アクロフレックスとアルセコの比較。知らないとヤバい通気の話。

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長持ちする家 研究家 瀬崎です。
建てた後にメンテナンスのかからない家を建てるには、3つのポイントがあります。

1、外壁の仕様
2、防蟻処理方法
3、ベランダ仕様

以前からこの話は、当ブログ内で何度か詳しく解説していますので、

・読んだことがない。
・読んだ気がするが、内容を忘れてしまった

という人は、まずは、過去記事を。

「エコボロン」に惹かれて・・・

木造住宅のベランダにFRP防水は不向き?


今回は、アクロフレックスという人気の外装材に絡めて、外壁の仕様の考え方について解説します。

アフロフレックスの評判ってどう?どんな特徴があるの?

アクロフレックスとは、オメガ社が販売している外貼り施工用の断熱材です。
商品自体ににメッシュを施工し、直接、塗壁仕様ができるのが特徴です。

アクロフレックス

 

 

同様のコンセプト商品のアルセコ

こちらの方がより高性能です。(その分価格も上がります。)

 

どちらも、直接、素材に、塗り壁仕上げができることで、通常、必要になる
バラ板施工して、メッシュ打ち付け、下地モルタル塗り付けなどの、手間のかかる
下地工事が一切不要になります。

工期短縮と、コストダウンの両方が見込めるので、採用する建築会社も増えています。

外装材を塗り壁仕上げにすることで、高級感が出ますし、
サイディングにつきもののコーキングの打ち替えもないため、
メンテナンス費用も非常に安くなります。

弊社でも、そとん壁や、カルクウォールなど高耐久の塗り壁を推奨しておりますが、
メンテナンス費の削減という意味で、同じ効果が見込めます。

非常におもしろい商品だと思うのですが、ひとつ気になる部分があります。

外気に触れた時点で、断熱は終了です。

それは、通気層の考え方です。

弊社は全棟で、家の断熱性能を計算しているのですが、
その計算の中で、通気層の考え方が非常に重要なんです。

実際、どのような計算方法を用いているかを簡単に説明しますね。

熱は、水と一緒で、高いところから低いところへ流れます。
仮に冬だとすると、暖かい家の中から、寒い外へと熱が移動していきます。

もっと細かく言うと、

屋根



換気口(給気口) 

この5つから移動していきます。

上記にあげた5つが、それぞれどのような構成で作られているかを考え、
その構成の中で、どのように熱が逃げていくかを、個別に計算していきます。

壁を例にお話しします。 まずは下図を見て下さい。↓

 

室内側から順番に、

内装材(プラスターボード12㎜)

断熱材(高性能グラスウール16K105㎜)

この次が通気層になるので、計算は終わり。
(防湿フィルムと透湿防水シートは断熱性能がほとんどないので、無視しています)

通気層に到達するまでの上記の2要素

プラスターボード12㎜
高性能グラスウール16K105㎜

この2要素だけで、壁の断熱性能が決まるわけです。

窓や換気口(給気口)は、少し違いますが、
屋根や、床での考え方は同じです。

断熱性能を考えるうえで非常に重要な基礎知識

ここで覚えてほしいのが、通気層までで、計算が終わることです。

通気層とは、外気の流れですので、
温熱計算上は、すでに「外」だという事を認識しておいて下さい。
話が少し脱線しますが、長期優良住宅や、フラット35のローンを組もうと思うと、
通気層の確保が絶対条件になっています。

通気層がなくても、なんら問題ない工法でも、
現状では、通気層がないという理由だけで、長期優良住宅の認定や、や、フラット35のローンを通りません。
話をもとに戻します。

ここで気になるのがアクロフレックスの形状です。

断熱材自体に、空気の流れる加工をほどこし、通気層を作ってしまっています。
これだと、断熱材より部屋側に外気が流入することになります。

アクロフレックス 通気ボード断面形状

 

つまり、せっかく素材自体に39㎜も厚みがあり、断熱性能があるように思えますが、実際、断熱材としては、うまく機能していないことが予想されます。

これは、長期優良住宅やエコポイント対応するには必要な商品ですが、見た目の断熱材の厚みから想像できる性能は発揮されません。

私の認識では、アクロフレックスは、断熱性能に期待する商品ではなく、クラックの入りにくい、メンテナンス費用のかからない外装材です。

アルセコは、通気層不要のめずらしい断熱材兼外装材

一方、アルセコの方は、素材自体が空気を通すようにできています。

 

つまり通気層が不要な断熱材なので、通気層がありません。
これだと断熱計算に含めることができるので、断熱性という意味でも大変期待できます。

アルセコ断面

 

ただし、通気層がないため、長期優良住宅の認定は取れませんし、
フラット35のローンも使えません。

逆に言うと、長期優良住宅や、フラット35を必要としない人で、
高断熱住宅を望まれる人には、非常におもしろい断熱工法と言えます。

追記

アルセコは、現在は、長期優良住宅もフラット35もクリアできるようです。

ただ、私は、通気層がないと壁内結露のリスクがどうしても高まると考えています。
このあたり、アルセコの梅雨がある日本での実例をもう少し検証したいですね。

まとめ

今回の話で、もっとも重要なポイントは、
通気層の外側にあるものは断熱材として計算しないということです。

 

リフォーム用の外壁材などで、外壁材自体に断熱性能を持っていると宣伝している商品も多数ありますが、そういった商品も、建物とその外壁材の間に外気が通るような工法を採用していると、ほとんど断熱効果はありませんので、よく覚えておいて下さいね。

 

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