配管を50年超えて長持ちさせる。
長持ちする家 研究家 瀬崎です。
今回は配管の話です。
新築住宅の場合、給水管、給湯管は、今や『さや管ヘッダー工法』が、常識になりました。
赤い管が給湯管・青い管が給水管です。
中は下図のようになっており、樹脂管を、さや管が保護するようになっています。
樹脂管の寿命が30年以上年、さや管の寿命が60年以上と言われており、これを使用する最大の利点は、
樹脂管の寿命が来た時点で、樹脂管のみを、壁や天井を壊すことなく交換できる
という点です。
交換は、約1日あれば完了しますので、メンテナンス費もわずかです。
さらに、樹脂管は途中に継ぎ目がないので、水漏れの危険性が少ないというメリットもあります。
注意して頂きたいのは、古い家をリフォームする場合ですね。
水廻りを新しくする事を予定されている方は多いと思います。
その際、どこまで、古い配管を、『樹脂管』に交換するかが大変重要なポイントになります。
下の写真は、少し前まで、給湯管として広く採用されていた『銅管』です。
すでにかなり腐食が進んでいます。
新しくする水廻りの接続部分付近のみ、樹脂管に替える方が、リフォーム費用としては、
安くなります。
ですが、後々の事も考えると、 銅管はすべて樹脂管に替えてしまうのがいいと思います。
ただ、資金的な問題もあるかと思いますので、どうしても予算的に厳しい場合は、次回のリフォームの際に、なるべく費用がかからず、簡単に残りの銅管も樹脂管に交換できるように、
今回の工事範囲を決めることが大切です。
ただ、その範囲を、素人のお客様に求めるのは無理があります。
設備工事だけでなく、総合的な建築知識があって初めて正解に近づける部分です。
そこは、やはり、信頼ができ、なおかつ、知識をもった方に任せるのがよいでしょう。
リフォーム業者選びの難しい部分です。
少し、話がそれてしまいました。
給水管、給湯管については、以上です。
次は、排水管です。
排水管は、昔の家も、今の家も『塩ビ管』が使われています。
塩ビ管の耐久年数は50年以上とも言われており、大変耐久性の高いものです。
しかし、せっかくですので、一工夫して、もっと長持ちさせましょう。
排水管は、最終的には、基礎を貫通して、家の外に出て、最終的に道路にある下水管に
放流されます。
上記のような、従来の施工方法では、塩ビ管(排水管)を、新しくするには、基礎を壊す必要があり現実的には不可能なのです。
つまり、塩ビ管の寿命と共に、家の寿命も終わってしまう。
事実、これまで従来配管で建てられた家は、50年もすれば潰して建替えするのが一般的でした。
しかし、今は違います。
国は、長期優良住宅制度や、性能評価制度を用いて、家の長寿命化を推進しています。
塩ビ配管も、交換できるようにしなくてはならないのです。
そこで、必要なのが、『基礎貫通スリーブ』という部材を使用することです。
管が2重になっているため、基礎を壊すことなく、配管の交換が可能になります。
また、寿命だけでなく、地震などで、基礎が動いた際にも、2重の管の隙間によって、直接、排水管にダメージがかかるのを、緩和する効果も期待できます。
配管にまで、少し気にかけることにより、家はずっと長持ちし、メンテナンス費は圧倒的に安くなります。
ご参考になればと思います。