アイシネンはいい断熱材 でも・・・・
長持ちする家 研究家 瀬崎です。
「アイシネン」という断熱材があります。軟質性発泡ウレタンに分類される、現場で発泡させて施工する断熱材です。
一部にすごい信者がいる一風変わった断熱材で、検索すればいろいろ出てきます。
▼このブログでも取り上げたことがあります▼
よく似た商品に(アイシネン関係者はこの表現を嫌いますが・・・)
アクアフォーム、モコフォーム、 フォームライトSL、ハンドレッドフォーム
などが、あります。
まず、ここで復習しておきます。
断熱で重要な要素は、隙間が無いように連続して建物を包み込むことです。
実は「性能」の重要性はその次なのです。
性能だけで考えると、ネオマフォームやフェノバボードなどの熱伝導率の低いフェノール系断熱材使えばいいという事になりますが、隙間なく施工することを考えると、これらの断熱材は、いろいろ問題が出てきます。
隙間なく連続させることが、第一条件ですので、ここをしっかり押さえて置いてください。
その意味で、アイシネンや、アクアフォームなどの発泡ウレタン系の断熱材は、非常に扱いやすいのです。難しいことをしなくても、隙間なく連続して施工できます。
この事だけでも、大変メリットがありますので、発泡ウレタン系はおすすめです。
(もちろん発泡ウレタン系以外の断熱材でも、隙間なく連続して施工することができれば、全く問題ありません。)
アイシネンの費用は高め
一般的に、アイシネンは、他の発泡ウレタン系断熱材に比べて、1.5倍くらい費用があがります。
下の写真は20年以上前のアイシネンを屋外に放置していたものです。↓
多少、色は変化していますが、形状は全くといいほど変わっていません。耐候性に非常に優れていることがわかります。
参考までに、よく似た断熱材としてあげた4種類の断熱材だと、20年も経てば、粉々になって風で飛んで行ってしまいます。
ただ、それを指摘しても、『壁の中に施工するので日に当たる事はないので、心配ない。』と言われるだけでしょう。
実際、私もそう思います。
でも、もし、同じ価格でアイシネンが施工できるのなら、アイシネンを選びますよね。少しでもいいものを使いたい、そう思うのは当然です。
問題は価格に差がある事です。
賢く家を建てるには、家、全体で見て、さしてメリットではないところに費用をかけ過ぎていないかという事を常に意識しなければいけません。
家の事を勉強している方ほど、情報を仕入れすぎて、優先順位がつけられなくなっているように感じます。
断熱材に関心がある方は、暖かい家・涼しい家を希望されているはずです。
これらは、家全体で、あーでもない、こーでもないと解決する問題であって、断熱材だけでどうこう考えるべきではありません。
例えば、アイシネンを 採用するのに、30万余分に費用がアップするのでしたら、その分をそっくりそのままサッシのグレードアップや、換気システムの交換に回すほうが、住環境はずっとよくなります。
もっと言うと、アイシネンの断熱性能はとりわけ高いという事はありません。
断熱材の性能を示す熱伝導率(熱の伝えやすさ)は、
■アイシネン 0,038W/(m・K)
■アクアフォームNEO 0.026W/(m・K)
■フォームライトSL50α 0.026W(m・K)
数字だけ見ると、同価格帯の発泡ウレタンと比較すれば、あきらかに見劣りします。
あなたはアイシネンが欲しいのですか?
違いますよね。
冬暖かく、夏涼しい家が欲しいはずです。
他のケースでは、
☑免震システムが欲しいのではなく、地震に強い家が欲しい。
☑床暖房が欲しいのではなく、足元が暖かい家が欲しい。
☑吹き抜けが欲しいのでなく、明るく開放的な家が欲しい。
本当にあなたが望んでいるものをしっかり相手に伝え、経験・知識が豊富なプロのアドバイスを取りいれて下さい。
そうする事で、必ず、あなたの家作りは成功につながっていきます。
追記 2018,10月
4年前に書いた記事を少しだけリニューアルしました。
今、話していることと、4年前に書いている記事の内容にブレがないのは、我ながら素晴らしいなと自画自賛しておきます。(笑)
この記事を書いてから4年、現在では、毎日、全国から家造りに関する質問が届くようになりました。
内容を見てみると、残念なことに、相変わらず特定の商品に惚れ込んでしまう人が多いですね。
「〇〇という断熱材をどう思いますか?」
「⬜⬜システムは効果があると思いますか?」
「▲▲システムを工務店が薦めてくるのですが、それに対しての意見を聞かせて下さい。」
質問の内容は違いますが、中身は一緒です。
最近だと、「床下エアコンを採用したいのですが、周りに施工実績のある工務店がありません。どこを注意すればいいですか?」という質問が多いです。
・・・もう、床下エアコンをやることは決まっちゃってる(苦笑)
はっきりいいますけど、リスクも高いので中途半端な素人知識でやらないほうがいいですよ。
工務店が前向きで、きちんと情報収集して責任施工してくれることが前提条件。
別に床下エアコンでなくても、家は快適になります。
しっかり断熱・気密を行えば、通常の壁掛けエアコンでも、ちゃーんと足元まで暖かくなりますので。
床下エアコンに頼らず快適な家を建てられる工務店の技術力、こっちの方を信用すべき。
例として、床下エアコンを取り上げましたが、断熱材や、耐震システム、換気システムでも一緒です。
特定の商品にこだわらず、どんな家に住みたいかを伝える事に専念しましょう。
また、「どうすれば住みたい家になるか?」
これに関しては、どんどん勉強して賢くなってください。
勉強する価値、めちゃめちゃあると思いますよ~。
ではでは。