スロースリップとは?南海トラフとの関連性や大地震へ向けた対策を徹底解説!

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2024年2月下旬ごろから千葉県東部や周辺の沖合で発生している「スロースリップ」は、今後も震度5程度の大地震の可能性を示し、周辺住民に警戒を呼びかけています。

ゆっくりすべりとも呼ばれるスロースリップは、継続的に地震を発生させ巨大地震へとつながる可能性もあるため危険です。

「そもそもスロースリップとは何?」「地震対策として何をすればいいの?」
と、疑問に思っている方は、スロースリップからこれから起こり得る大地震への対策をしておきましょう。

この記事では、スロースリップとは何かについて詳しく解説します。大地震への対策や地震に強い家を建てる際のポイントを併せて解説しますので、最後まで読んで地震対策を実施しましょう。」

スロースリップとは?

スロースリップとは、ゆっくりすべりと呼ばれる地盤に蓄積されたエネルギーが、断層にすべりによって開放される現象です。

通常の地震は、断層が1秒間に約1メートルほどすべり、断層が跳ね上がることでエネルギー波を発生させます。
対してスロースリップは、通常の地震の10万分の1から100万分の1程度の速度で断層がすべるため、ゆっくりと断層が跳ね上がります。

そのため、スロースリップでは長期的に連続した細かい地震が発生するのです。

千葉県北部や周辺の沖合では、2024年2月下旬から連続してスロースリップが発生しています。
千葉県のスロースリップでは震度4の地震が3日連続で発生し、2月27日から3月3日までに震度1の小規模な地震を含めると30回以上も揺れが観測されました。

スロースリップが発生した後に大地震が起きる可能性もあるため、地震への備えが必要です。

2024年2月下旬から発生した千葉県のスロースリップ

2024年2月下旬から発生した千葉県のスロースリップは、千葉県周辺だけでなく国内で地震への警戒意識を強めています。

千葉県のスロースリップから、「なぜ地震への対策が必要なのか」次の理由を確認しておきましょう。

  • 6日間で30回以上の地震を観測
  • 巨大地震が発生する可能性もある

それぞれの理由を解説しますので、スロースリップから考える地震に影響を確認しておきましょう。

6日間で30回以上の地震を観測

2024年2月下旬から始まった千葉県のスロースリップでは、6日間で30回以上の地震を観測しています。

東北では数年おきにマグニチュード5程度(震度5強)の地震が発生しており、1987年に発生した千葉県東方沖地震では、2名の犠牲者と161名の負傷者が出ました。

過去の地震が発生した際にも、スロースリップが起きていた記録が観測されており、今回の千葉県で発生しているスロースリップも大地震の前触れだと警戒されています。

大地震が起こらなくても、日々連続して発生する地震への警戒が必要です。

巨大地震が発生する可能性もある

スロースリップは、一部で巨大地震を誘発することが指摘されています。

そもそも地震自体を予測することが困難であるため、スロースリップが直接的に巨大地震を誘発したという確証はもてませんが、過去の大地震の前にはスロースリップが発生していた記録が観測されています。

千葉県のスロースリップにより、直近で巨大地震が発生する可能性が示唆されており、地震への警戒意識が強まりました。

南海トラフとスロースリップの関連性

スロースリップが発生したことによって、巨大地震の南海トラフとの関連性が示唆されています。
南海トラフへの備えをするために、スロースリップとの関連性を確認しておきましょう。

そもそも南海トラフとは?

そもそも南海トラフとは、駿河湾から遠州灘・熊野灘・紀伊半島の海域や土佐湾・日向灘沖までのフィリピン海プレート・ユーラシアプレートが接する海底の区域を指します。

一般的に南海トラフとは、上記の対象区域のプレートが跳ね上がることで発生する巨大地震を指し、100~150年周期で繰り返し発生しています。

前回の南海トラフは、1944年に発生した昭和東南海地震や1946年に起きた昭和南海地震が観測されているため、約80年が経過した2020年代にはいつ巨大地震が起きてもおかしくありません。

次回の南海トラフは、震度8〜9と近年起きていないほどの大地震が予測されており、甚大な被害が想定されています。
地震調査研究推進本部によると、30年以内に南海トラフが発生する確率は70〜80%です。

そのため、日本国内で近年発生していないほどの巨大地震へ向けた対策が求められています。

南海トラフとスロースリップの関連性は高い

南海トラフとスロースリップの関連性は高いです。

千葉県のスロースリップから今後巨大地震が起きる可能性を、京都大学防災研究所の西川友章助教は、次のようにコメントしています。

「過去の事例を見ますと、震度5弱ぐらいの地震が起こる可能性はあると考えられます。」

さらに南海トラフ地震との関係性についても、関連性が高いとコメントしました。

「南海トラフでもスロースリップが頻発しております。スロースリップが南海トラフ地震の発生域に、常にひずみを溜め続けているような状況にありますので関連はかなりあるんじゃないかというふうに研究者は考えています」

引用|Yahooニュース:スロースリップ(ゆっくりすべり)検出と千葉県の群発地震に関係は?南海トラフ巨大地震との関連について専門家「関連はかなりあると研究者は考えている」

スロースリップは巨大地震を誘発する作用があるため、今回の千葉県で発生したスロースリップが南海トラフの前兆である可能性は捨てきれません。

スロースリップから考える大地震へ向けた対策

上記のような今後起こりうる巨大地震の可能性をふまえて、スロースリップから大地震へ向けた対策を考える必要があります。

大地震への備えとして、次のような対策が効果的です。

  • 家具や家電の転倒防止対策を実施する
  • 防災グッズの用意する
  • 避難場所や避難経路を確認する
  • 家の耐震性を向上させる

それぞれの対策を確認して、地震被害を軽減できるよう備えておきましょう。
また下記の記事では、地震に強い家の特徴を詳しく解説しています。家を建てる際に地震対策ができるよう、下記の記事を読んでおきましょう。

【関連記事】地震に強い家の特徴7選!地震被害を軽減するために確認しておくべき特徴と注意点を解説

家具や家電の転倒防止対策を実施する

巨大地震への備えとして、家具や家電の転倒防止対策を実施することが大切です。

ホームセンターや100円均一ショップ、ネットショッピングなどで転倒防止グッズは多数販売されており、家具や家電の転倒を予防できます。

地震の際に家具や家電が転倒すると、怪我や家屋へのダメージなど二次被害が発生するため、家が揺れても家具や家電が倒れないよう対策しておく必要があります。
地震の際に家具・家電の転倒を防止できる耐震グッズは、次のとおりです。

  • 耐震マット
  • 転倒防止ストッパー
  • 扉開き防止器具
  • 転倒防止突っ張り棒
  • L字型金具
  • T字転倒防止器具

下記の記事では、おすすめの耐震グッズを10種類紹介していますので、巨大地震へ備えるためチェックしておきましょう。

【関連記事】【耐震グッズ10選】主な種類とおすすめの商品をご紹介!

防災グッズの用意する

巨大地震への備えとして、防災グッズを用意しておくことが大切です。

2024年1月に発生した能登半島地震のように、大地震が起きた直後は防災グッズがホームセンターやネットショッピングでよく売れる傾向にあります。
防災グッズを用意しておかないと、万が一の災害時に食料や生活水・怪我の手当てなどで困ってしまうため、事前準備が必要です。

食料や飲料水は最低3日分、可能であれば1週間程度の備蓄を用意しておけば、災害が発生してもある程度は自足できます。
他にも携帯トイレや薬・燃料など、必要な防災グッズを用意して地震への備えを蓄えましょう。

避難場所や避難経路を確認する

スロースリップから考える地震対策として、避難場所や避難経路を確認しておきましょう。

地域によって自治体が推奨している避難場所が異なるため、自治体ホームページから災害時の避難場所までの経路を確認しておく必要があります。

また家族が離ればなれの時間帯に地震が発生した場合、どのような方法で連絡を取るか、通信回線が使用できない場合の集合場所などを取り決めておくことが大切です。

地震が発生した際に迅速な対応ができるよう、あらかじめ避難場所や避難経路を押さえておきましょう。

家の耐震性を向上させる

巨大地震が発生した際に被害を最小限に抑えるためには、家の耐震性を向上させることが大切です。

家の耐震性を向上させておけば、地震による被害を軽減して家屋や住民へのダメージを最小限に抑えられます。

家の耐震性を向上させる方法は、主に次の2種類です。

  • 耐震性に優れた家を建てる
  • 耐震性を向上させるリフォームを実施する

耐震性に優れた家を建てる方法に関しては、次の見出しで詳しく解説します。

地震に強い家を建てる際のポイント

地震に強い家を建てる際のポイントは、次のとおりです。

  • 制震や免震構造を採用する
  • 耐震等級が高い家を購入する
  • 地盤が強固な土地を選ぶ
  • 耐震改修リフォームを実施する

それぞれのポイントを確認して、地震に強い家を建てましょう。

制震や免震構造を採用する

制震や免震構造を採用すると、地震に強い家を建てられます。耐震構造が地震に耐えうる特徴があるのに対して、制震・免震は揺れそのものを軽減する作用があり、耐震よりも地震に強い構造です。

耐震 地震に耐えられるよう強度を高める工法
制震 地震エネルギーを吸収する工法
免震 地震エネルギーを建物に伝えない工法

制震構造は、制震ダンパーなどの装置によって地震エネルギーを熱エネルギーなどに変換し、空気中に放出する仕組みです。
免震構造は、建物と地盤を切り離して設計し、地盤に設置した免震装置で地震エネルギーを受け流します。

そのため、制震・免震構造で家を設計した場合、巨大地震が発生しても被害を抑えることが可能です。
詳しくは、下記の記事で耐震構造と制震・免震構造の違いを解説していますので、家を建てる際の参考にしてください。

【関連記事】耐震とは?耐震の必要性を能登半島地震から考えよう

耐震等級が高い家を購入する

地震に強い家に住みたい場合は、耐震等級が高い家を購入しましょう。

耐震等級とは、家の耐震性を等級別に表したランクであり、地震への強さを図る指標です。耐震等級は1〜3の水準があり、それぞれ下記のような耐震性を基準にしています。

耐震等級 特徴
1 新耐震基準で定められた最低限の耐震性

震度6〜7の地震でも倒壊しないレベル

2 耐震等級1の1.25倍の耐震性

学校や病院など避難場所となる建物に採用されるレベル

3 耐震等級1の1.5倍の耐震性

警察署や消防署など災害時の救護・復興活動の拠点に採用されるレベル

地震に強い家に住みたい場合は、耐震等級2や3の家を購入しましょう。耐震等級の調べ方や重要性については、下記の記事で詳しく解説しているので、地震に強い家を建てる際の参考にしてください。

【関連記事】耐震等級はどこに書いてある?調べ方や重要性、震度との関係について

地盤が強固な土地を選ぶ

地震に強い家を建てるためのポイントとして、地盤が強固な土地を選ぶことが大切です。

どれだけ建物自体の耐震性を強化しても、揺れをダイレクトに受ける地盤が弱ければ、倒壊・半壊するリスクが生じます。

地盤が強固な土地に耐震性の高い建物を建てることで、地震被害を軽減する住まいを実現できます。

地盤が強い土地を選ぶために、家を購入する前に地盤調査を実施しておきましょう。もしくは、地盤の弱い土地に家を建てたい場合は、地盤改修工事を実施して地盤を強化しておいてください。

耐震改修リフォームを実施する

地震対策として、耐震改修リフォームを実施して、家の耐震性を高めましょう。

耐震改修リフォームは、家の耐震性を向上させるためのリフォームであり、地震対策として効果的な手法です。

家の構造や間取りによって改修リフォームにかかる費用は異なります。

家の構造 耐震改修工事費用の中央値
平屋の木造住宅 140万円
2階建ての木造住宅 186万円
3〜5階建ての集合住宅 9,421円/㎡
6階以上の集合住宅 11,370円/㎡

参照元|一般財団法人日本建築防災協会 国土交通大臣指定耐震改修支援センター「耐震改修工事費の目安」

耐震改修リフォームを実施する際には、複数の業者に見積もり依頼をして信頼できる業者を見つけましょう。

スロースリップからの大地震に備えて地震対策を実施しよう!

スロースリップは大地震の前触れとも言われており、断続的に地震が発生するため地震への備えが必要です。

2024年2月下旬から発生している千葉県のスロースリップでも、震度4以上の地震が観測されています。

30年以内に発生する確率が70%以上ある南海トラフ地震に備えるためにも、地震対策が重要です。

地震に強い家を建てたい方は、下記の耐震住宅のメリット・デメリットを解説した記事を読んで、大地震への対策を実施しておき

【関連記事】地震に強い家を建てたい|耐震住宅にはデメリットもあるって本当?

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