室温ではなく表面温度に注目する。
長持ちする家 研究家 瀬崎です。
今回は、長持ちする光熱費の話。
実際、家を建てて生活していくと、住宅ローンの返済や、
子供の学費等で、なかなか貯金できません。
本来は、将来に備えて、家の修繕費を貯めていく必要があるのですが、
現実には、そんな余裕さえない方が大多数。
修繕費のかからない家はありません。
ただ、修繕費が安くすむ家は作れますし、
光熱費の安い家を作って、修繕費を蓄える事もできます。
一番、良くないのは、そういった予備知識なしで、
目先の安さ、例えば坪単価が安いという理由で家を買うことです。
安い家が悪いと言っているわけではありません。
将来的にかかるコストも考慮した上で、家作りを考える事が重要なんですね。
昔は、家の温かさ・光熱費などを計算することができませんでしたが、
今は、それも数値で比較できるようになっています。
その流れは、どんどん広まってきていますので、
性能を明示できない建築会社は、しだいに信頼を失っていくでしょう。
また、最近では、住宅の温熱性能と、医療費の関係も明らかになってきました。
性能の低い家に住んでいる方が、風邪や、アレルギー疾患等で、病院に
通う機会が増えている事が、統計学的にわかってきたのです。
つまり、性能の高い家に住むことによって、
光熱費だけでなく、医療費も削減できるという事です。
引用元:健康に暮らすための住まいと住まい方エビデンス集
性能の高い家は、エアコンを使用する回数が激減します。
エアコンのスイッチを使うかどうかの判断は、その時の体感温度が、
不快に感じるかどうかで決まるかと思いますが、この体感温度で、
面白い指標があります。
体感温度≒(室温+表面温度 )÷2
ここで言う、「表面温度」というのは、外部に面した壁や窓の
文字通り「室内側の表面の温度」の事を言います。
この公式の中の 最後の 『÷2』 がポイントです。
例えば、外気温0度の寒い冬を想像して下さい。
暖房をガンガンにかけて、室温を21℃にしたとします。
しかし、窓の表面温度が10℃だと仮定すると、
実際に感じる温度は、
(21+10)÷2=11.5
つまり、11.5℃としか体感できていないことになります。
これが、国内最高水準の高性能の窓だと表面温度が21℃ぐらいになります。
(21+21)÷2=21
これだと、体感温度も室温と同じ21℃になります。
これと同じ体感温度を、先ほどの表面温度10℃の窓で得ようとすると、
21=(X+10)÷2
X=32
なんとエアコン温度を32℃に設定する必要が出てきます。
どれだけ、窓の性能が光熱費に
深く関わっているかお分かり頂けましたか?
窓がもっとも影響を与えるので、窓に話をしぼりましたが、
床や壁・天井の表面温度ももちろん影響します。
これらの表面温度は、中に入っている断熱材の性能と厚みでほぼ決まります。
これらをグレードアップすることでも、体感温度は間違いなく下がりますが、
費用対効果を考えると、窓のグレードアップが圧倒的に有利です。
ですので、窓の重要性をしっかり理解しておいて下さい。
まとめると
・家の性能を上げることで、光熱費と医療費が安くなる。
・体感温度は、室温と表面温度の合計を2で割った温度。
・表面温度の数値をよくするのは、窓の性能をあげる。
・その結果、費用対効果が大きく、家の性能が向上する。