MSデマンド換気システムの特徴について解説!換気の種類や仕組みについても
日々の生活の中で、料理匂いや掃除のホコリなど、換気は必ずしなければならないことのひとつです。
しかし、性能のいい換気とはどういったものなのか?
そもそも換気はどういった仕組みになっているのか?
本記事では、4種類ある換気システムの中の「MSデマンド換気システム」について解説していきます。
これから家を建てる、またはリフォームを考えてる人はぜひ最後まで読んで換気システムを決める参考にしてください。
マツナガの社長さんとおおとり建設の森さんにyoutubeで解説してもらいました
youtubeでもMSデマンドシステムの解説をしています。こちらの動画も合わせてみてもらうと更に理解が進むと思いますのでお勧めです。
まずは換気について理解を深める
換気システムを選ぶためには、換気がどのようなものか知っておくことが大切です。
近年流行した新型コロナなどの感染症や、アレルギーを対策するためにも換気はしなければなりません。
これから家を建てようと考えている方は、換気について理解を深めておきましょう。
給気と排気によって空気を循環させる
そもそも換気とは、給気と排気によって空気を循環させることです。
給気とは室内に空気を取り込むことを指し、排気は室内の空気を外に排出することを意味します。
空気を入れ替えないとどんどん汚れてしまい、室内に二酸化炭素(CO2)や一酸化炭素(CO)・窒素酸化物・ホルムアルデヒド・ハウスダストなどが溜まります。
そこで換気によって室内の汚れた空気を入れ替え、快適に過ごせる空気環境を保つことが大切です。
なお、換気の方法はファンを使用する機械換気をしたり自然換気で空気を入れ替えたりと、さまざまな方法があります。
換気システムによって、給気と排気どちらにファンを使用するか、どちらともファンを使用して完全機会換気にするかなどの違いがあります。
気密性が高い建物ほど換気性能が重要
近年は気密性が高い住宅が人気です。しかし、気密性が高い住宅は室内の空気が循環しにくいため、換気性能は重要になってきます。
換気性能がイマイチだと悪い空気が部屋中に溜まってしまい、新鮮な空気を取り入れられずに健康に悪影響まで及ぼす可能性も。
とくに室内の二酸化炭素濃度が高くなると、集中力の欠如やひどいときには頭痛やめまいなどを引き起こします。
それくらい、換気というのは重要なものなのです。
換気には4種類ある
換気には給気と排気を自然に行う「自然換気」と、ファンなどの機械を使って給気・排気を行う「機械換気」があります。
自然換気と機械換気の組み合わせによって換気の種類は異なるため、換気システムを選ぶ前に換気の種類を確認しておきましょう。
換気は大きく分けて、次の4種類があります。
- 第一種換気
- 第二種換気
- 第三種換気
- 第四種換気
それぞれの違いを理解して、換気システム選びの参考にしてみてください。
第一種換気
第一種換気は給気と排気を機械換気で行います。ファンなどの機械によって給気と排気を管理するため、目的の部屋を速やかに換気可能です。
また、すべての給気口・排気口にファンを取り付けて機械換気を行うため「全館空調システム」とも呼ばれます。
機械で室内の空気を循環させるため、効率的な換気が可能です。
第一種換気の具体例は、排気にかかる熱を給気に移して、室温を一定に保つ「熱交換換気」などが挙げられます。
すべての部屋を同一の気温に保つことができるため、冬場のヒートショックを防止したり快適な室温で生活できたりと便利です。
しかし、給気・排気すべてを機械換気で行うため、他の換気システムに比べて導入費用が高くなります。
導入費用で約60万〜100万円かかり、換気システムによっては3ヶ月に1度のフィルター掃除と2年に1度の商品交換が必要です。
第一種換気を採用する際には、導入費用とメンテナンスの手間がかかることを覚えておきましょう。
第二種換気
第二種換気は、給気は機械換気で行い、排気は自然換気で空気を入れ替える換気方法です。
具体的には空気を取り込む給気口はファンなどの機械を取り付け、空気を外に逃がす排気口はただ穴が空いているだけの状態になります。
第二種換気は給気で新鮮な空気を取り込み、給気口から汚れた空気を押し出す仕組みです。つまり、空気の圧力が外より室内の方が高い正圧な状態で効果を発揮します。
常に新鮮な空気を取り込めるため、常に快適な空間で生活が可能です。しかし、木造住宅であれば空気を取り込んだ際に、汚れた空気や湿気が壁の中や屋根裏に逃げ込んで結露が発生します。
結露が発生するとカビや腐食の原因となるため、より不衛生です。
特に北海道などの寒冷地では、外の冷えた空気が室内に入り込むため結露が発生しやすいため、第二種換気は使用されていません。
第三種換気
第3種換気は、給気を自然換気で行い排気を機械換気で行う換気方法です。
空気を取り入れる給気口はただの穴で、汚れた空気を逃がす給気口にファンなどの機械を取り付けます。
排気により室内の空気を外に押し出すため、外より室内の空気の圧力が低い負圧の状態です。
室内が負圧になるため、壁の中や屋根裏へ侵入する湿気を引き出して、カビや腐食による被害を防止できます。
なお、第三種換気はトイレや洗面所・換気扇にファンを取り付けるシステムが多いです。
限られた箇所にのみファンをつけるため、導入コストが安くなりランニングコストも低くなります。
しかし、第一種換気に比べると部屋によって温度変化があり、冬にリビングから脱衣所に移動した際に寒さを感じてしまうでしょう。
住宅の気密性が高くない場合は、給気口以外の隙間から空気が侵入して、適切に空気を循環できません。
第三種換気を採用する場合は、換気効率を良くするために気密性が高い住宅を建てましょう。
なお、このあと紹介するMSデマンド換気システムは、第三種換気に該当します。
第四種換気
第四種換気は、給気と排気をすべて自然換気で行います。給気口と排気口のどちらにも、ファンなどの機械を取り付けずに、自然に空気を循環させる換気方法です。
暖かい空気が上に行く性質を利用して、給気口を建物の下に設計して煙突のような排気口を建物の上に取り付けます。
機械を使用しないため、電気代がかからずメンテナンスの手間もかかりません。
しかし、建築基準法の法改正に伴い、換気システムを導入する際には換気量の数値を書類にまとめて提出する義務が生じました。
給気と排気を自然換気で行う第四種換気は、換気量の数値を計算できないため、現在は家を建てる際に選べません。
そのため現在の建築基準法では、第一種換気か第三種換気を選ぶ流れが一般的です。
MSデマンド換気システムについて 熱交換換気との違いは?
MSデマンド換気システムは、必要な時に必要な場所への換気を自動で行います。
第三種換気に該当するMSデマンド換気システムは、排気口にファンを取り付けて排気量を自動で調整する換気システムです。
湿度感知センサーがファンに設置されており、湿度が高い状態では多く換気して湿度が低くなると換気量を減らします。
自動で換気量を調整するため、無駄な換気を行わず快適な室内環境を維持できるのです。
なお、第一種換気である熱交換換気と比較すると、導入費用やトータルコストの観点ではMSデマンド換気システムの方がお得に運用できます。
第一種換気とMSデマンド換気システムの違いを比較してみますので、換気システム選びの参考にしてみてください。
項目/換気システム | 熱交換換気 | MSデマンド換気システム |
初期導入費用相場 | 約60万〜100万円 | 約50万円 |
メンテナンス頻度 | 3ヶ月に1度の掃除 | 年1回の掃除 |
フィルター交換 | 2年に1度交換が必要 | フィルター交換不要 |
ランニングコスト | 電気代・暖房費 | 電気代・暖房費 |
トータルコスト比較 | MSデマンド換気システムより約30円〜70万円ほど高い | 熱交換換気より約30万〜70万円ほど安い |
導入費用やメンテナンスの手間・コストを考えても、熱交換換気よりMSデマンド換気システムの方がリーズナブルです。
家を建てる際には、費用面やメンテナンスの手間を考えて、自分に合った換気システムを選びましょう。
MSデマンド換気システム8つの特徴
MSデマンド換気システムには、次の8つの特徴があります。
- 安く導入できる
- 省エネ性が高い
- 空気の漏れが少ない
- メンテナンスが簡単
- 運転音が静か
- 年中快適な空気環境で過ごせる
- 過換気を抑制できる
- 半永久的に使用できる
それぞれの特徴を解説しますので、MSデマンド換気の導入を悩んでいる方はぜひ確認してみてください。
安く導入できる
MSデマンド換気システムは、他の換気システムに比べて安く導入できます。
先程紹介した通り、第一種換気である熱交換換気の初期導入費用は約60〜100万円、第三種換気であるMSデマンド換気システムの初期導入費用は約50万円が相場です。
MSデマンド換気システムは、仕組みがシンプルなので本体価格も安く購入できます。構造がシンプルなので取り付けやすく、導入にかかる費用も第一種換気と比べると安いです。
省エネ性が高い
MSデマンド換気システムは、省エネ性が高く光熱費を削減できます。
湿気に反応して必要な量だけ換気できるため、無駄に空気を逃しません。
そのため、年間の暖房費用を節約できます。
熱交換換気では、ファンの消費電力がかかり光熱費が高くなりやすいです。
MSデマンド換気システムは排気のみにファンを使用しますが、熱交換換気は給気と排気にファンを使うため単純に2倍の消費電力が必要になります。
消費電力を抑えて、不要な換気を抑制できるMSデマンド換気システムは省エネ性が高いです。
空気の漏れが少ない
MSデマンド換気システムは、排気をファンで行うため室内が負圧となり隙間から空気が入る給気になります。
一方、熱交換換気は給気と排気両方をファンで行うため、室内外の気圧差が発生しにくいです。そのため隙間から空気が逃げる排気になります。
せっかく暖めた室温が外に逃げてしまう熱交換換気では、冷暖房効率が悪いです。
MSデマンド換気システムは、空気の漏れが少なく冷暖房効率が高い特徴があります。
メンテナンスが簡単
換気システムの多くは定期的にメンテナンスをして、内部のフィルターを交換しなければなりません。
しかし、MSデマンド換気システムであればファン本体から羽根を取り外せるため、メンテナンスが楽です。業者を呼ばなくても自分で清掃ができて、手の届くところに設置できます。
メンテナンス頻度も年に1度でよく、フィルター交換は必要ありません。
運転音が静か
MSデマンド換気システムは、運転音が静かな特徴があります。
MSデマンド換気システムの運動音は約33db〜34dbです。モーターをサスペンションで固定し、高性能防音材を使用することでファンの運転音を静かにしています。
落ち葉の音、畳をすり足で歩く音は約30db。ささやき声や布ズレの音が約40dbになるため、MSデマンド換気システムの運転音は非常に静かです。
そのため、MSデマンド換気システムは、閑静な住宅地であっても深夜帯に使用しやすくなっています。
年中快適な空気環境で過ごせる
全自動で換気を行うMSデマンド換気システムを導入すれば、年中快適な空気環境で過ごせます。
湿度感知センサーが給気・排気を自動で行うため、換気扇のスイッチを押す手間がかかりません。
季節や日による湿度変化、ライフスタイルの変化にあわせて換気量を変えられるため、 常に快適な空気環境を保てます。
過換気を抑制できる
冬場には換気をしすぎる「過換気」によって、室内が乾燥しやすくなります。
乾燥による肌荒れや喉を痛めるなど、健康被害へ発展する可能性があります。乾燥を防ぐためには、過換気を抑制して快適な湿度を保つことが大切です。
MSデマンド換気システムは全自動で換気を行うため、過換気を抑制できます。乾燥による健康被害を抑制したい方は、MSデマンド換気システムで過換気を抑制しましょう。
半永久的に使用できる
MSデマンド換気システムは、劣化しにくいナイロンリボンという素材を採用しています。
そのため、長期間使用していても劣化しにくく、半永久的に使用可能です。
また、電気を使わない湿度感知センサーを採用しているため、電池切れや故障などの心配がありません。
故障の心配がなく半永久的に使用できるMSデマンド換気システムは、メンテナンスフリーで使用できるコスパがいい換気システムです。
MSデマンド換気システムを導入すべき?
コストパフォーマンスが高く、メンテナンスが簡単なため優れた換気システムと言えます。
しかし、換気システムはMSデマンド換気システム以外にもさまざまな種類があるため、自分に合った換気システムを導入するべきです。
省エネ性を考えるなら第三種換気や第四種換気が向いており、建物内の室温を均等に保ちたいなら、第一種換気の全館空調といった感じでしょう。
導入コストとランニングコスト、メンテナンス性能など、さまざまな点から自分にあった換気システムを導入してください。
コストパフォーマンスの高さを重視するなら、MSデマンド換気システムの検討もあり
導入費用やランニングコストの観点から、MSデマンド換気システムはコストパフォーマンスが高い換気システムだと言えます。
家を建てる際に、コストパフォーマンスの高さを重視するならMSデマンド換気システムの導入を検討してもいいでしょう。
MSデマンド換気システムは第三種換気であり、第一種換気と比較するとコストパフォーマンスの高さがわかります。
最後に以下の動画で、第三種換気と第一種換気を比較し、換気システムの選び方を解説した動画がありますので、よかったら視聴してみてください。
YouTube:換気システムの選び方を今考えてみた 【三種換気システムと一種換気システム】
MSデマンド換気システムを実際につけてみた 2024.6.29 追記
家づくり百貨のyoutubeで更にご紹介しています。