快適!南向き大開口の窓の嘘
長持ちする家 研究家 瀬崎です。
今回は、長持ちする日射遮蔽の話。
『日射遮蔽』(にっしゃしゃへい)、一般の方には、聞きなれない言葉ですが、エコ設計を考える上では、常識的なワードです。
漢字からも想像できますが、これは、太陽の光を、遮(さえぎ)る事を意味します。
ちなみに、「日射遮蔽」についてお話するのは、今回が初めてではなく、
以前のブログ記事、↓
「おばあちゃんの家の方が涼しい・・・」で、すでに住環境に大きく影響する2つの要素のひとつとして、取り上げていますので、未読の方はそちらを先に見て頂いた方が良いかと思います。
では、本題に戻って、日射遮蔽が建物にどう影響するかをお話します。
現在の建物は、昔の家に比べて、Q値(簡単に言うと、建物を保温する力)が、よくなっているので、暖房さえかければ、冬はそこそこ、暖かいのです。
でも、夏は、工夫が必要です。
うっかり、太陽の光を室内に取り込んでしまうと、それもしっかり保温してしまうからです。
つまり、なるべく日射を部屋の中に入れないような対策が必要なのです。
そう、それが「日射遮蔽」です。
すでに家を建築された方が、後からできる日射遮蔽は、オーニングや、すだれ、ブラインドなどを設置して、直射日光を遮る事や、庭に落葉樹(夏に葉が茂り、冬に枯れて落葉する樹種)を植えることです。
これから家を建てる方は、日射遮蔽を意識した設計をすると、非常に効果的に光熱費を下げる事ができます。
具体的な手法を少し紹介します。
ここに、「方位係数」という表があります。
表の中の数字は、大きいほど日射量が多いことを意味しています。
例としてクオホームのあるⅣ地域を見てみると、東面・西面・南東面・南西面の数値が
0.45と、他の方位に比べて高い事がわかります。
設計上は、この方位にある窓の面積を小さくしたり、庇を伸ばしたりするなどして、何らかの対策を施すことがポイントになります。
誰もが、南面の窓を大きくして、日当たりがいいプランを考えます。
それは正解なのですが、本当にその窓が、南面に設置されているかをまず確認して下さい。
平面図の下側に窓があると、真南に窓があるような錯覚に陥りがちです。
敷地が大きく東西に振っていたりしませんか?
もし、そうなら、その窓は、最も日射量の多い、南東もしくは南西に設置されています。
残念ながら、お客様が希望される部屋数や、家事動線ばかりに気がいって、日射遮蔽の重要さが頭から抜け落ちている設計士(営業マン)はいっぱいいます。
彼らは、方位なんか、ほとんど気にしていません。
サッシや断熱材の仕様が全く同じでも、日射遮蔽を意識する事で、断熱性能は全く異なります。
言い方を変えると、設計の基本がわかっていないと、いくらい良い仕様にグレードアップしても、その性能を十分に引きだす事ができないのです。
お客様の大切なご予算です。
最大限の効果を発揮できるように、ご提案する事が私達の責務だと考えております。