ちょっと気になったんだけど、気密コンセントBOXって、必要なの?
長持ちする家 研究家 瀬崎です。
どんどん家の高断熱化が進んでいますね。
電気の自由化も始まり、ますます光熱費に関心が高くなっていく事が予想されます。
家の断熱性能を向上させるには、窓・屋根(天井)・床・壁の断熱性能を上げることだけではなく、
気密性能もしっかり上げておくことが必要です。
今回は気密施工に絡むお話です。
いくら、窓にいいものを使っても、気密性能が悪いと、効果は目減りしてしまいます。
気密性能はC値という数字で表されるのですが、最近は、お客様の口から、「C値」という言葉を
聞くことも多くなってきました。
数年前では考えられなかったことですので、正直驚いています。
何十年も住宅建築の世界にいながら、「シーチ?なんじゃい、うまいのか?」
という建築関係者が、未だにたくさんいるのに、会話が成り立つのか、心配になります・・・
まあ、それはておき、このC値という数字は、工事中に気密測定しないと測れません。いくら机で頭を悩ましながら計算しても一生答えは出ないんです。
まさに、どれだけ、現場の施工レベルが優れていたかの証明なんです。
測定費用として、5万くらい費用がかかりますが、
絶対にやることをおすすめします。
目標はC値1.0以下です。(数字が小さいほど隙間が少ないということなので、性能は上です。)
気密測定は必ず工事中に実施しなくてはいけない理由
完成してから気密測定しても意味ないですよ!
工事中に実施することで、施工ミスをその場で発見できるというメリットがあるんです。
電気や、ネットの引込や、給水菅、給湯管、ガス管など、外壁を貫通して、気密に影響する仕込みをすべて完了し、その貫通部周りを気密処理した後に気密測定です。
中には、気密測定の数値が悪くなるのを嫌がって、気密測定してから仕込みする会社まであるそうです・・・・
それって、まったく意味ないですよね。そんな卑怯な方法で、良い数値取ってどうするんでしょう?
数値を自慢し合うのが目的ではありません。(←ここ重要)
なので、そもそも気密測定をしないという住宅会社は意味不明です。
施工に自信がないと自分から言ってるようなものです。
もし、断る建築会社がいたら検討対象から外した方がいいですよ。
「性能の高い家に気密性はかかせない。」と、覚えておいて下さい。
グラスウールは気密が悪くてスカスカですの嘘、本当。
気密の話をすると、きまって出てくるのが、「グラスウールは気密が悪い。」という都市伝説。
今まで何度となく聞いてきました。
この言葉は、正確ではありません。
正確には、「グラスウールはC値1.0以下を取るのが難しい。」
アクアフォームや、アイシネンのような現場発泡ウレタンに比べると、グラスウールでC値1.0以下は、正直かなり難しいです。
発泡ウレタンのように断熱材自体が膨らんで、ぐいぐい隙間を埋めてくれるわけでもなく、
グラスウールは、あくまで職人の手作業で、隙間を処理しなければいけません。
なので、気密を確保するための、知識・技能・部材が必要になります。
気密コンセントBOXってご存知ですか?
これ見て下さい。↓
これは、気密コンセントBOXという商品です。
グラスウールは、気密シートというビニールで、気密性能を確保しています。
コンセントところで、このビニールを破いてしまうことが多いんです。
その結果、コンセント部分から隙間風が・・・・・
気密失敗あるあるです。
その場合、この気密コンセントBOXを使用することで、その心配を解消できます。
どう見ても、もれようがないですよね。
しかし、残念ながら・・・
グラスウールでは、必須のこのコンセントBOXですが、出荷数は驚くほど少ないらしいです。
グラスウールは、国内で、圧倒的に一番使用されている断熱材なんですけどね(笑)
気密コンセントBOXの他にも、気密を確保するための気密部材というものがいくつもあり、
そういった商品をうまく利用すれば、グラスウールでもC値1.0を下回ることは可能ですよ。
グラスウールは極悪な商品ではなく、むしろ極善な商品。
グラスウールには、
材料が安い。
経年劣化が少ない。
性能が高い。
燃えない。
と、非常に優れたメリットがあります。
気密性能が確保しずらいというデメリットさえ克服できれば、
大変コストパフォーマンスの高い断熱材だと覚えておいて下さい。
新住協という団体は、グラスウールでc値1以下をとる工務店がうじゃうじゃいますからね。
もし、お目当ての工務店が、グラスウールを標準仕様にしていても、新住協の加盟工務店なら気密に関しては、心配ないと言っておきましょう。
「あなたの家、本当に省令準耐火仕様になっていますか?」
最近の気密性能への世間の関心の高まりを考えると、
気密性能の確保が難しいグラスウールから、容易な発泡ウレタンに仕様を変える
建築会社が増えていく事が予想されます。
そこで、あなたに知っておいた頂きたい事は、
その結果として、気密性能が高い家は増えますが、省令準耐火仕様の対応の家が少なくなる
であろうということです。
なぜ、省令準耐火仕様の対応の家が少なくなるのか?
その前に、「省令準耐火仕様の家」について、補足しておきます。
省令準耐火仕様とは、火災保険料が安くなるというメリットが得られる、住宅の内装仕様の事を言います。
大雑把に言うと、火事が広がりにくい仕様です。
この仕様のルールの中に、コンセントBOXの廻りを不燃材で覆うというものがあるのです。
グラスウールは不燃材に分類されるので、グラスウール仕様なら、特に何もしなくても不燃材で覆われることになるのですが、グラスウールから、アクアフォームやアイシネンなどの発泡ウレタンに仕様を変えると、ルール適用外になってしまうんです。
これ、知らない人多いです・・・
火事になっても保険がちゃんとおりないかも・・・
実際、火災の時どうなるかと言うと、コンセントの部分から火が侵入すると、壁内を一瞬で焼き払ってしまうという事です。
保険の支払いでも、揉めそうですね。
なので、発泡ウレタン仕様にする場合は、さっきとよく似た、こういった処置が必要です。↓
~フラット35 適合証明のポイント50より引用~
ちゃんと施工されるのか非常に心配です…
結論
「気密コンセントBOXは必要なの??」
答え
グラスウール仕様で、気密性能をしっかり確保する場合に必要。
まめ知識
発泡ウレタン仕様で、省令準耐火仕様に対応させる場合は、
防火被覆対応処置が必要。
今回は以上になります。
*質問等ございましたら、質問掲示板より受け付けております。
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