断熱性能を上げるために一番大切な事
長持ちする家 研究家 瀬﨑です。
今回は断熱材の話。
『弊社の断熱材はOOを使用しているので、他社より光熱費がグーンとお得!!!!』
なんて、話は、さらさらするつもりはありません。
いつもどうり、基本的な考え方をお話しするのと、机上と、現場が、いかに違うかを、
ある現場写真を使ってお話します。
まず、断熱の基本は、隙間なく連続させること。
これが、一番重要です。
隙間があると、壁内結露する原因になります。
窓の結露と違って見えないので、気づいた時は取り返しのつかない事になってしまいます。
グラスウールが、他の断熱材メーカーか ら、使用すると壁が腐ってカビだらけになると叩かれているのも、昔は、住宅業界全体の意識が低く、隙間なく施工できていなかったというのが、大きな原因のひとつです。
ここで重要なポイントは、グラスウールを使ったから写真のようになったのではなく、
隙間なく施工しなかったからこうなったのだという事です。
短絡的に、グラスウールは駄目だから、グラスウールを勧めてくる業者は、悪い業者だと、思わないで下さいね。
「隙間なんて、どうしてもできるものですから、あまり気にしなくていいですよ。」と言ってくる業者はかなり怪しいです。(笑)
クオホームでは、発泡ウレタンをよく使用するのですが、これは、他の断熱材に比べて気密が取りやすいのと、価格的に手頃だからです。
ただ、発泡ウレタンでも、施工しにくい箇所もありますので、
本当に隙間なく施工できているかを確認するために、工事中の気密測定は必須です。
たまに、完成してから気密測定している会社もありますが、もし、それで数値が悪かったらどうするつもりなんでしょう??
工事中に行なうからこそ、その場で気密不良を発見することができ、改善できるのです。
また、気密測定の数値が良かったからと言って、安心してはいけません。
『気密測定の数値良好=断熱材が隙間なく施工できている。』
とは、残念ながら言い切れません。
下の3枚の写真を見て下さい。
気密測定結果 C値0・7の、高気密物件での撮影写真です。
下から見上げると、穴が見えます。(赤で囲った〇の部分)
これは、「雲すじかい」という、家の最上階部分がグラグラしないように固定する部材の
付近でよく起こりうる穴です。
一言で言うと、断熱材が、施工しにくい箇所なんです。
気密測定の結果を見れば、隙間がないことはわかっています。
サーモグラフィーという温度を測定する機器を使用して、断熱材の施工ミスがないかをチェックしています。
うまく断熱できていないと、その部分は外気の影響を受け温度が高くなるため、
モニター上にその部分が赤く表示されます。
モニターを見る限り、黄色からグリーンで、他の部分と変化がありませんので、見た目は少し不安な感じがしますが、しっかりと施工できています。
これも、異常なし。
次、
おお!!!
赤い。 どうみても赤い。
残念ですが、これは、見た目とおり、うまく断熱材が施工できていないようです。・・・
気密はとれているので、断熱材が、うまく膨らまずに、おそらく、通気ダンボールや、シートだけで、外気を遮断しているのかもしれません。
これは結露の原因になる可能性があります。
肉眼では発見できなかった施工ミスです。 サーモグラフィ-大活躍です。
こういう経験は現場でコツコツと磨いていくもので、回を重ねると施工ミスが起こりやすいところが、わかってきます。
発泡ウレタンの吹き付け職人さんにも、おおいに反省して頂きたいと思いますし、
今後、雲すじかいの位置を大工さんにも、工夫してもらう必要がありそうです。
失敗は成功の元、失敗をしっかり確認できれば、それは財産です。
家の断熱は、性能のいい物を使えば、良くなるという単純なものでは、全くありません。
設計者や、工事管理者が、どうすれば、断熱性がよくなるのかを知っていないといけないし、そのためには、どういうところに注意して施工する必要があるのかを、職人さんが理解しておかなくては、決して断熱性に優れた家はできません。
これこそが、家の断熱性能を上げるために一番大切な事です。
『弊社の断熱材はOOを使用しているので、他社より光熱費がグーンとお得です。!!!!』
とても、私には言えませんね・・・・