【快適な家に住む】温熱環境とは?法改正による省エネ住宅の義務化についても

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こんにちは、クオホームの本田です。

今回は温熱環境についてお話します。

温熱環境を整えることは省エネ住宅を建てる上でとても重要です。現行法だと断熱基準、省エネ性能は先進国で最低レベルと言われていて、2050年を目安に世界水準に並ぶよう、今後法律もどんどん改正されていきます。

本記事で、温熱環境は省エネ住宅を建てる上で非常に重要なポイントであるということ、また、省エネが義務化されることについてもお伝えしていきます。

【パッシブハウス設計】温熱環境を整える設計の4つのポイント

温熱環境とは?6要素について

温熱環境を簡単に言うと、「暑い」「寒い」と感じる感覚を与える環境のことです。

具体的には

  • 温度
  • 湿度
  • 風(気流)
  • 放射温度
  • 着衣量
  • 運動量

この6つの要素が、体感温度に影響してきます。

着衣量と運動量以外の4要素、温度・湿度・気流・放射温度を、設計プランの際にしっかり計算して建築することで、快適温度を保てる家を建てることができます。

どれか一つでも性能が悪いと、例えば

断熱効果の高い壁を使っていても、すきま風が入ってくるため部屋が寒くなってしまう

ということが起こり得ます。

温熱環境を整え、温度を安定させるには全ての要素を一定の水準にする必要があるのです。

では、人が快適に生活できる温度はどれくらいなのでしょうか?

快適に生活できる温度は?

一般的なところで言うと、夏場は25〜27℃(湿度45〜60%)冬場は20〜24℃(湿度55〜65%)が、快適だとされる温度帯になります。

湿度についても記載しましたが、例えば同じ25℃でも湿度が低い・高いで、体感温度は変わります。極論、夏場に27℃で温度は快適な範囲でも、湿度が70%あったりすると、体感温度は28度以上に感じ、不快と感じてしまうでしょう。

とは言え、「何℃が一番快適に過ごせる」とは一概に言えないのが正直なところ。

これは人によって感じる温度や代謝も異なるからです。性別、年齢、筋肉量などによっても温度の感じ方が違います。

最初に示した温度帯は、あくまでも目安として考えていただければと思います。

この温度帯や湿度帯をできるだけ保たせられるような家づくりにするのが、温熱環境の整った家であり、弊社クオホームでも推奨している設計です。

温熱環境の整った家のメリット

温熱環境の整った家、つまり快適な温度帯で生活できる家というのは、単に快適というメリットだけでなく、省エネや健康、死亡リスクを減らすメリットもあります。

快適な温度が保たれていれば、必要以上に暖房や冷房をつけたりコントロールしたりしなくてすむので省エネにつながります。

温熱環境が悪いと、夏場にクーラーを効かせすぎて逆に寒くなって体調を崩したり、ほこりや塵、菌などを吸い込んでぜん息を発症させる原因にも。小さいお子さんがいる場合はぜんそく持ちになることもあるため、とくに注意です。

冬場はお風呂場でのヒートショックに要注意

また、冬場は温度差で起こるヒートショックが非常に怖いです。

ヒートショックとは、急激な温度変化で血圧が上下することで心臓や血管に影響を及ぼし、心筋梗塞や脳梗塞などの疾患を起こすこと。

ヒートショックによる死亡者は、年間約19,000人とも言われているため、決して他人事ではありません。

温熱環境が整った家であれば、廊下が寒い、トイレが寒い、脱衣所が寒いなどということが起こりにくくなるため、死亡リスクも減らすことができるのです。

 

良好な温熱環境による健康生活ハンドブックによると、入浴中の事故は冬季に多く、温度差で疾患を起こし、浴槽で溺れてしまうというケースが多発。

また、高齢者の住む住宅は断熱性能が低い住宅が多いことからも、これから家を建てるのであれば温熱環境について強く意識すると良いでしょう。

温熱環境を安定させて快適な家にする4つのポイント

では実際に温熱環境を整え、安定した快適な温度で生活するにはどうしたらよいのか?

ポイントは「間取り」「窓の性能」「気密」「断熱性能」の4つです。

間取り

間取りが悪いと、日射遮へいや、日射取得の性能が悪く、部屋が寒くなったり暑くなったりします。

お客様にとって間取りは建築プランを考える上で、もっとも力が入るところだと思いますが、デザインや好みにこだわりすぎると、夏の暑い日差しから守られなかったり、冬に日陰ばかりで部屋中寒い…ということになりかねません。

間取りで温熱環境を整えるのはとても大切なポイントです。

日射遮へいや、日射取得については『【新築】パッシブデザイン注文住宅の特徴やメリットデメリットなど』でも解説しています。

窓の性能

温熱環境は窓の性能で大きく変わります。

窓の厚さで部屋に伝える温度は変わりますし、すきま風によって部屋が冷やされてしまうこともあります。

窓のサッシにもグレードがあり

アルミサッシ<アルミ樹脂複合サッシ<オール樹脂サッシ

の順で性能が高くなります。しっかり検討された方が良いでしょう。

サッシの選び方については以下の記事で詳しく解説しています。

気密

気密はとても重要なポイントです。

気密性能が悪ければ、部屋中すきま風だらけで、特に冬場は冷たい風が入りこんできます。

他の断熱性能を完ぺきにしていても、気密性能が悪いせいで、部屋がまったく暖かくならないことも

建築会社さんに気密測定を依頼することをおすすめします。

断熱性能(とくに屋根)

断熱材と聞くと、壁をイメージされる人が多いかもしれませんが、実は屋根の断熱材が重要になってきます。

一戸建ての場合は、屋根に近い2階(3階建の場合は3階)が一番暑くなります。

屋根の断熱性能が悪いと、太陽の光や熱をダイレクトに受けてしまうため、部屋がかなり暑くなります

夏、快適に過ごすのであれば、屋根の断熱材厚みを気にすると良いでしょう。

壁の断熱性能よりも、屋根の断熱性能が優先です。

断熱性能等級の新基準と法改正による省エネ住宅の義務化ついて

温熱環境が整った家づくりを目指す上で、断熱性能等級についても知識を深めておきましょう。

耐震等級は耐震に対するグレードですが、断熱性のグレードにも等級が設けられています。

断熱性能等級は「住宅の品質確保の促進等に関する法律」で定められた、住宅の省エネ性能を示す基準です。

断熱性等級は5段階でしたが、2022年10月1日以降は7段階に。

等級1
等級2 断熱性は低く、冬は寒い。省エネも見込めない。
等級3 そこそこの断熱性はあるが、高性能ではないため、省エネ性能は低め。新省エネ基準。
等級4 2016年に制定された、次世代省エネ基準。等級4なら比較的、省エネ住宅と言える。
等級5 2022年10月までの最高水準。「ZEH基準(※1)」
等級6 2022年10月1日より制定。一次エネルギー(※2)消費量をおおむね30%削減できる性能。
等級7 2022年10月1日より制定。一次エネルギー消費量をおおむね40%削減できる性能。

※1 ZEHについて「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとなることを目指した住宅」と定義しています。

引用:「省エネ関連法規:制度のご案内」YKK AP

※2 一次エネルギーとは、石油、石炭、ガス、太陽などの、自然から得られる無加工のエネルギーのこと。

ZEH(ゼッチ)基準をもう少しかみ砕くと、断熱性能+省エネ+太陽光発電などによって、エネルギー消費がおおむねゼロになると言う考えです。Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の頭文字をとって、ZEH(ゼッチ)と言います。

ちなみに、2025年度以降に建てる家は、どんな条件でも省エネ住宅であることが義務化され、最低水準が現在の断熱性能等級4となります。

また、2050年には脱炭素社会による、カーボーンニュートラルの実現が目標となっています。

カーボンニュートラルとは、CO2の排出量が創出量を合わせたらゼロ以下にし「CO2の排出実質ゼロ」にすること。

そのために、2050年時点で全ての住宅を平均すると、ZEHの基準になるようにすることを目標にしています。

省エネ住宅の義務化や、最低水準が断熱性能等級4となることからも、温熱環境を意識した家づくりというのは必須であることがわかりますね。

温熱環境が整っているか判断する基準は?

 

では実際に家を建てる際に、温熱環境が整っていることを示すのにどういった基準で判断すれば良いのか。

実は「PMV」という快適性を表す指標があります。1967年にデンマーク工科大学のファンガー教授が編み出した快適方程式で、人が快適に過ごせるかどうかを数値で表せるようにしたものです。

国際規格にもなっている指標で、世界共通です。

専門的な話になるので具体的な計算方法は省きますが、先述した「温度」「湿度」「風(気流)」「放射温度」「着衣量」「運動量」の6要素それぞれを指数で出し、PMV値が最も快適である0を目指します。

感覚的に「このくらい窓を入れたり、断熱性を確保しておけば大丈夫だろう」というわけではなく、PMVという専門的な指標によって、温熱環境の整っている家とされるのです。

温熱環境を整え、快適で長持ちする省エネ住宅を建てよう

温熱環境を整えることがどれほど大切か、本記事でお分かりいただけたかと思います。

家を建てるにあたって、多くの人は地震対策などの災害から身を守ることを優先に考えるかと思いますが、日々快適に過ごすことができる温熱環境も、かなり重要なポイントとなります。

また、2025年以降に建てられる家は省エネ住宅が義務となり、断熱性能の最低水準もどんどん上がっていきます。

日本は先進国の中ではまだまだ省エネレベルが低いので、世界に認められる住宅環境を整えていかなければなりません。

ぜひ、地球環境にやさしい家を建ててください。

省エネ住宅は、パッシブハウスやパッシブ建築とも言われており、当社ブログでもパッシブハウスについて解説しています。

興味のある人はぜひお読みください。

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