太陽光パネルの廃棄方法は?1枚あたりの処分費用なども詳しく解説!
脱炭素化社会を目指して、太陽光パネルの設置が推奨されています。
東京都では2040年に向けたカーボンハーフを目指して、2025年4月より一部の建物を新築する際に太陽光パネルの設置を義務化しました。
今後も需要が増え続ける太陽光発電ですが、不要となったパネルを廃棄する際には処分費がいくらかかるか、ご存じでしょうか?
太陽光パネルの設置を検討している方は、適切な廃棄方法と処分費を理解した上で導入すべきか考えることをおすすめします。
そこで今回は、太陽光パネルの廃棄について、処分費の目安とあわせて詳しく解説します。
最後まで読んで、太陽光パネルを設置すべきかどうか検討してください。
太陽光パネルの廃棄方法は?
太陽光パネルは経年劣化による寿命や故障、台風などの外的要因による破損によって、いずれは使用できなくなります。
不要となった太陽光パネルは処分する必要がありますが、太陽光パネルは家庭ゴミとして廃棄できるものではありません。適切な方法で処分しなければ、不法投棄とみなされ罰則の対象となるので要注意です。
不法投棄の罰則を防ぐために、太陽光パネルの適切な廃棄方法を確認しておきましょう。
太陽光パネルは産業廃棄物
太陽光パネルは産業廃棄物です。太陽光発電をするためにはパネルだけでなく、パワーコンディショナー・接続箱・変電設備など各機材が必要になります。
太陽光パネルには鉛・セレン・カドミウムなどの有害物質が含まれており、他の太陽光発電設備も同様に有害物質を含む機材です。
適切に処分しなければ太陽光パネルに含まれる有害物質により、地球環境を破壊してしまうため、産業廃棄物として処分しなければいけません。
地球環境を守るために、太陽光パネルは産業廃棄物として扱うようにしましょう。
専門業者に依頼する
産業廃棄物である太陽光パネルは、紙ゴミやプラスチックゴミのように家庭で処分できません。
自分で燃やしたり埋めたりすると、太陽光パネルに含まれる有害物質を分解できず環境破壊に繋がります。
また、太陽光パネルは高所に設置しているため、スキルや知識のない人が撤去するには危険です。
太陽光パネルを廃棄する際には専門業者に依頼しましょう。太陽光パネルの撤去は、電気工事士の有資格者しか行えません。
不慣れな業者に太陽光パネルの撤去を依頼すると、電気接続のスキルや高所作業によるリスクが伴うため危険です。
太陽光パネルを廃棄する際には、業者の実績や免許の有無を確認して、依頼する専門業者を慎重に選びましょう。
不法投棄は処罰の対象となる
廃棄物処理法により、産業廃棄物の不法投棄は「5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金」が定められています。
太陽光パネルは産業廃棄物なので、自分で処分してはいけません。
万が一、産業廃棄物を家庭ごみとして廃棄したり不法投棄したり、適切に処分しなかった場合は法令違反とみなされ罰金や懲役刑の対象となります。
太陽光パネルを廃棄する際には、信頼できる専門業者を探して、適切に処分してもらうよう依頼してください。
太陽光パネルの廃棄費用は?
太陽光パネルの廃棄は、無料ではできません。産業廃棄物である太陽光パネルを廃棄するには、費用がかかります。
具体的にどのような廃棄費用がかかるのか、パネル1枚あたりの処分費とあわせて確認しておきましょう。
パネル1枚あたりの処分費
太陽光パネルを廃棄する際の費用目安を知るため、パネル1枚あたりの処分費を理解しておきましょう。
18kg以下の単結晶太陽光パネルなら、1枚あたり約1,200円の処分費が相場です。
もちろん、太陽光パネルの大きさや種類が変われば、処分費も変動します。また、太陽光パネルを処理場まで運ぶ運送距離によって、処分費は変動するものです。
また、パネル1枚あたりの処分費は業者によって異なるため、処分費の相場はあくまで目安程度に覚えておいてください。
撤去費
太陽光パネルを廃棄するためには、設備を取り除く撤去費がかかります。撤去費とは作業費・人件費・足場代など、パネル撤去にかかる費用です。
足場をつくって作業員がパネルを撤去するためには、足場代が1㎡あたり約700〜1,000円ほどかかります。
更に、人件費や作業費をあわせると、小さな一戸建て住宅で約20〜30万円ほどの撤去費が必要です。
撤去費は足場をつくる面積や作業のしやすさで変動するため、廃棄を依頼する際に見積もりを出してもらいましょう。
運送費
撤去した太陽光パネルを運び出すためには、運送費がかかります。
運送費は撤去した場所から処理場まで運ぶ距離によって変動するため、相場を調べることはできせん。
ただ、目安として20枚の太陽光パネルを処分するためには、運送費と処分費で5万円ほどかかります。
撤去するパネルの量と輸送距離によって、運送費は変わることを覚えておきましょう。
太陽光パネルを廃棄する前に考えるべき運用方法
太陽光パネルを廃棄する前に「本当に廃棄しなければならないのか?」もう一度考えてみてください。
太陽光パネルを廃棄する理由としては、次のような要因が挙げられます。
- 住宅を建て替え・リフォームするため、太陽光パネルを撤去したい
- 売電収益を得られないため太陽光パネルを処分したい
- 太陽光パネルの寿命がきたり不具合が生じたりと取り替えたい
- 台風や地震などの災害で太陽光パネルが破損した
不具合や故障・破損で太陽光パネルを廃棄しなければならない場合は、専門業者に依頼して処分しなければいけません。
しかし、売電収益が思うように得られないため「使っていないから処分したい」と考えている場合は、次の運用方法を考えてみてください。
- 蓄電池と併用して非常用電源にする
- 家庭用の主電源にする
- 廃棄ではなく買い取ってもらう
それぞれの運用方法を確認して、本当に太陽光パネルを廃棄していいのか検討してみましょう。
蓄電池と併用して非常用電源にする
太陽光パネルで発電した電気を家庭用蓄電池に溜めて、非常用電源にする運用方法があります。
10kWh以上の家庭用蓄電池を使うことで、太陽光発電によって生み出された電気を蓄電できます。
蓄電池に電気を溜めておけば、災害時などの停電に冷暖房や常夜灯を使えて便利です。
また電気自動車を所有している場合は、蓄電池から充電ができるため充電スポットに行く手間とコストを削減できます。
太陽光パネルを廃棄する前に、蓄電池と併用して非常用電源にしてみましょう。
家庭用の主電源にする
太陽光パネルで発電した電気を売って売電収益を得ていた人は、家庭用の主電源として運用してみましょう。
現在は世界情勢もありエネルギー価格が高騰しています。電気代は例年に見られないほど高騰して、世界中に経済的ダメージを与えているほどです。
しかし、太陽光パネルで発電すれば電気を購入しなくても、自家発電ができます。日中は太陽光発電で得た電気で生活すれば、毎月の電気代を大幅に削減可能です。
また、蓄電池と併用すれば日中に蓄電した電気を夜間や雨天時に利用できるため、より電気代を削減できます。
電気代を削減して節約するために、太陽光パネルを家庭丁の主電源として運用してみましょう。
廃棄ではなく買い取ってもらう
太陽光パネルを廃棄ではなく買い取ってもらえば、多少なりとも現金化できます。
太陽光パネルを売る際には、買取実績がある業者に買い取ってもらうようにしましょう。
業者に依頼すればすぐに現金化できますが、買取価格が安くなる傾向があります。
できるだけ高値で太陽光パネルを売りたい方は、オークションサイトやフリマサイトに出品してみましょう。
状態が良い太陽光パネルであれば、オークションサイトやフリマサイトで高値で売れるかもしれません。
しかし、オークションサイトやフリマサイトは確実に売れる保証がないため、太陽光パネルの状態と処分したい期限を考えて、買取方法を検討してみてください。
また、個人間売買の際には撤去費用などについても考えておく必要があります。
太陽光パネルを廃棄するにあたって注意すべきポイント
太陽光パネルを廃棄するにあたって、次のポイントに注意しておきましょう。
・撤去後の雨漏り
・土地の再利用計画
撤去した箇所に何か問題がないか、産業用として太陽光パネルを運用していた場合は残った土地を何かに利用できないか考える必要があります。
それぞれのポイントを解説しますので、太陽光パネルを廃棄する前にチェックしておきましょう。
撤去後の雨漏り
太陽光パネルを撤去した後は、屋根の状態を確認しておいてください。なぜなら、太陽光パネルの撤去に伴って、屋根が傷んでいる可能性があるからです。
業者の不手際や長年太陽光パネルで隠れていた屋根が傷んでいる場合は、雨漏りのリスクが生じます。
太陽光パネルを撤去した後は、可能であれば屋根修理業者に状態を見てもらうようにしましょう。
土地の再利用計画
太陽光パネルを産業用として運用していた場合は、撤去後の土地をどう使うか再利用計画を立ててください。
太陽光パネルを設置していた土地を、何も使用せずに置いておくのはもったいないです。太陽光パネルを撤去した後は、次のような再利用計画を立ててみてください。
- 駐車場にして収益化する
- トランクルームを建てて収益化する
- 老人ホームを建てて経営する
- 医療施設を建てて経営する
- アパート、マンションを建てて賃貸経営する
- 土地を貸す
- 土地を売る
なお、産業用として太陽光パネルを運用していた土地は「雑種地」として登録されていることが多いです。
雑種地は宅地の次に税金が高い地目ですので、産業用として利用しない場合は「林」や「山」に地目を変更しておきましょう。
使用しない土地を所有しているだけで固定資産税などの税金がかかるため、効果的な土地の運用方法を考えてみてください。
不要な場合は、土地を売って現金化することも検討しておきましょう。
発電事業者は廃棄費用の積立が義務付けられている
2022年7月より、10kW以上の発電事業者を対象に太陽光パネルの廃棄費用を積み立てるよう義務化が定められました。
先程も説明した通り、太陽光パネルの廃棄には高額な処分費がかかります。
いざ太陽光パネルを廃棄する際に、高額な処分費を支払えず不法投棄しないよう、発電事業者には廃棄費用の積立が義務付けられているのです。
積立金は20年間のFIT制度のうち、半数の10年間で積み立てられます。太陽光パネルの廃棄費用は、積立金の中から支払われるため安心です。
しかし、廃棄費用が想定より多い場合は余剰で処分費を支払わなければいけませんので、注意しましょう。
太陽光パネルの廃棄費用の積立制度について詳しく知りたい方は、資源エネルギー丁が公表している制度の概要を確認してみてください。
参照:資源エネルギー丁|太陽光発電設備の廃棄等費⽤積⽴制度について
太陽光パネルの導入は廃棄について理解を深めてから検討するのがおすすめ
太陽光パネルを導入する際には、廃棄について理解を深めてから検討しましょう。
設置する際にも高額な初期費用がかかる太陽光パネルですが、廃棄時にも高い処分費がかかります。
太陽光パネルは産業廃棄物なので自分で処分することができず、専門業者に依頼しなければなりません。
太陽光パネルの廃棄費用には撤去費と運送費がかかり、総額で数十万円かかるため準備しておきましょう。
また、太陽光パネルを使わなくなり処分を検討している方は、非常用電源としての活用方法や買取など廃棄以外の運用方法を検討してみてください。
太陽光パネルを導入する前に、廃棄費用まで含めた正しい知識を身につけておきましょう。
また、太陽光パネルを設置すべきか悩んでいる方は、下記の「太陽光発電は元が取れるのか?」について解説した記事を読んでみてください。