アクアフォームだから暖かいの嘘
長持ちする家 研究家 瀬﨑です。
今回は長持ちする「断熱材」の話
「断熱材は何を使っているのですか?」とよく聞かれます。
アクアフォームを使うことが多いので、そう答えると、安心される方が多いのですが、
最近のアクアフォームの認知度は、すごいなと驚くとともに、危うさも感じています。
何度もこのブログで、言ってきたことですが、
家の暖かさは、断熱材の種類で決まるものでは、決してありません。
もし、アクアフォームのどこがいいと聞かれたなら、
『隙間なく施工することが、比較的簡単だから』
と返答しています。
ここにすべてが要約されています。
断熱材は、隙間なく施工することが重要なのです。
断熱材の性能を測るものさしとして、熱伝導率があります。
これは、熱の通しやすさを表しており、数字が低いほど、性能の高い断熱材だといえます。
性能の高い断熱材を、厚く使えば使うほど、家の断熱性能はあがります。
ただし、繰り返し言いますが、隙間なく施工する事が前提です。
主な断熱材の熱伝導率
フェノールホーム(1種)・・・・・・・・・・・・・0.022
ポリスチレンフォーム(3種)・・・・・・・・・・0.034
高性能グラスウール 16K・・・・・・・・・・・0.038
吹付硬質ウレタンフォーム・・・・・・・・・・・0.040
セルローズファイバー・・・・・・・・・・・・・・・0.040
アクアフォームは、吹付硬質ウレタンフォームに分類されますので、取り立てて性能がいいというわけではないことがわかると思います。
ただ、隙間なく施工する事が容易という点で非常に優れているのです。
他の断熱材は、隙間を埋める作業(気密処理)を、設計者、現場監督、職人の3者がしっかり理解していないと、うまくいきません。
特にグラスウールやロックウールなどの繊維系断熱材は、施工レベルによって、驚くほど性能が低下してしまいます。
過去ブログ
グラスウール についてもう一度考える
逆に言えば、しっかり理解さえしていれば、断熱材は、何でもかまわないのです。
気密処理がしっかりできたかを調べる唯一の方法が「気密測定」です。
これをしなければ、その家の断熱性能が正確に測れません。
アクアフォームだから、気密が取れているかというと、決してそんなに甘くない事が、
気密測定をすれば、すぐにわかります。
通常、床にはアクアフォームは施工しませんので、床は他の断熱材を使用します。
・床の断熱材の気密処理が不完全な場合。
・屋根の見えにくい箇所にアクアフォームが施工できていない場合。
・設備屋さんが、配管する際に開けた穴をきっちり塞いでいない場合。
多くの場合、測定不可となり、結果さえ出ません。
何十回も気密測定を経験すれば、気密処理をミスしやすいところが見えてきます。
もし、気密処置にミスがあっても。すぐに気密測定中に改善することができます。
それが、その会社の技術力です。
気密処理の技術力のある会社は、より性能の高い断熱材を使用したり、組み合わせたりすることで、驚く程、断熱性能の高い家を建てる事もできます。
「アクアフォームだから暖かいのではなく、気密処理しているから暖かいのです。」
これを忘れないで下さい。
みなさんが、建築される場合は、ぜひ、建築会社に気密測定をお願いしてみてください。
測定費用として、5万~7万ほど追加費用かかるかもしれませんが、それだけの投資で、
しっかりした気密処理が期待できるなら、すぐに光熱費で回収できます。
参考:目指す測定値 C値(隙間を表す単位)は、1.0を目標として下さい。