光熱費のかからない家を建てる方法!光熱費の節約術についても解説

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長持ちする家 研究家 瀬崎です。

今回は、光熱費の話。

弊社のHPの熱心な読者の方は、他のサイトからもいろいろ情報収集されている方が多いです。
家を建てるための一番のコストダウンは相見積して値切ることではなく、家作りについて勉強する事だと思っていますので、情報収集することは大賛成です。

しかし、中には明らかに間違った情報を発信されている方や家全体で見れば優先順位が低いところを、それがいい家を建てる条件の全てのように発信されている方も多いので、優先順位を混同されている方も多いのではないでしょうか?

そこで、情報収集をする際に理解しておくと情報を整理しやすくなるというポイントを5つお伝えしたいと思います。

建築やリフォームのプラン作りの際に意識できる光熱費の節約方法も合わせてご覧ください。

光熱費のかからない家の最低条件とは

光熱費のかからない家とは、光熱費がタダの家というわけではありません。

夏は涼しく冬は暖かく、一年通して快適に過ごせるよう設計された家ということ。

これを、住宅業界では「高気密・高断熱の住宅」や「省エネ住宅」と言っています。別称、「パッシブハウス」とも。

本記事で解説する、光熱費のかからない家の最低条件として、高気密・高断熱の省エネ住宅であることが必要です。

2025年以降に建てる家はすべて省エネ住宅に

省エネ住宅の基準はどんどん厳しくなっており、法改正によって2025年以降に建築される家はすべて省エネ住宅の基準を満たさなければなりません。

これは2050年までにカーボンニュートラルを目指すために必要な規制であり、世界のCO2排出削減に大きく貢献する重要な役割を果たしています。

カーボーンニュートラルについてはこちらの記事でより詳しく解説しています。

では、どういった家が高気密・高断熱の家なのか。

省エネ住宅を建てるために、知っておかなければならないポイントは何か?

次項で説明していきます。

光熱費のかからない省エネ住宅を建てるために知っておく5つのポイント

本当に高気密・高断熱の家の設計かどうか、正しい省エネ住宅を建てるために以下5つのポイントをぜひ覚えておいてください。

①家全体で見ると、室外と室内の熱移動が一番多いのは窓で、その割合は一般的に家全体の50%ほどにもなる。
②風通しがよくて気持ちいい季節は一年を通して短い
③冷房と暖房では、圧倒的に暖房をたくさん使っている。(その差10倍以上)
④実はエアコンの電気代は安く、しかも日本のエアコンの性能は世界トップクラス
⑤太陽のエネルギーは地域によっては凄い。

5つすべてが重要です。

光熱費のかからない家を建てるために、何を意識すべきか?また惑わされてはいけないことを解説していきます。

窓の性能の重要さについて

まず窓の重要さについて知ることが重要です。

例えば、2003年に書かれたある本の中では、セルロースファイバーという断熱材を部屋中の壁という壁に施工することが、光熱費がかからず結露が無い家を作るための必須条件のように書かれています。

この本の著者は、断熱工事の施工屋さんです。
何件もの現場経験を武器にセルロースファイバーという断熱材の良さだけを本の中でひたすら主張されています。

そのことに関しては何も言う事はありませんし、実は弊社でも施工実績があります。

ただ、ここで私からのお願いです。

「いろいろ調べたおかげで、セルロースファイバーというすばらしい断熱材を知る事ができたからどうしても使いたい。」

こうならないで欲しいのです。 

この著者は本の中で、窓について一切触れていません。
先ほどの5つのポイントを思い出して下さい。
家全体の中で、熱移動が一番多いのは窓で、その割合は家全体の50%以上なんです。


つまり、いくら断熱材をどれだけ分厚く施工しても家の半分以下の部分だけが良くよくなるだけです。
家全体で考えると、
窓の性能を上げないとなんとも効率の悪い断熱強化方法だと分かります。

知っておくべきポイントは

断熱材を強化した=高断熱の家になるわけではないということ。

窓をしっかり設計しないと、最終的に光熱費のかからない省エネ住宅にはならないというのを知っておいてください。

セルロースファイバーが悪いという話ではなく、窓の設計を優先して考えないと意味がないですよというお話しです。

ちなみにセルロースファイバーについて動画でも解説していますので、参考にしてみてください。

風通しの良い家にフォーカスしすぎないこと

もうひとつ例をあげてみましょう。

以前、某TV番組で、坂上忍さんの家を建てる企画が行われていました。
「風通しがよく、夏に冷房のいらない家」という設計コンセプトを坂上さんが気にいられて、「ぜひ、取りいれたい。」と絶賛されていました。

お伝えした5つの重要ポイントを思い出して下さい。

まず、窓を開けて風が通って気持ちいい時期というのは、一年の中で非常に短い期間だということ。

もちろん、風通しがよければ新鮮な空気を効率よく取り込めますし、換気が十分にできます。

しかし、いくら風通しのよい家をつくっても真夏に窓を開けっぱなしは暑いですし、秋冬は寒くなります

風通しが良い家を作っても、実際にその効果が発揮されるのはほんのわずかなんです。

風通しにこだわりすぎて、他の高気密・高断熱の設計部分をおろそかにしないように気をつけてください。

冷房と暖房では、圧倒的に暖房をたくさん使っている。(その差10倍以上)

次に、冷房費に使うお金は暖房費のわずか10分の1に過ぎない。 

資源エネルギー庁による、令和2年度エネルギーに関する年次報告を見ると

エネルギー消費が冷房2.7%に対し、暖房は24.7%です。

一年と通して冷房より暖房のほうが10倍以上も使用していることがわかりますね。

つまり、「夏に冷房のいらない家」より、「冬に暖房のいらない家の方」が、比べものにならないくらい価値が高いということがわかります。

実はエアコンの電気代は安く、しかも日本のエアコンの性能は世界トップクラス

よくエアコンが嫌いという方がいます。
理由を聞くと、

・風が嫌い
・喉が痛くなる
・電気代が高い。

家の断熱性能をしっかりあげていけば、
強運転しなくても 十分空調できます。

あとは、風が直接体に当たらないように
風向きを調整すれば、風はほとんど気にならなくなります。

喉が痛くなるのは、湿度管理の問題です。
これは、エアコンだけの問題ではありません。

電気代は、決して高くなく、むしろ他の暖房器具と比べて、
安いと言いきれます。

つまり、断熱性能をしっかり確保し、湿度管理にまで
しっかり気をつければ、これ以上、すばらしい暖房器具は
ないのです。

エアコンの能力を最大限発揮できるように、
家の設計を行うことが、光熱費のかからない家造り
につながるんですね。

太陽のエネルギーは地域によっては凄い。

ここで、もうひとつ重要なのが、
太陽のエネルギーを利用すること。

といっても太陽光パネルを導入してくださいという話ではありません

何度も言いますが、暖房費は、冷房費の10倍かかります。
つまり、暖房費を少なくする家作りが必要で、そのために
太陽のエネルギーを可能な限り利用します。

ただし、この方法は、冬の日射量が多い地域。
さらに、南面の日照が確保されているという条件がつきます。

弊社クオホームの施工エリアである兵庫県姫路市あたりは、
日本の中でもトップクラスに日射量の多い地域ですので、
積極的にこの手法を取りいれています。

簡単に説明すると、
暖房が必要な冬に、もっとも日射量が多い南面の窓から
できるだけ太陽の熱を室内に取り込む設計を行います。
窓から逃げる熱より、入る熱の方が大きいように、
計算して、南面の窓の大きさや性能を決めていきます。

このような手法を「パッシブデザイン」と言います。 

エアコンの暖房費を太陽のエネルギーで 少なくする事ができます。

一条工務店や、スウェーデンハウスのような、大変性能の高い家を
建てられているハウスメーカーは、通常、このような手法は取りません。

とにかく窓の性能を上げていき、室内の熱が外に逃げないようにする
方法を取っています。
この方法でも、もちろん暖房費が下がりますが、
より効果的なのはパッシブデザインです。

日射量の少ない地域や、南面の日当たりの悪い敷地だと、このような
方法を取らざるを得ませんが、日射量の多い地域に住んでいる方でしたら、
ぜひとも、パッシブデザインに取り組んで頂きたいと思います。

光熱費を抑える水回りの対策

高気密・高断熱の家を設計するには断熱・遮熱性を高めると同時に、
窓の性能を高めることで省エネ住宅につながるという話をしました。

さらに光熱費を抑えたい人のために、どういった対策が取れるか。

まずは水回りの対策を見ていきましょう。

節水トイレの設置

トイレの性能も年々各メーカーで向上していってます。

トイレにおける節水とは「いかに少ない水の量で流せるか」です。

どのような性能が備わっているかはメーカーによってもさまざまですが、主に

  • うずまきで水を流すトルネード洗浄
  • そもそも汚れがつきにくい素材や加工
  • 水圧のコントロールで少ない水で強い洗浄力

などがあります。

大手であれば、Panasonic、リクシル、TOTOなど。

少ない水量で流せることも大切ですが、汚れがつきにくいトイレなら掃除する回数も減りますよね。

節水トイレを採用することで、光熱費の節約につながります。

節水・節湯水栓にする

節水・節湯水栓とは、省エネ型の混合水栓のこと。

よく見る水栓は、左に回すとお湯が出て、右に回すと水が出る構造になっているのが多いかと思います。

実はこの時、水を使っていると思っても、給湯器はわずかに起動していて、微量のお湯が流れていることもあるのです。

つまり、水だけ使っているつもりが、無駄に給湯器を作動させてしまっているということ。

この無駄遣いをなくすために開発されたのが、節水・節湯水栓です。

「エコキュート」なんかはその代表的例で、聞いたことがある人はいるのではないでしょうか。

高断熱の浴槽にする

お風呂の浴槽にも高断熱仕様があるのは驚きかもしれませんね。

最近のお風呂の温度管理は、自動で設定温度に保ってくれるものがほとんどかと思います。

この、自動で温度を保つというのにも、ガス代がかかっているということ。

高断熱の浴槽にすることで、お湯が冷めにくく、温度調整する回数も減ります

どういう構造なの?というと、魔法びんの構造を使った浴槽というとイメージがわきやすいかもしれません。

高断熱浴槽は、各社から出ていますので、気になる方はチェックしてみてください。

高効率給湯器を導入

節水の項目と少しかぶりますが、高効率給湯器の導入も、省エネにつながります。

エコキュート、エコジョーズ、エコフィール、ハイブリッド給湯器の4種類。

高効率給湯器を導入することで、光熱費を抑えられるだけでなく、グリーン住宅ポイント制度の対象にもなります。

エコ住宅設備対象となった場合に、高効率給湯器を導入すると、24,000ポイント/戸が付与されるというメリットも。

CO2削減に貢献できる上、グリーン住宅ポイントをもらえるのは大きいですよね。

食洗機を導入

食洗機の導入がどうして省エネにつながるのか?

普段、食器を洗う際にこまめに水を止めている人であれば
食洗機は不要では?と思うかもしれません。

パナソニック公式HPによると、手洗いと食洗機では光熱費に約2倍の差が出ています。

食洗機にすると、年間約18,600円の節約になるそうです。

もちろん、これはパナソニックの食洗機を使用した場合の例なので
すべての食洗機で同じ分節約できるとは言えません。

とは言え、どのメーカー、どの製品も省エネ・エコを意識して商品を開発していますので、
少なくとも手洗いよりかは、節電・節水ができると言っても過言ではないでしょう。

自動水栓の導入

料理中や食器を洗っている時、手を洗っているとき、顔を洗っている時。
さまざまなシーンで、水を流しっぱなしにしていること、ありませんか?

自動水栓を導入することで、センサーが反応して水が自動的に止まってくれるため、水の出しっぱなしを防げます

「湯水のごとく使う」という表現があるぐらいに、水は思っている以上に無駄に使われています。

より光熱費のかからない家を目指すなら、自動水栓の導入もひとつの手でしょう。

光熱費を抑える電気系統の対策

光熱費のかからない家にするには、電気系統の対策もできます。

LED照明にする

LED電球って高いんでしょ・・・?と思っている人は、今すぐ以下を見てください。

1年間の電気代 電球の寿命 電球の値段
一般的な白熱電球 約2,800円 1,000〜2,000時間 100円〜
LED電球 約500円 2万〜4万時間 300円〜

1年間の電気代だけで見ると、LED電球は約2,300円も安いことがわかります。

また、電球の値段にしても、年々LED電球も価格も安くなってきているので、今は60WのLED電球はAmazonで300円くらいから購入できます。

昔は一個1,000円以上した高価なものでしたが、今はもう普通に安いです。

また、驚きなのが電球の寿命。

1日10時間電気をつけているとした場合、

  • 白熱電球…3ヶ月〜6ヶ月
  • LED電球…5年半〜11年

という結果に。

もう、どちらが安いかは一目瞭然だと思います。

オール電化にする

数年前から採用されはじめたオール電化。

オール電化にしたら電気代が高くつくのでは?と思う人もいるかもしれませんが、
例えばプロパンガスの地域の場合は、ガス料金が高いため、オール電化にしたほうが光熱費を削減できます。

あとは夏場、キッチンをIHにすることにより、家の中が暑くなりにくくなります
火を使うだけで、だいぶ暑くなりますからね。

光熱費がかからない、省エネ住宅を検討するにあたって、オール電化も検討すると良いでしょう。

太陽光発電(ソーラーパネル)の設置

断熱性能等級の新基準と法改正による省エネ住宅の義務化ついて」でも詳しく話していますが
2050年のカーボンニュートラルの実現を目指すにあたって、太陽光発電の設置は結構現実味をおびてくるんじゃないかなと思っています。

断熱性能と省エネに太陽光発電による電気供給によって、エネルギー消費が実質ゼロになりますよという考えです。(ZEH基準)

日本は省エネ住宅基準が世界的にも低いと言われており、なんとか世界基準にもっていこうとどんどん法改正がされていっています。

現代のような屋根に大きなパネルをつける太陽光発電とはまた違う形に進化する可能性もありますが、
2050年以降には、どの家も太陽光発電ができるのが建築条件になる。そんな未来もあるかもしれませんよ。
※太陽光発電に関してはあくまでも投資なので自己責任で検討お願いします。推奨するものではありません。

光熱費以外にもこんなにお金がかかる!

ここまで光熱費について色々話してきましたが、家にかかるお金は光熱費だけではありません。

経年劣化による修繕費やリフォームに、莫大な費用がかかります。

日常的にかかる光熱費も大事ですが、この修繕費やリフォーム費用のほうがよほど重要です。

修繕費

修繕費が必要になるタイミングは、経年劣化のほかに、地震などの自然災害。

壁にヒビが入った、塗装が落ちた、木材が腐敗した、外構が壊れた

など、さまざまな理由で修繕費がかかります。

ひび割れた外壁のイメージ

家を買う際に、「ローコスト住宅」という甘い言葉に誘われて、安い材質を使った建物を建ててしまったがために、地震や経年劣化に耐えられない…ということが起こり得ます。

そうなるとどうなるか。

修繕費で、何十万何百万という大金を払わなければなりません。

月数万円の光熱費を節約しても、こうしたところで結果的にマイナスになってしまいます。

そうならないよう、弊社クオホームでは、長持ちする家をコンセプトとして設計・施工しており、パッシブ設計を推奨しています。

パッシブ設計で作られた家は、高気密・高断熱で、断熱・遮熱に優れた省エネ住宅です。

これから家を設計・リフォームされる方は、ぜひパッシブデザイン住宅を選択肢に入れていただきたいなと、
そう思っております。

リフォーム

修繕費と同じく、リフォームには莫大なお金がかかります。

多くの人は、30年快適に住む想定で住宅を検討されるかと思います。

例えば35歳で家を建てた場合、30年後は65歳です。

まだまだ寿命は長く、あと20年以上は住みたいところ。

しかし高気密・高断熱ではない家を建てると、大体30年くらい経つとあちこち劣化してきます。

そこで、子供も育ったしそろそろリフォームを…と考えるのか。

はたまた、30年40年50年と、リフォームをしなくても長持ちする家を最初から建てるのか

「退職したら別の場所に移住する」という計画がない限り、後者のほうが良いのではないでしょうか。

パッシブ設計で光熱費のかからない家を建てよう

本記事を読んでいただいた人は
できるだけお金のかからない家に住みたい
という気持ちが強かったんじゃないかなと思います。

当然お金がかからない方が良いです。当たり前です。

しかし、どこにお金をかけて、どこを節約するかを間違ってしまうと、
30年後に後悔する可能性もあるということ。

今回の話であれば、断熱・遮熱に対しての正しい知識や対策。

断熱材だけにこだわって、肝心な窓の設計がおろそかになっていたために、うまく遮熱できず夏暑く、冬寒い家に…

などということにならないよう、しっかり打ち合わせしてください。

特に、一人で住むのではなく、家族と住むために建てるという人が多いと思いますから。

もし、姫路市エリアで建築やリフォームをご検討されている場合は、
パッシブ設計を推奨している弊社クオホームへ、お気軽にご相談ください。

お問い合わせはココをタップ
※「info@quohome.com」からご返答させて
頂きますので、ドメイン解除又は受信出来る様に
設定の確認お願いします。

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