第3者機関による検査ほど危険!?
長持ちする家 研究家 瀬崎です。
突然ですが、ハウスメーカーと一般の工務店の違いって何だと思いますか?
使っている物の性能?
家のグレード??
おそらく、上記のような予想をされている方が多いかと思います。
これは、どちらとも言えません。
「一条工務店」や、「スウェーデンハウス」のような高性能な家を売りにしているメーカーと比較すると、たしかに、多くの工務店が建てる家の性能は見劣りしてしまいます。
しかし、「積水ハウス」や、「ダイワハウス」など、テレビCMで、よく目にするメーカーであっても、実際のところ、家の性能は、それほど高くありません。
それ以上の性能を持つ家を建てている工務店は、探せばたくさんあるからです。
では、何が違うのか??
これは、「工事管理レベル」です。
ハウスメーカーは、全国規模で相当数建築していますので、問題が起きやすい箇所は、データーとして保管しています。
そのデーターを元に、工事管理チェックシステムを構築しているため、誰が担当しても、高いレベルでの管理が可能になっています。
また、工事自体は指定工事店(いわゆる下請け業者)に任せて、工事管理チェックだけを、ハウスメーカーの工事担当が受け持つスタイルを取っているところが多く、この場合、明確に元請け下請けの上下関係が発生するため、馴れ合いのないチェックシステムが機能しています。
この部分が、ハウスメーカーで家を建てる大きなメリットだと私は思っています。
ただ、家の値段が高いので、万人はおすすめできません。
価格がリーズナブルでも、管理の行き届いた家を建てようと思うなら、ハウスメーカーに負けない管理をする会社を、ご自身で見つけ出さなくてはなりません。
ここで、今回の題目です。
「第3者機関による検査」です。
この言葉、聞いたことありませんか??
チラシや、HPを見ていくと、いろんな会社が謳っています。
「第3者機関による厳しいチェックで安心!」
これは、弊社は利害関係のない第3者に検査してもらうので、安心ですよ!と、
まあ、アピールしてるわけです。
なるほど、たしかに自分のところの社員が検査してるっていう会社より、しっかりしてそうな気がします。
しかし、実際は・・・?
この写真を見て下さい。↓
赤丸で囲った部分、わかりますか?
これは、ナットの締め込み不足、つまり施工不良です。
ナットが緩んでいると、床鳴りしたり、耐震性能を落とす原因になります。
残念ながら、弊社の物件です。
自社検査で私が発見しました。
ちなみに、自社検査を行ったのは、第3者機関の検査の後です。
「後」ですよ!!
ここで、はっきりしておきたいのが、第3者機関の定義です。
建築会社が話す「第3者機関」とは、多くの場合、「JIO」や、「まもりすまい」などの、
住宅瑕疵担保責任保険法人を指しています。
そこの調査員が現場検査に来ますが、それは、保険の対象になる家を建てているかを確認するだけで、 建築士が検査するようなレベルの検査は行いません。
下は、住宅瑕疵担保責任保険法人のHP画像です。
黄色でマークしたところをご確認下さい。↓
おわかり頂けたと思います。
実際、検査に何度も立会っていますが、検査時間もこちらかが拍子抜けするくらい短いものですので、やはり、しっかりとした自社検査を行う事の重要性を感じます。
しかし、実際は、住宅瑕疵担保責任保険法人の検査に任せきりで、自社検査を行わない工務店もありますので、このあたりは、しっかり工務店選びの判断基準として持っておいた方がよいかと思います。
「第3者機関」の検査があるから安心ではなく、むしろ、工事監督や職人の責任感が曖昧になり、危険になっているのですから、本当に要注意です。
最後に、きちんとした検査費用を請求してくる「第3者機関」は、まったく別物です。
「建築Gメンの会」などが、そうです。
検査自体を仕事としているプロなので、工事管理としては、ハウスメーカー以上のものが期待できます。
どうしても、工務店の工事管理が不安な場合は、そういった「プロの第3者機関」を検討するのもよいかと思いますが、工務店側からすると、信頼関係が築けていないとも解釈できますので、できれば、初めから工事管理も任せて安心という工務店を見つける事に最大限の努力をして下さい。
建築会社との関係は、家を建てて終わりではなく、建てた後も続いていくべきものであると、私は思っていますので、そのために、信頼関係は何より大切な要素だからです。