筋違いがたくさん入った家を素直に喜んではいけません!
長持ちする家 研究家 瀬崎です。
今回は耐震と断熱を合わせた話。
木造住宅在来工法では、
家全体のバランスを見ながらということが前提で、
筋違や、構造用合板を多く入れる程、耐震性能は向上していきます。
構造用合板↓
筋違がたくさん入っていると、いかにも構造的に
強そうな感じに見えますので、
そこをアピールする会社も多いです。
『柱がすべて4寸柱で太い』というのも同じですね。
たしかに、耐震性能だけで考えると、
その通りなのですが、
家作りを考える時は、少し離れたところに立って、
家全体を眺めるような感じで考える事が大事です。
耐震性能、断熱性能、防蟻性能、美観、耐久性
すべてが、独立した要素のようで、
実際は、すべてが関係しています。
その中で、優先順位をつけ、予算の範囲内で、
スペックを決めていく。
この流れが、家作りの成功法則の王道です。
たとえば、耐震性能を
上げるために筋違を増やしたとします。
筋違は通常、部屋内の壁より、外壁側の壁に設置します。
外壁側の壁という事は、断熱材を施工する壁です。
つまり、筋違の数を増やせば増やすほど、
断熱材を施工する箇所が少なくなっていくと言う事です。
「木材は、断熱性能が高いので影響ありません」と言う営業マンがいると
思いますが、そこは鵜呑みにせず、数値で判断する事が大事です。
例えば、熱伝導率という指標があります。
これは、熱の伝えやすさを表し、
数字が小さいほど断熱性能が低いという事になります。
木材の熱伝導率は、0.13W/mk
断熱材の代表として、高性能グラスウールの熱伝導率は、0.038W/mk
数字で比べると、一目瞭然です。
木材は、断熱材の1/3の断熱性能もありません。
営業マンがなんと言おうと
これが事実です。
あなたはこの事実をすでに知っています。
建築中のあなたの家に、
大工さんが、善意で、通常より、筋違いを多くいれてくれたとしたら、
あなたは手離しで喜べますか?
おそらく、複雑な気持ちになると思います。
断熱性能を落とすことなく、耐震性能をあげるには、
2つの方法があります。
すじかいを増やすと、断熱性能が落ちることは
前述した通りですので、
すじかいではなく、構造用合板で、極力耐力を取るように
すれば、すじかいの数は増やさずに耐震性能が向上します。
当然、断熱性能が落ちることはありません。
また、柱と柱の間に断熱材を施工するのではなく、
柱の外側、いわゆる『外断熱』で家を建てれば、
筋違をいくらたくさん入れようが、
全く断熱性能の影響はありません。
今回の話は、すじかいを例にしていますが、お伝えしたかったのは、
家造りは家全体で考えることです。
もう、何度もこのブログや、メルマガ等でお伝えしていますが、
いまだに、断熱材の種類がどうこうとか細かい話が出てきます。
断熱材を気にする方は、断熱性能を気にされてる方のはずです。
家、全体でみると、断熱材の種類なんて、
ほんと、どうでもいいって言いぐらい、小さな事です。
もっと大事な、「窓性能」「日射遮蔽・日射取得」「換気システム」
まずは、そのあたりの仕様を、吟味して決めてから、
最後の最後の最後に、
断熱材の選定ぐらいの優先順位になります。
家全体で、考えるという言葉が、いまひとつピンとこない方は
過去記事を参考にして下さい。
光熱費がかからない家を建てるために、まず覚えておく5つのポイント①