装材で人気なのが「珪藻土」です。
そこから派生して、「珪藻土クロス」も生まれました。

今回はそれぞれの特徴と、違いなどを中心に解説していきます。

 

※珪藻土を配合した塗り壁材の事をここでは、「珪藻土」と呼ぶことにします。 それに対して、珪藻土を配合した壁紙の事を「珪藻土クロス」と呼び、区別します。 この両者の違いを今から解説していきますね

珪藻土とは?

 

珪藻土はダイアトマイトとも呼ばれ、白亜紀以降の太古の昔に藻類の一種である珪藻が死滅し堆積物となったものです。
ザックリ言うと、プランクトンの死骸が積もったものです。

珪藻は細胞が珪酸質の被殻に覆われているのが特徴です。

珪藻土の殻の大きさは大体100μmから1mm程度です。
粒子の形はもとになった珪藻の種類に応じて、円盤状のもの紡錘状のものとさまざまです。

 

調湿性や消臭機能のある内装材として注目されている珪藻土ですが、建築材料としての珪藻土の利用は古く今から2000年前にすでに「断熱性に優れた水に浮くきわめて軽い建築材料」としての記録があります。
使っていて断熱性能はあまり感じた事はありませんが・・・

 

現在確認されている珪藻土を使った最古の建築物はイスタンブールにある「ハギア・ソフィア大聖堂」です。
AD532~537年にかけて完成した建物で、直径32メートルの上部ドームに珪藻土で作った軽い材料が使用されています。

 

珪藻土クロスとは?

珪藻土クロスは、天然素材である珪藻土を内装材として利用しやすいクロス(壁紙)に仕立てた製品です。

珪藻土単体では水で練っても粘着性はありません。
そこで珪藻土の粉末とバインダー(糊)を混ぜ、クロスのベースとなる基材に塗ったものが珪藻土クロスです。

現在(2018年7月)ではサンゲツやリリカラ、トーリなど日本の主なクロスメーカーでは珪藻土クロスをラインナップしております

 

ただし調湿性や消臭性などの性能は各社に扱いに差があるようです。
こうした機能性を重視しているメーカーもあれば、あくまでテクスチャー(質感)としての珪藻土を考えているメーカーもあります。

 

機能性を重視する場合は各社のカタログを注意して見る必要がありますね。
ただ、後述しますが、過度の期待はしないほうが良いです。

 

珪藻土と珪藻土クロスを比較してみました。

堅苦しい話は終わりにして、ここから本題です。

 

珪藻土クロスの特徴

 

珪藻土クロスの場合、クロスメーカーにより若干の違いはあるもののその仕上がりはマットな感じの平滑に仕上げた塗り壁のような仕上がりになります。

 

クロスは製品として幅が決まっていますから約90cm間隔でジョイント部が発生します。

職人さんの腕にもよりますが珪藻土クロスはその性質上ジョイント分が若干目立ちやすいため、その気になって壁を見るとジョイント部が多少気になるかもしれません。

 

また、もともとが鉱物であるのでクロスとしての柔軟性も普通のビニールクロスよりは劣ります。大きな面を珪藻土クロスで仕上げていく場合には問題はありませんが、細かな折り返しが続くような場所(目透かし納まり部分など)ではクロスを貼る職人さんが少し手間が多くなります。

 

珪藻土と珪藻土クロスの調湿性の比較

 

両者の調湿性を比較した場合、残念ながら明らかな違いが出てしまいます。

まあ、予想どおりっちゃあ、予想通りですね。

詳細は以下の項で述べますが、珪藻土の場合、調湿性能として高いもので1㎡あたり200g以上の調湿性能を示すものもあります。

珪藻土クロスも実験データとして1㎡あたり80g程度の調湿性能を示すものもありますが、JIS規格の適合まで謳ったものはありません。

 

珪藻土部分の厚みがクロスと塗り壁とで大きく違うため性能にも大きな違いがでてしまいます。

また、クロスに仕立てる製造過程で珪藻土を一度粉末にすることとバインダーで固めてしまうことも性能に影響を与えていると考えられます。

珪藻土クロスは、あくまで珪藻土の持つテクスチャーを味わうためのものであって、調湿性はあまり期待できないと言えます。

 

珪藻土と珪藻土クロスのコスト(価格)を比較

珪藻土と珪藻土クロスをコストで比較した場合、その製品によって施工の容易さもありますから一概コストの比較はできません。


目安として珪藻土は珪藻土クロス仕上の3~5倍程度と言われています。

 

・珪藻土 1㎡あたり5,000円から10,000円程度
・珪藻土クロス 1㎡当たり1,200~1,500円程度

 

珪藻土と珪藻土クロスの工期の比較


珪藻土クロスの場合、建物規模にもよりますが、1週間程度あれば下地処理からクロス貼り工事まで完了します。

しかし、珪藻土の場合、下塗りや中塗りが必要な材料であれば数週間から1か月かかる場合もあります。

 

ここまでで、珪藻土と珪藻土クロスの違いについて解説してきました。
性能、工期、質感、価格などを総合的に考えて、どちらを採用するかを判断する必要があります。

 

珪藻土のデメリットはあるの?

珪藻土にしろ、珪藻土クロスにしろ、珪藻土を内装材として使用する場合の注意点はあるのでしょうか?
珪藻土のネガティブな面として一番に上がるのは「発がん性」であると思われます。

 

珪藻土の発がん性に関する話題は10年以上前からあるものです。WHOの下部組織であるIARC(国際がん研究機関)が人に対する発がん性が認められる物質として「石英およびクリストバライトの粉体」を上げたことに端を発するようです。

 

珪藻土を焼成するとその一部が結晶性シリカ(クリストバライト)という物質になるため、珪藻土配合=発がん性物質配合とされたようです。

 

これだけ聞くと不安になりますが、「太陽光」や「たばこ」、「アルコール飲料」も、結晶性シリカ(クリストバライト)と同様に人に対して発がん性があると言われています。

「珪藻土の発がん性はアルコール飲料程度」と言いたいわけではないですけど、正直、どう判断は微妙なところです。


もし、あなたが、珪藻土を採用するつもりなら、ご自身でご判断下さい。

ちなみに、私は深刻には考えていません。
弊社のモデルハウスの内装仕上げも珪藻土仕上げです。

 

※焼成する前の珪藻土その物に対して「発がん性がある」としている公的機関は世界中を探してもありません。珪藻土を塗り壁材やクロスにする段階で、一度焼成する場合があります。その場合は結晶性シリカの影響が頭をよぎりますが、メーカーによっては珪藻土を焼成することなく建築材料として製品化しているところもありますので、発がん性がどうしても気になる場合はその辺りも注意すると良いと思います。

<参考>

1. IARCホームページ:http://www.iarc.fr/

珪藻土クロスの汚れは目立つ?欠点(デメリット)はあるの?補修は出来る?

珪藻土クロスはその機能性と仕上がりのマット感などからおススメ材料の一つではありますが、良い面ばかりではありません。実際に珪藻土クロスを採用された人の感想として一番多いのは補修によるメンテナンスの問題があります。

 

一般的なビニールクロスは汚れが付きにくいという性質があり、たとえ汚れがついたとしても硬く絞った雑巾などで拭き掃除ができます。

 

しかし、珪藻土クロスは触ってみるとわかりますが表面がザラザラしています。それがマット感や本物の塗り壁のような風合いを出す部分でもあるので致し方ないのですが、ザラザラしているということは何かが少しこすっただけで汚れが付きやすいということになります。

 

また汚れてしまった場合でも「簡単に拭き掃除をする」というわけにもいきません。クロスメーカーの方でも珪藻土クロスの汚れの問題は把握されているようで、手入れ方法などについてカタログ等に掲載があります。

 

珪藻土クロスを選択する場合はカタログを見るだけではなく、実際に触って汚れの付き具合なども確かめておくことが大切です。また、すでにお伝えしましたが、調湿性の問題です。
珪藻土クロスは珪藻土に比べてどうしても性能は劣ります。

 

調湿性能目的で採用を検討されているなら、過度な期待は禁物です。

珪藻土にはカビが生えるのか?

実は、珪藻土を配合した壁材は、カビが生えます。

カビの問題は珪藻土に限ったことではありません。カビは、基本的にはどんな場所でも条件がそろえば繁殖します。カビの胞子は部屋中のどこでも存在してますので、後は湿気と栄養があれば付着面が珪藻土であろうと木部であろうと金属面であろうと繁殖します。

 

珪藻土には調湿性能があるため、他の内装材と比較した場合に部屋の湿度を過度に上げない能力があります。そういう意味で珪藻土を内装材として使用した建物は、カビの繁殖がある程度抑えられる建物であると言えるのかもしれません。

 

しかし、調湿性能を持つ珪藻土もその能力には限界があります。珪藻土が吸い込んだ湿気を適時放出させてやらないと、逆に湿気を含んだことが原因となってカビが繁殖する可能性もあります。クロスも塗り壁材もその多くは防カビ処理がなされていますが、その防カビ効果は限定的であると考えた方がよいでしょう。

 

どこにでも繁殖する可能性のあるカビと上手に付き合うには、換気などを適宜行いカビの繁殖しやすい条件を満たさないように生活する工夫が必要です。

 

まとめ

珪藻土クロスは、安く、そして工期もかかりません。
調湿性能こそ珪藻土に比べると劣りますが、マットな仕上がりで塗り壁に近い質感を得られます。
デザイン面だけでも珪藻土クロスを選択することは十分に意味のあることと考えられます。

ただし、汚れやすいであるとか、ジョイントが目立ちやすいなどのウィークポイントも正しく理解して採用する必要があります。

 

一方、珪藻土は、調湿性能は特筆すべきものがある一方、製品による性能のバラつきにや、ひび割れ等のリスクがあります。
また、価格も工期もかかります。

 

全ての面で、何も欠点のない製品はありません。
良い面と悪い面を正しく理解し選択することが大切です。

珪藻土バスマットのソイル soilを動画でご紹介しています。

珪藻土の特徴を生かしたバスマットです。
本田がヒカキンばりに解説しています。

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