高気密・高断熱住宅の吹き抜けのメリット・デメリット②

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長持ちする家 研究家 瀬﨑です。

吹抜けの話、第2回です。

前回は「吹き抜け」を設置した家の耐震性はどうのなのかについてお話しました。

前回の記事をまだ読まれていない方はこちら↓

 高気密・高断熱住宅の吹き抜けのメリット・デメリット①

今回は、みなさんからの質問の多い、

「吹抜けを作るとエアコンは効きにくくなるのか」

についてお話します。

これは、あなたが、

「全館冷暖房」を求めるか、「居室間冷暖房」を求めるかで、

答えが変わってきます。

「全館冷暖房」・・・・・家全体を同じ室温になるように空調すること。
「居室間冷暖房」 ・・・各部屋ごとに、それぞれ個別に空調すること。

これまでの日本の家は、居室間冷暖房が当たり前でした。

家の断熱性能が低いと、壁や窓から外気を影響をどんどん受けます。

冬を例にとってご説明します。

室内の熱は窓や壁・屋根から逃げていきます。
エアコンで暖房したとしても、暖める部屋が大きければ、
その部屋を暖めきれないうちに、次から次へと外へ熱が逃げていきます。

吹抜けがあると、当然、暖める部屋は大きくなりますので、
エアコンは効きずらくなるということです。
さらに、悪い事に、暖かい空気は軽いという特性があります。
吹抜けがあるリビングだと、部屋を暖めたいのに、そのはるか上空へ
暖かい空気はあがっていってしまいます。
これでは、いつまでたっても快適にはなりません。

このあたりは、このように回りくどい説明をしなくても
今までの経験でおわかりかと思います。

ところが、断熱性能の高い家だと、少しかわってきます。

窓・壁・屋根から逃げていく熱が、圧倒的に少なくなりますので、
部屋が大きくても、快適に保てるようになってくるのです。

これを突き詰めていくと、一台~二台のエアコンで家全体を空調するという
これまでの住宅では考えられなかった離れ業を実現できるようになるのです。

エアコン一台で、すべての部屋を
暖房するなんて無理でしょう。

そうですね。
従来の建て方では無理です。

いくら窓・壁・屋根から熱がほとんど逃げない高い断熱性能の家を建てたとしても、
部屋ごとの仕切り、つまり壁が多すぎては、暖かい空気が、各部屋に行きわたりません。

そこで役に立つのが「吹抜け」なのです。

吹抜けがあれば、1Fの温かい空気を2Fに運ぶことが簡単にできますからね。

さらに吹抜けには、暖房に関するもうひとつ利点があります。

それは、冬に日射をたっぷり室内に取り込めるということです。

日射とは、すなわち暖房と思って差し支えありません。
吹抜けの大きな窓は、ストーブと同等の暖房効果があるのです。
ストーブであらかじめ暖められた部屋にエアコンの暖房をするのですから、
少しの運転で、十分暖かくなるのは想像できると思います。
これは、大幅な暖房費の削減になります。

しかし、残念ながらいい事ばかりではありません。
吹抜けに設置した窓は、夏にも、ストーブと同様の暖房効果を発揮してしまいます。
夏にストーブつけてる・・・・
そのままにしておくと、冷房がいつまでたっても効きません。

そこで、非常に重要なのが、日射を家の中に入れないようにすることです。

これが、「日射遮蔽」とよばれるものです。

もっとも理想なのは、家の外側で遮る事。
「簾(すだれ)」「庇(ひさし)」「軒(のき)」
「スタイルシート」 「外付けブラインド」

これで、70%カットできます。

それが無理なら室内側でカット
「レースカーテン」「ロールスクリーン」「障子」「室内ブラインド」

これでも40%カットできます。

夏を少し犠牲にしてでも、吹き抜けに大きな窓を設置することで、
冬の暖房費を大幅に削減できます。

一年通じて、暖房費は、冷房費の3倍とも言われていますので、
暖房費の削減を優先するのは、理にかなっています。

断熱性能の高い家に限って言えば、

冒頭の質問、

 「吹抜けを作るとエアコンは効きにくくなるのか」

に、対する答えですが、

家全体を空調することを考えると、
むしろ効きやすくなる。

また、一年を通じた冷暖房費は安くなる。

という回答になります。
ただたんにオシャレ目的ではなく、十分実用性もかねていますので、
吹抜けにあこがれている方は、ぜひご採用下さい。

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