外断熱が危ない!と言われる理由は?メリット・デメリットなど解説
外断熱は住宅の断熱性能を高める工法ですが、調べてみると「危ない」という声も見つかります。
実はこれ「外断熱材は火災で燃えるから危ない」と言われているのですが、なぜ燃えるのか。そして本当に外断熱材は危ないのか?について解説していきます。
メリット・デメリットの双方も解説しますので、最後まで読んで外断熱で後悔しないポイントを押さえておきましょう。
よかったらこちらの動画も見ていってください。
外断熱が危ないと言われる理由とは?
外断熱は住宅の断熱性を向上させる工法ですが、一部では「危ない」と言う意見を耳にします。
高断熱住宅を建てようと考えている方は、「なぜ外断熱が危ないと言われているのか」理由を確認しておく必要があります。
外断熱が危ないと言われる理由は、次の通りです。
- 一般的な外断熱材は30mmが主流で断熱効果が薄い
- 外断熱材だけでは火災に耐えられない
外断熱が危ないと言われる理由を確認して、外断熱を採用するべきか検討しましょう。
一般的な外断熱材は30mmが主流で断熱効果が薄い
外断熱の一般的な外断熱材は30mmが主流。
海外では100mmの外断熱材もありますが、国内ではほとんどの業者が外断熱工法で使用する断熱材は30mmを限界ラインにしています。
なぜなら、発泡プラスチックの断熱材を張る際に、分厚すぎると釘で固定できないからです。
もちろん、材質を変えることで分厚い断熱材を採用することも可能ですが、多くの場合は30mm程度の断熱材を使用します。
そのため、十分な断熱効果を得られずに、後悔するケースがあるのです。
外断熱材だけでは火災に耐えられない
外断熱が危ないと言われる最大の理由は、近隣の火災の影響を受ける可能性があるという点。実際過去に、隣の家の火災によって外断熱材に引火し、一家4人が亡くなるという事故が起きているそうです。
外断熱材の引火温度は300度前後、発火温度は400〜500度前後と、「燃えにくい素材」と称されていても一定温度までしか耐えられません。
タバコの火は700〜800度ほどと高温で、火災は1000度ほどにまで達するため、火災が発生した時には外断熱材が燃えてしまいます。
万が一の火災の際に、外断熱材だけでは火を食い止められないため、危ないと言われているのです。
外断熱で後悔する?デメリット6つ
外断熱は危ないと言われていますが、メリットも多い工法です。しかし、外断熱工法を採用して後悔しないためには、メリットだけでなくデメリットも把握しておく必要があります。
外断熱で後悔しないためにも、次のデメリットを確認しておきましょう。
- 施工費用が高額だった
- 湿気がこもってしまう
- 断熱効果が弱かった
- 外観のデザインが変わってしまった
- 業者によって仕上がりに差が出る
- 工期が長くなる
それぞれのデメリットを確認しておけば、外断熱を採用するべきか慎重に検討できます。高断熱住宅に住みたい方は、外断熱で後悔する要因となる5つのデメリットを確認しておいてください。
施工費用が高額だった
外断熱で後悔する理由として、施工費用の高さが挙げられます。
外断熱の施工費用は、1㎡あたり8,000〜30,000円が目安です。つまり、30坪(約99㎡)の住宅を外断熱工法で施工する場合は、100〜200万円ほどの費用がかかってしまいます。
施工費用を確認してから外断熱を採用しなければ、思ったより高額な費用がかかってしまい、後悔する可能性があります。
湿気がこもってしまう
外断熱を採用するデメリットは、湿気がこもってしまうデメリットがあるからです。
外断熱は建物の外側を断熱材で囲むため、住まいの気密性が向上します。高断熱高気密な住宅になれば、外気温の影響を受けずに年中快適な室温を実現できますが、湿気もこもってしまいます。
室内で発生した湿気を外に逃がす換気性能がなければ、湿気によってカビやダニの発生へつながるため注意が必要です。
外断熱を採用する際には、湿気がこもらないよう換気計画を立てる必要があります。
断熱効果が弱かった
外断熱で後悔する理由は、施工してから断熱効果が思ったより弱かったことが原因です。これは先述した「断熱材の厚みが30mm」といった薄さが影響しています。
建物の外側を断熱材で囲む工法だけでは、完全には家の断熱性能を管理できません。外気温の影響は窓や玄関など、外に通じる場所から伝わりやすく、外断熱工法以外にも対策が必要です。
また外断熱材によっては、断熱効果が弱い可能性があり、期待していたほどの断熱性を実感できないかもしれません。
外観のデザインが変わってしまった
外断熱のデメリットは、家の外観デザインを変えてしまうことです。
建物の周囲に断熱材を張るため、外観のデザインを変えてしまいます。外壁のデザインをこだわった家に外断熱リフォームを施工した際に、外観のデザインが変わってしまったことで後悔するケースがあります。
外断熱工法を採用する際は、外観のデザインが変わることを理解して、実施するべきか検討しましょう。
業者によって仕上がりに差が出る
外断熱は、業者によって仕上がりに差が出ます。
業者の施工力によっては、断熱材がしっかり固定されていないケースがあり、地震などの揺れによって断熱材が剥がれてしまう可能性があります。
さらに業者によって使用できる断熱材が異なるため、期待しているほどの断熱性を実感できないかもしれません。
外断熱を依頼する際には、業者の実績や口コミを確認して、信頼できる工務店を選ぶことが大切です。
工期が長くなる
外断熱のデメリットは、工期が長くなることです。
外断熱の工期は2週間〜1ヶ月ほどかかります。対して、同じく断熱性を高める内断熱の工期は、1週間〜10日ほどと短いです。
窓サッシを断熱性が高いものに交換するだけなら、1〜2日ほどで完工できます。外断熱を採用する際には、工期が長くなることを理解しておきましょう。
また外断熱と内断熱の詳しい違いを解説した下記の記事を読めば、それぞれのメリット・デメリットから、どちらを採用するべきか比較検討できます。外断熱を選んで後悔するかもしれないと、心配な方は下記の記事を読んでみてください。
【関連記事】外断熱と内断熱の違い|外断熱工法とは?特徴やメリット・デメリットを徹底解説!
外断熱はデメリットだけじゃない!メリット4選
外断熱は危ないと言われますが、デメリットだけでなくメリットも多くあります。外断熱のメリットは、次の通りです。
- 断熱効果が高くなる
- 気密性が高くなる
- 家を長持ちさせられる
- ヒートショックの防止につながる
外断熱のデメリットとメリットの双方を確認してから、採用するべきか比較検討してください。
断熱効果が高くなる
外断熱のメリットは、断熱効果が高くなることです。
建物を断熱材で包むため、外気温の影響を受けにくくし、快適な室温を実現できます。そのため、最小限の冷暖房消費で室温をコントロールでき、冷暖房費を節約できます。
快適な住空間と省エネ性を実現できる点こそ、外断熱を採用するメリットです。
気密性が高くなる
外断熱を採用すれば、断熱性だけでなく気密性も高くなります。
建物の周囲を断熱材で囲む外断熱工法は、建物のスキマを埋めて気密性を向上することが可能です。気密性が高いと、冷暖房効率を向上できるため、夏には涼しく冬には暖かい室温を実現できます。
また断熱材が音を遮音するため、防音性能を発揮し、騒音トラブルを回避できます。
家を長持ちさせられる
外断熱を採用するメリットは、家を長持ちさせられることです。
外断熱によって家の気密性を向上させれば、結露の発生を抑制できます。結露はカビやダニの発生につながり、家を腐食・劣化させる原因です。
外断熱で家の気密性を高めれば、結露を予防して家の劣化を防げるため、家を長持ちさせられます。
ヒートショックの防止につながる
外断熱によって家の断熱性・気密性を向上させれば、ヒートショックの防止にもつながります。
ヒートショックは冬場の急激な温度変化で血圧が上下することにより、心臓や血管に疾患が起こる現象です。
冬場に暖房が効いた居間から、冷えた脱衣所へ移動することで発生するケースが多く、対策が求められています。
外断熱で高断熱高気密住宅を実現できれば、家中を快適な室温にコントロールできるため、ヒートショックを防ぐことが可能です。ヒートショックは交通事故の3倍も犠牲者を出している事故なので、外断熱工法を採用すれば、住民の健康維持につながります。
外断熱で後悔しないためのポイント
外断熱にはデメリットだけでなくメリットも存在するため、対策されしておけば導入しても後悔するリスクを軽減できます。
外断熱を採用する際に後悔しないよう、次のポイントを押さえておきましょう。
- 火災の延焼を食い止められる断熱材を選ぶ
- 湿気がこもらない換気計画を立てる
- 信頼できる施工業者を選ぶ
- 他の断熱工法と比較する
それぞれのポイントを押さえて、外断熱を採用しても後悔しないよう対策してください。
火災の延焼を食い止められる断熱材を選ぶ
外断熱は火災が発生した際に危ないため、火災の延焼を食い止められる断熱材を選ぶことが大切です。
セルロースファイバーは、火災の際に燃えても有害物質を出さずに自然鎮火する作用があるため、火災の延焼を食い止める効果があります。
さらに遮熱シートなどと併用することにより、火災の延焼を抑えて被害を軽減することが可能です。
外断熱材を採用する際には、火災の延焼を食い止める断熱材を選んで、被害を抑える対策をしておきましょう。
湿気がこもらない換気計画を立てる
外断熱は気密性の高さによって、湿気がこもるデメリットがあります。そのため、外断熱を採用する際には、湿気がこもらないよう換気計画を立てましょう。
24時間換気システムを導入すれば、住民の健康被害を予防して快適な暮らしを実現できます。
さらに換気システムは第1種から第3種までの種類がありますが、給気と排気の双方を機械で行う第1種換気システムがおすすめです。
第1種換気システムには、建物の内部と外部の温度差を軽減する熱交換器が備わっているため、結露の発生を抑制できます。
湿気がこもらない換気計画を立てれば、外断熱を採用しても問題なく換気できます。
第3種換気のメリット・デメリットとは?第1種との違いや換気システムの選び方を解説!
信頼できる施工業者を選ぶ
外断熱で後悔しないためには、信頼できる施工業者を選ぶことが大切です。
施工業者のレベルによって、外断熱の仕上がりが異なるため、できるだけ技術が高く信頼できる業者を選ぶ必要があります。
近所で活動している施工業者に依頼するのではなく、数社比較してから、信頼できる業者を選びましょう。
施工業者を比較する方法は、過去の実績や口コミ・完成見学会に訪れて実際の家を見学したり、担当者の対応を確認したりとさまざまな方法があります。
「この業者に任せたい」と思える信頼できる施工業者を探してから、外断熱リフォームを依頼しましょう。
他の断熱工法と比較する
外断熱を採用して後悔しないためにも、他の断熱工法と比較することが大切です。
断熱工法には、主に次の種類があります。
断熱リフォームの種類 | 施工対象の建物の種類 | 施工方法 |
外断熱 | コンクリート・RC | 外壁であるコンクリートの外側に、断熱材を貼り付ける |
外張り断熱 | 木造・鉄骨 | 建物の外側に断熱材をビスで設置する |
内断熱 | 木造・鉄骨 | 建物内部にある構造材に断熱材を設置する |
それぞれの断熱工法を比較しておくことで自分に合った工法を選択することが可能です。下記の記事では、外断熱リフォームの詳しい概要や補助金制度、外張り断熱と内断熱との違いまで詳しく紹介しているので、ぜひ読んでおきましょう。
【関連記事】外断熱リフォームとは?外張りや内断熱との違いやメリット・デメリットを徹底解説!
外断熱を採用するべきか他の工法と比較検討しよう!
外断熱を採用するべきか悩んだ際には、他の断熱工法とも比較検討しましょう。
外断熱は住まいの断熱性・気密性を向上できる工法ですが、「危ない」と言われるほどデメリットも存在します。
メリット・デメリットを比較するだけでなく、他の工法とも特徴を比較しておくことで、後悔しない選択ができます。
外断熱を採用するべきか悩んだ際には、各工法とメリット・デメリットを比較して、自分に合った方法で家の断熱性を向上させましょう。
外断熱、内断熱については以下の記事も参考にしてください。